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24 従兄

ご覧頂き、ありがとうございます。

楽しんで頂けたら、嬉しいです。

そこから数日、ヴェルレーヌ領で捕縛される破落戸が急増した。ジャクリーヌの助言もあって、大事には至らなかったが、その全てから事情聴取をしなくてはならず、辺境の人々は憔悴しきる羽目となった。



だがその甲斐あって、刺客が全てを吐き、案の定フォセットの差し金であったと露見する。そんな事になっているとは露知らず、フォセットは王都の自室にて吉報が届くのを今かと待ちわびていた。




フォセットはフェヴァン伯爵の実子ではなく、伯爵の弟の子どもだった。だが、生まれて間もなく両親が馬車の事故でこの世を去り、彼女だけが残されてしまう。伯爵夫妻に引き取られ、彼女を実子と分け隔てなく育てたが、魔法属性が切欠で出自が知られてしまう。



魔法属性が遺伝で決まるのは、この世界に生きる者であれば知っている常識だ。フェヴァン伯爵家は、光属性を受け継ぐ血筋であり、夫人は水属性の持ち主だった。だが、フォセットは僅かに光が混ざった風属性。疑問に思い両親を問い詰めれば、予想以上の真実を知らされてしまう。



今まで家族だと思っていた人々は、伯父と伯母に従兄弟だった。そう自身に言い聞かせても、心が付いてきてくれない。そこからフォセットが仄暗い感情に支配されるまで、さして時間は掛からなかった。フォセットの中で収まりきらない歪んだ思いを、いつも優しく接してくれたモーリスへ、全て向けるようになっていた。


ジョルダン王国では、親族であっても実の兄妹でなければ結婚は認められている、だからいつか二人は結ばれると信じていた。そう思い縋る事で、無意識に精神が壊れないよう、保っていたのかもしれない。



一方モーリスは、執拗なまでの愛情をルネに向けており、フォセットの事は家族としてしか見ていなかった。そして折角、邪魔な彼女が死んだというのに、今度はルネに良く似た見た目の平民に現を抜かしだした。




本当に忌々しい。許せない、あの女が悪い。あいつさえ居なければ、きっと私を愛してくれる、そう思いレーヌを始末する事を計画した。




「漸く、お兄様が私のものになるわ」




モーリスと同じ色の青い瞳は、二人で歩む未来を信じて、遠くの空を見つめていた。





次回も見て頂けたら、とても嬉しいです。

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