表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/34

22 友人

いつも、ご覧頂きありがとうございます。

ダンと共にヴェルレーヌ領へと戻ったルネは、急いで今後の対策について思案した。いつ何時、モーリスがやって来てもおかしくない。だからこそ、一人で行動しないように必ず誰かと一緒に居るようにして、外出も控えた。けれど予想に反して、拍子抜けするほど穏やかな日々が続いた。



そんな中、今しばらくの間は警戒を怠らないようにと、釘を刺したのはダンだった。



「あんな事を計画する奴が、簡単に諦める訳ない」


そう力説して、至る所に魔法具の罠を仕掛けた。この魔法具が優れ物で、モーリスの魔力だけ感知して発動するという。どうしてこんな代物をダンが持っているのか、不思議に思い問いただしてみれば、



「俺にとってレーヌ様が大事な人だからだ」



と照れた様子もなく言ってのける。言われたルネは、不意打ちを食らったようで、たまったものではなかった。耳の先まで熱くなっているルネは、恐らく顔中が真っ赤に違いない。ダンはフードに隠れて見えないというのに、自分の恥ずかしい表情を見られているかと思うと、居た堪れない気分になった。



「ありがとう、ダン」



伏し目がちに、そう言えば、ダンの大きな手がルネの髪を優しく梳いた。




「守るから、命に代えても」



僅かに見える唇から、安らぐ声が甘く響いた。




「全てが落ち着いたら」



ルネが唐突に口を開けば、ダンが手を止めた。




「ダンの気持ちを受け入れたいの。でもその前に、伝えなければならない事があるわ。…それでもダンの気持ちが変わらないなら、私と共に生きてくれないかしら?」




「…何があっても、俺の気持ちは変わらない」




ルネの手を取り、握り締めるダンは少し震えているようだった。空いている手を上に重ねて、頷いた。



「えぇ、きっとそうね。けれど、もし気持ちに変化があっても、ダンを責めたりはしないわ。ただ、そうなった後も、友人として仲良くして欲しいかしら。依頼も、お願いしたいもの」



「…分かった。覚えておく」



ルネはチクリと痛む心に気付かないように、微笑んで見せた。







生命力溢れる大地に春の日差しが優しく降り注ぎ、芽吹き始める頃、辺境の地は活気に満ちていた。仕込んでおいた堆肥を使い、畑を耕し作物を植える作業に追われていた。



そんな慌ただしさの中、レーヌ宛に手紙が届く。送り主はジャクリーヌだった。





次も見て頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ