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21 救出
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ルネは息を潜め、注意深く侵入者の気配を探る。静寂の中、小さいけれど、はっきりとした声が聞こえた。
「レーヌ様、どこにいる?」
その声を聞いた途端、ルネは勢いよく起き上がった。同時に影の人物も、ルネへと駆け寄る。ふわりと柑橘系の香りがして、ルネは抱き締められる。
「無事でよかった…、心配した」
「ダン、ありがとう。…来てくれたのね」
ルネもダンの背中に、手を回し縋れば、更に抱き締め返してくる。彼の腕から温かさと力強さを感じ、夢ではなく現実なんだと実感する。
「当たり前だ、遅くなってすまない。…それより何もされていないか?」
「大丈夫、抱き締められたくらいだから」
「なっ、抱き締め…!あの野郎、始末しておけばよかったか…」
ルネは思わず、ふふっと笑みが零れる。ダンが黒いフードのローブを取り出して、ルネに手渡した。
「時間が無い、急ごう」
無言で頷き、手早くローブを羽織った。手を繋いだ二人の影が、闇に溶けていった。
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