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19 隔離

ご覧頂き、ありがとうございます。

ルネが目を覚ますと、見知らぬ天蓋が目に入った。青色で統一された部屋は、さながら海の中のようだった。恐る恐る起き上がってみたが、誰かが居る様子は無かった。そっと寝台から降り、カーテンの閉じられた窓へと近づいた。その隙間から外を眺めると、新芽の生えた大きな木が昼の日差しを浴びているのが目に入る。



(これだけでは何処にいるのか、見当もつかないわ…)



まだ重い頭を働かせて、記憶を辿ってみる。確かモーリスから依頼された薬を、渡して。それから…次は…。




途端、モーリスの声が甦る。




「…嫌だな、フェヴァン様なんて他人行儀な呼び方は止めてよ」



モーリスはレーヌがルネだと、気づいていたのだろうか。けれど、良く分からないのは、次に彼が言った一言。



「やっと手に入れた、ルネ」



ルネが初めてモーリスと出会ったのは、幼い頃にモーリスが辺境で過ごした時だ。父であるヴェルレーヌ伯爵が言うには、静養の為、親元を離れて来たのだという。きっと一人で寂しいはずだから、仲良くするようにと言われ、兄と一緒に遊んで過ごした。




「大きくなったら僕のお嫁さんになって!」



可愛らしい笑顔をしたモーリスが、ルネに向かって、そう言った。心細さから、親しくなったルネに縋ったのだろう、本気ではないはずだ。



「ふふ、ありがとうモーリス」



敢えて答えは濁しておいた。もうすぐモーリスは王都に戻る、そうなればルネに言った事など、すぐに忘れてしまうだろうから。いつの日か思い出したとしても、子どもの言った事と微笑ましい気分になるくらいだろう。



…と思っていたが、違ったのかもしれない。




その時、静かに扉が開く音がして、そちらに顔を向ける。




「あぁ、起きてたんだ。気分は、どう?」




にこやかな顔をした、モーリスはルネと目が合うと、彼女の居る方へと近づいて来た。モーリスは笑っているのに、何故かルネは、ゾクリと身震いした。






次回も見て頂けると嬉しいです。

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