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そうだ、使用人になろう


今日は昼頃までダラダラ寝る予定であったのだが、職業病

で6時に起きてしまう。布団にくるまって瞼を閉じてみても目が冴えきってしまった為眠れそうにない。

仕方ないので起きることにした。


結局、色々と説得したものもパーティーを追放させられ

ハヤト達は別の国へ行ってしまった。それだけならまだ

しもギルドに対し俺がパーティーの資金を横領した可能性

があると報告した事によし冒険者としての資格を剥奪され

貯金口座を凍結させられた。結局横領の疑惑は晴らしたが

勇者様が怪しいと言ったなら怪しいのだ、なんて理不尽な

理由により冒険者の資格は剥奪されたままになり、銀行

口座の凍結を解除する手間代として貯金の八割を取られた


まったくもって理不尽である


「しょげていても仕方ない、働くか」


人権酷使ブラックパーティーから開放された事により

燃え尽き症候群となっていた俺の心に鞭を打つ事にした。

朝の日課であった自主トレ等を一通り終えたが、思った

より時間が余った為、求人場が開くまでの時間を宿の共有

スペースに置いてあった王都新聞を読むことにした。


相変わらず勇者を褒める記事があり、有名オペラ

役者の不倫ニュース、最近の人気な飲食店についての

記事などが変わらず載っている。今日も平和な一日になる

らしい。最後のページにある求人情報に目を付ける。


飲食店の仮社員、ギルドの清掃員、施設の警備などの

一般人向けに書かれている。

その中の一つに今日の目玉情報として中央に大きな枠を

使ってこう書かれてあった。



[求・公爵城の使用人]

人数ひとり、資格不要、未経験歓迎

ただし武芸に秀でている者のみとする



妙な求人内容だ。護衛としても雇うのだろうか。

常に命を狙われる立場だから少しでも警備を厳重にしたいのだろうか。それに普通使用人の募集は5人程度が多く

また経歴が明確である魔術学校から募ることが多い。


「まぁ、暇だし応募してみるか」




それから1週間が経ち



「よく来た諸君!沢山の応募嬉しく思うぞ。私の名は

ヴィクトリア・ロイヤル・ローズ。知っての通り

ローズ王家の第1王女である。そんな私と諸君らで決闘を

行い、私が認めた者のみを私の使用人とする。

私は王族であるが躊躇わず剣を振るって貰いたい。

どうせ使用人になったら毎日私の稽古に付き合って

貰うのだからな」


黄色がかった栗色の長い髪をした眼帯を身につけて

いる軍服の美人が大きな胸を叩いてそう語る。


ヴィクトリア第3王女、彼女は王女としてだけでなく武人

としても有名だ。腰に掛けてある業物の軍刀で一騎当千

の剣術を繰り出し、一振で竜の首を刎ねたとの逸話がある

ほどの剣豪であり、巨人の体が粉々になるほどの火力を

持った炎を放つことの出来る魔法を持つ。


今回応募してきた者達が次々と彼女に挑戦するが

ヴィクトリアの相手が勤まる者は現れず時間だけが

過ぎる。


「次だ、次の者早く来い。たく今回はハズレみたい

だな。おい、お前だ。細くて覇気の無さそうな顔を

した茶髪のお前だ。」


俺の番が来たみたいだ。実戦で剣を使ったのは1ヶ月

ぶりくらいだろうか。


「ほぅ、君は勇者パーティーをグビになったアーサー

ではないか。君は回復師では?まぁ応募するのは

自由だからな。楽しみにしてるぞ」


「あ、ありがとうございます・・・?」


「確認だが、剣は模造剣、魔法は禁止でよかったよな?

ヒールでヒット&アウェイされたら流石に疲れる」


「もちろん魔法無しでお願いします。

そもそも魔法有りだと瞬殺されちゃいますよ」


「それもそうだな。さて、もうそろそろ始めようか。

簡単に弱音を吐いてくれるなよ?」



ヴィクトリアの剣先が自分に向けられる。

その構えだけでどれだけの血と汗のにじむ努力をして

来たか、才能だけで剣豪の領域まで登り詰めてきた訳

ではないとわかる。だが、努力の数なら俺も負けない



ヴィクトリアが構えた剣を引き、脚で地面を蹴る。

今日何回この動きを見ただろうか。この突き捌きにより

挑戦者全員を倒してきた。毎回同じ動きなのにも関わら

ず誰一人として防ぐことが出来ないのだ。


俺も脚で地面を蹴り前に体を飛ばす。

斬れ味のない刀だとしても刺さればそのまま体を貫通し

そうな勢いがある。故に受身からのカウンターをする方が

安全だろう。だが受け身では反応が遅れ鋭い剣術の餌食になる、だから自分からヴィクトリアに迫り攻撃にかかる。


ヴィクトリアは俺が突き出した剣を叩き捌く。

とりあえず瞬殺は免れたみたいだ。だが、初手の突き技は序盤に過ぎず、四方八方と連撃が襲ってくる。

その連撃を間一髪捌き斬る、こちらが反撃できるような

隙は全くない。


「強いな、正直過去の栄光に浸ってるだけ雑魚だと思って

いた。まさかここまでやれるとは。それにしても不思議

だ。何故君ほどの逸材が埋もれていたのかね。それに

その腕前、本当に回復師なのか?」


「本当に回復師ですよ。

何なら今ここでヒールしてみますか?」


「一時中断なんて冗談じゃない、私は今こんなにも心が

踊っているのだから、なぁ!」


叩きつけるような強い斬撃を受け止める。

以前戦ったオーガの一撃に引けを取らない程の重い衝撃が

腕を走る。剣技だけじゃなく力もあるようだ。


ヴィクトリアのギフトは本来、力ではなく美しき剣技で

相手を翻弄する剣舞型の見せる剣技であって彼女の様な

力でゴリ押す事も可能な武術を身につけることは不可能

に近い。自分に刻まれた魂を具現化し体に刻み込む才能

よりも人としての在り方を決める神からの贈り物。その

在り方は絶対であり変えることは出来ない。

それがギフトだ。なのに彼女は彼女の持つギフトの枠を

超えた武術を見せる。まるでギフトが悪い、神に選ばれ

なかったのが悪いと別の何かのせいにしてきた自分を

罰するために現れたかのようだ。でも、不思議と嫌悪感

を抱かないのは彼女に対するリスペクトがあるからだろう


彼女からの剣を避けて耐える、体制を崩しそうになったら

距離をとって立て直す。ジリ貧な戦法、彼女からは疲労が

見えない。このままでは俺が負けてしまう



「ここまでやるとは思わなかった。うちの騎士団長

''剣聖,,くらいはあるのではないか?」


「まさか、大袈裟に言って剣士が良い所ですよ」


「何を言う、並の剣士なんぞ私なら瞬殺だ。

・・・もし君が戦闘系ギフトを持っていたら怪物になって

いただろう、実に残念だ。いや今のは失言だったな、君

がいかなるギフトを持っていても強者な事には変わり

ない。」


「ベタ褒めですね、そんなに評価してくれるなら

この城の門番として雇って頂きたいです。」


「それは無理な相談だ、既に門番は足りている。

それに今ここでどうするかを言ってしまったら君は

わざと負けようとするだろう? 私は君の本気と戦い

たいのだよ」


「なら見せてくださいよ。ヴィクトリア第3王女の本気

''姫騎士,,の真の実力を」


ヴィクトリアがニヤリと笑う


「いいだろう、私の本気を少し見せてやろう」


華麗なステップで後ろに下がるヴィクトリア。

そのまま低姿勢で剣を構える。

迫り来る殺意、会場中に緊張が走り、手に汗握る。

深呼吸し目を凝らす。そして自分も剣先を向けると


「・・・いくぞ」


ヴィクトリアの姿が消え、気がついたら




・・・ベッドの上で横になっていた

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