プロローグ
このお話は、短編集のように章ごとに完結する形式になる予定です。章ごとに期間があいてしまう可能性があります。ご了承ください。
しんしんと雪が降る中を、一人の少女が歩いていた。少女とはいっても十四、五くらいだろうか。上着は着ているもののやや薄手で、一面の銀世界の中では少々心もとない。案の定彼女の唇は真っ青で、寒さで震えながら、言うことを聞かない足を無理矢理に動かしているようだった。
それでもよろよろと歩いていた少女は、ふかふかの雪に足を取られてついに転んでしまった。立ち上がろうともがくが、冷たく柔らかい雪で身動きが取れず、さらに体温を奪われ、とうとう動けなくなってしまったようだ。
体を丸めて少しでも寒さから逃れようとしている彼女のもとに、大きな影がかかる。少女が目を開けると、そこには大柄な人ほどもある巨大な鳥のようなものがたたずんでいた。
不意に、鳥が少女に近づいてきた。ぼんやりと見上げる少女をじっと見つめた後、その鳥は足を使って器用に少女を助け起こし、もう一対あったらしい翼を広げて少女を守るように包み込む。少女が安心したように意識を手放したことを確認した鳥は、かぎづめと翼で少女を支えて、そばに聳える山の頂へと飛び去った。
今回はプロローグなのでかなり短めです。次回以降はもう少し長くなります…!