女照（アマてらす）

２１世紀の遙か先の未来、助け合い、愛しあっていた男女だが、その終わりは突然訪れた。
　突如として『力』を手に入れた女達は、その力で瞬く間に男を蹂躙していった。なす術も無く女に打ちのめされ、誇りも矜持も喪失する男達。世界は女によって、圧倒的なまでに征服されてしまった。
　…しかし、男もいつまでも黙ってはいなかった。

　時は経ち…、
　男達は最後の砦として、男しか存在することを許さない、男だけの男国家（だんこっか）：【ダンディグラム】を創国し、そこを拠点として女への復讐が始まる。
　
　男女の関係が崩壊してから、約２００年………、
　男達が最重要討伐対象・女（アマ）となった女を殲滅すべく、女が棲息する世界・女照（アマテラス）を調査する中、主人公：ウェリー・ランドは１人、女を心から憎む事ができなかった。
　たしかに、『男』という存在が無価値に踏み躙られ、沢山の命がなくなった。過去の出来事と言って片付けて良いレベルではないし、遺恨が残るのは無理もない。
　しかし相手も同じ形・姿をした『女』であり、人間だ。互いに分かり合おうともせず隔絶してしまい、先祖の怨念に囚われて争い合う。亡くなった人達の無念を晴らす為に戦争をすれば、その分新たに沢山の命が無くなるというのに。
　そんな悲しく無意味な戦争を繰り返すまいと、昔のように男と女が共に暮らせる『男女共存』の世界を心から望んでいた。
　無力な自分に何が何ができるかも分からず、何をすれば良いかも分からない。
　その答えを見つけるため、女（アマ）を討伐する狩人：男狩人（メンター）の最前線で、最恐最厄の世界・【女照】をランドは邁進する。

　今、女と男。二つの異なった種族の感情が、複雑に、濃密に混沌する。