新しいスタート
新学期を迎え、中学三年生になった奏太は新しい教室の新しい自分の席に着きながら、二年生から三年生になったからって、そうそう劇的に何かが変わる訳じゃないよなと、周りを見渡して思った。結局、クラス替えしたって、同じ学年の奴なんて皆知り合いみたいなもんだし。そもそも学年全体考えたって半分近くは小学生から一緒だし。もっと言うとその中の大半は保育園の頃から一緒。仲良いかどうかは別として、付き合いだけはムダに長い幼馴染みばっか。だから、大抵の奴は俺がクオーターだって事も知ってるし、俺のねーちゃんが金髪美人で私立に通ってる秀才だって事も知ってる。でも、皆気にしない。ネタにされることはあるけど、そんな嫌な感じじゃない。だから、俺のコンプレックスは結局、自分と遠い場所に居る誰かの目に自分がどう映るかが気になってただけで、普段関わりのない奴等に嘲られるのが嫌だったわけで。結局、俺は、自分が居る場所がどこかってことも、普段自分と一緒にいる奴等のこともちゃんと見ないで勝手に一人で嫌な気分になってたんだよな。つまりそれって、自分を卑下する前に、こうやってずっと一緒に育ってきた公立の奴等皆を見下してたってことなんだよな、きっと。だって、俺、この中じゃ勉強もできる方だし、運動神経だって良い方だし。背は、前から数えた方があからさまに早いけど。きっと見た目もそんなに悪くない。多分。なのに、そんな自分をおとして嫌になるって、俺にも勝てない奴等にメチャクチャ失礼だったんじゃない?ってか、俺、最低じゃん。まぁ、そんな気はしてたけど。してたからそう思ってても口にはしなかったんだけど。でも、きっと、態度には出てたかもな。恆が気付いてたみたいに、俺のそういう嫌なとこ、他にも気付いてる奴がいたのかも。それに気が付かないで、俺、この中にいるときは普通にそんなこと考えてないように、腹の内隠してずっと過ごしてきたんだよな。本当、俺、格好悪い。だから、そんな格好悪い自分から逃げようとするのはもう止めよう。格好悪くても、情けない男にならないように、三年生はとりあえず、後ろ向きにならないで頑張ろう。なんていったって受験もあるし。ある意味中学時代は黒歴史と割り切って、黒歴史は中学で終わらす努力をして、高校デビューにかけることにしよう。だから、とりあえず受験に向けて集中しよう。実家から通えてほどほどに地元から離れてて、楽しい学園生活が送れそうな、そこそこ偏差値高い所(絶対共学)を目指して。って、そういえば俺、全然志望校絞れてない。ってか、志望校絞るも何も候補すら解ってないし。何やってたの俺。どこ。どこがいいの?俺が高校生活エンジョイできそうな高校ってさ。春休み中に調べようと思ってたのに、俺全然何もしてない。何で俺何もしなかったんだ?あー、そうだ。灯ちゃんに出会って、何か良い感じに仲良くなれないかなとか思いながら下心で受験勉強一緒にしてて、灯ちゃんと同じ高校狙おうかな、出だしヘタレで失敗しちゃったけどこれから徐々にまた距離詰めてって、それで灯ちゃんと一緒に高校生活とか良いかもとか思ってて、全然、全然ちゃんと自分の進学する高校探してなかったじゃん。しかも、結局、灯ちゃんは灯ちゃんで意図があって俺に近づいてきてただけで、俺のことは別になんとも思ってなかったっていうね。俺と付き合いたいとか、一緒にいたいとか言ったって、別に俺のこと好きでそうって訳じゃなくて。ってか、ああいうのはちょっと怖いし、いくら可愛くても灯ちゃんはちょっと、ムリ。今はもうムリ。怖くて下心だけで付き合うとか、絶対ムリ。もっというと、お近づきになるのもちょっと遠慮したいかも。普通に接してくれるならさ、友達ならまだ大丈夫だけど。ちょっとくらいの変なとこは全然許容できるけど、でも、あんな調子のままだとちょっと、友達もきついかも。だって、話し全然通じないし、なんか怖いんだもん。つまり、結局、俺、春休み全然予定してたこと何もできてないじゃん。俺のバカ。マジでバカ。そんなことを考えて、奏太は気が重くなった。
「おう、奏太。春休み明けそうそう暗い顔してどうした?フラれた相手とまた一緒のクラスで気まずいのか?」
そう後ろの席に座っていた男子に茶化すように声を掛けられて、奏太は、振り返りながら、別にそんなんじゃねーしと返しつつ、そうだったと思った。そうだよ。俺、春休み前に近江に勘違いで告白して、見事玉砕して。うわっ、また一緒のクラスとか。マジで気まずい。そう現実を思い出して、チラッと友達と話している近江を盗み見て、奏太は心の中で溜め息を吐いた。とりあえず、不自然にならないようにできるだけ触れないようにしよう。近江はただのクラスメイト、クラスメイト。そう自分に言い聞かせて、なんか余計にフラれたときのことを明確に思い出して奏太は気が重くなった。
教室のドアが開く音がして、一瞬教室が静かになって、少しざわめく。
「ホームルーム始めるぞ。今日は転校生がいるから、まずは紹介からな。」
担任がそう告げるのを耳にして、教壇の方に視線を向けて、奏太は目に映った光景に固まった。担任の隣に立って、促されて自己紹介をしている転校生は・・・。
「うっそ。灯ちゃん?」
そう思わず呟いて、あまらさまに自分の方を見てニコッと可愛らしく笑う灯の姿を見て、奏太は背筋が寒くなった。
「なに、お前。あの転校生と知り合いなの?」
後ろの奴が背中をつつきながらそう声を掛けてくる。
「知り合いっていうか、なんていうか・・・。」
正直、もう関わり合いになることはないと思ってた。なのに、なんでここに居るの?ってか、何この状況。あの後灯ちゃんがどうなったのかとか気にならなかったわけじゃないけど。あの時、家を離れて恆のとこで暮らすみたいなこと言ってたけど、でも結局、灯ちゃんは、信仰を捨てることを完全には受け入れられない様子で。そんな灯ちゃんを俺や母さんに関わらせるわけにはいかないって、恆が灯ちゃんのこと連れて行って。その後どうなったか解らないけど、でも、恆のあの勢いとか、あの様子からもう二度と関わり合いになることはないんだろうなって思ってたのに。実際、あの後恆とは普通に会ってたけど、灯ちゃんとは一度も会わなかったし。心配っちゃ、心配だったけど、俺が気にすることじゃないって思ってたのに。なんで灯ちゃんがここにいんの?どうしてうちのクラスに転校してくんの?とりあえず元気そうだしそれは良かったなとは思うけど。なんか事情とか色々、そういうのもろもろ気になるけど、知りたくない。ってか、怖い。マジで怖い。めっちゃ笑顔だし。めっちゃこっち見てるし。可愛いけど、可愛いけどさ。その笑顔の裏に何かありそうで本当怖い。そんなことを考えているうちにホームルームが終わって、転校生に興味津々のクラスメイト達に席を囲まれた灯が、その人並みをかき分けて奏太のもとにやってくる。
「奏太様。」
嬉しそうにそう自分を呼びながら近づいてくる灯の笑顔が眩しくて、奏太は息が詰まった。何その顔。マジかわいい。でも、怖い。ってか、奏太様って何?様ってさ。やっぱ、灯ちゃん、まだ信仰捨てれてないでしょ。俺のことなんか変な意味で狙ってるでしょ。ムリ。そういうのマジムリ。本当、そんなキラキラした笑顔で俺の方に来ないで、俺に近づかないで。怖いから。そう思ってる奏太の周りで、何?奏太様って。楠城とあの子どういう関係なの?なんて、クラスメイト達に響めきが走る。
「アレから色々あって、わたし、本当に完全に宮守の家は捨てることにしたんです。花月様のあの姿を実際に目にしたわけではないからかもしれませんが、宮守の大人達は現実受け止められない人が多すぎて。大人達のごたごた見てたら、なんか急に今までの自分がバカらしくなって、興ざめしちゃったんですよね。なんでこんな人達に認められようと必死になってたんだろ、わたし、バカみたいって。それに、宮守の当主はお父さんだし、お父さんの言うことが絶対。お母さん達の言う事なんてきかなくても別に良いかなって。それで、わたしも家出て、改めてちゃんとユウ君とこっちで暮らすことにして・・・。」
そう嬉しそうに報告してくる灯を見て、奏太はちょっと引き気味にそれは良かったねと呟いた。うん。本当に良かったとは思う。灯ちゃんスッキリした顔してるし、嬉しそうだし、なんか楽しそうだし。でも、なんで敬語?家を捨てることにして、家を出てきて、どうして俺の扱いがこんなになってるの?俺達同い年だよね?家とか血筋関係ないなら、様つけられたり、敬語で話されるような関係じゃないよね?家は捨てるけど、信仰は捨てないとかそんな感じ?俺のこと、どういう扱いするつもりなの?やめて。本当、そういうの。マジムリ。マジでムリだから。
「あの、灯ちゃん。その。様とか付けたり、敬語はやめてくれないかな。俺達、ともだち・・・だよね?」
この様子の灯に他人と言ってどう反応されるのかが怖くて、奏太は内心びくびくしながらそう自分達の関係を確認してみた。
「そんな、奏太様。友達なんて。一時は仮初めでも恋人同士になった仲じゃないですか。少しの間でしたが寝食を共にし、キスまでした仲なのに。それに、あんなに情熱的にわたしに一緒に来いって、奏太様の日常を一緒に生きようと言って下さったじゃないですか。あの奏太様の男気に、わたし・・・。」
そううっとりとした様子で呟く灯を前に、奏太はえ?俺、そんなこと言ったっけ?ってか、誰それ。情熱的にとか、男気とか、俺にそんなものないけど。ってか、キスはしたと言うよりされただよね。合意のもとしたんじゃなくて、勝手に奪われたんだよね、俺。と頭の中がパニックになった。
「ソウちゃん最低。」
そうボソッと、怒気を含んだ女子の声が耳に響いて、奏太はハッとした。声の方に視線を向けると、軽蔑したような眼差しで自分を見ている近江と目が合って、背筋が寒くなる。
「転校早々、奏太様と同じクラスになれるなんて、これはもう運命ですよね。初めて会ったときだって、青い鳥を追いかけてたらわたしに出会ったって、あの鳥は本当に幸せの青い鳥だったのかもなんて奏太様おっしゃって。わたしのこと、かわいいって。こんな運命的なことが続くなんて、もう、本当、運命だと思いませんか?」
そんな灯の声が響き、近江がバンっと机を叩いて立ち上がる。なんで近江が怒ってるのか解らないけど、絶対、これ、俺に怒ってる。なんか解んないけど、ものすごく俺に怒ってる。とりあえず、何かヤバい。凄く、ヤバい気がする。そう思って、奏太は自分の前で妄想を爆発させて花を咲かせている灯を置いておいて、近江に声を掛けた。
「あのさ、近江。コレは、その。誤解・・・。」
「なにが?わたしには全然全く関係ないけど。」
「うっ、それは。いや。その。あの、関係ないって言うけど、でも、だって、なんか怒ってない?」
「別に怒ってない。ちょっと、ソウちゃんが春休み直前のあのこと気にして落ち込んでるんじゃないかなって心配してた自分がバカだったなって思ってるだけ。」
「えっと、その・・・。」
「良かったね。かわいい彼女ができたみたいで。」
「違っ。コレには訳が・・・。ってか、灯ちゃんと付き合うつもりはないし。」
「はぁ?なにそれ。失恋した勢いか何かしらないけど、ナンパして女の子引っかけて、キスまでしておいて付き合わないつもりなの?本当、最低。ソウちゃんがそんな人だったなんて知らなかった。バカだし、惚れっぽいけど、そういう軽薄なことはしない奴だと思ってたのに。そう言う男、心底軽蔑するんだけど。もう、話しかけないでくれない。そんな最低男と仲良いとか思われたくないし、迷惑だから。」
そう絶対零度の視線を向けられて、奏太はショックすぎて全身硬直状態で何も考えられなくなった。教室を去って行く近江の姿が見える。なんか、女子達の冷たい視線が痛い。それとは裏腹に灯がキャッキャと嬉しそうにくっついてきて、奏太は呆然と、これはマジで詰んだと思った。
「前は立場をわきまえて側女として置いて下さればと言いましたが、もう遠慮せず、本妻狙いで良いですよね?奏太様、わたしのこともらって下さい。」
「すみません。返品でお願いします。」
「そんな。奏太様、そんなこと言わないで。今なら本気で、わたしの全部奏太様に捧げられますよ。」
「うん。いらない。本当、いらないから。お願い、灯ちゃん。俺のことほっておいて。マジ、ムリ。本当、ムリ。本当、そういうのいらないから。」
そう言って、灯を振り払って全速力で逃げる。いったい逃げてどうなるのか解らないけど、とりあえず、なんていうかこの場にいたくない。マジでいたくない。ってか、逃げたところで教室に戻り辛い。マジで。俺、この先、どんな顔でどんな風に学校生活送れば良いの?そう思うと奏太は泣きたくなってきた。
「奏太様。何処に行くんですか?」
そう言いながら灯が追いかけてくる。
「本当、追ってこないで。俺のことは諦めて。」
「えー。それはムリです。わたし、奏太様のお嫁さんになれるように頑張りますから。奏太様の理想のお嫁さんになれるように、全身全霊頑張りますから。」
「頑張らなくて良いから。そこ、頑張らなくて良いから。マジで。」
「じゃあ、このままのわたしを受け入れて、お嫁さんにして下さい。」
「ムリ。ってか、俺達まだ結婚できない年だからね。法律的にもムリだから。」
「じゃあ、十八になるまで待ちますから、とりあえずは婚約者と言うことで。」
「そう言う問題じゃないから。灯ちゃん、ポジティブすぎだから。ムリなものはムリだから。お願いだから、諦めて下さい。本当に。」
「それはムリです。だって、奏太様のお嫁さんにならないと、花月様の娘になれないじゃないですか。わたし、決めたんです。奏太様と結婚して、花月様の娘になるって。そして、家族仲良く・・・。」
「って、結局、灯ちゃん。母さん狙いなの?俺通り越して、母さんと家族になるために俺を狙ってるの?マジ、勘弁。俺はちゃんと好きな人と付き合って、普通に恋愛結婚したいから。そういうのは本当にお断りさせて下さい。」
「大丈夫、ちゃんと奏太様のこと好きですよ。だから、結婚を前提に付き合って下さい。」
「ちゃんとって何?本当、その後ろ側が怖いんだけど。ムリ、本当、ムリだから。お願い、俺のことはそっとしておいて・・・。」
そんなことを叫びながら、校内をひたすら追いかけっこして走り回り、新学期早々先生に捕まって説教をされて、自分の教室に戻されて。奏太は自分の席について、机に突っ伏して大きな溜め息を吐いた。
「なんか良く解んないけど、奏太もやるな。」
そう後ろの奴に声を掛けられて、奏太はもうムリと呟いて力尽きて項垂れた。
次の日登校すると、無表情の恆に引きずられて灯が教室に入って来て、教壇の前で恆にどつかれながら昨日の騒ぎの謝罪をさせられているのを見て、奏太は何やってるのと思った。とりあえず、感情の読み取れない顔で静かに威圧感を発している恆が凄く怖い。
「で?お前、一番謝らなきゃいけないの誰だか解ってんだろうな?」
普段聞くことのない恆のドスのきいた声に、自分が言われたわけじゃないのに無意味に肝が冷える。そんな恆の威圧感に、灯が土下座をして、奏太君すみませんでしたと謝ってきて、奏太は気が引けた。
「それだけか?ちゃんと、事実をハッキリさせて迷惑掛けた落とし前つけないといけないんじゃないのか?なぁ。ほら、春休み中、通ってた私立中学の勉強についていけなくて俺に泣きついたくせに、俺のスパルタが嫌だって逃げ出して、たまたま窓から逃げて行方不明になってた俺のペットの小鳥見付けて捕まえたお前と、そいつが飛んでるの見付けて捕まえようとした奏太が遭遇して、奏太の挨拶代わりの軽口を本人が違うって言ってるのにナンパされたって言い張って、奏太に迫ったのはどこのどいつだったっけ?ついでに、奏太が俺の友達だって知ったら、奏太に俺の代わりに勉強教えてくれって泣きついて、勉強教えてもらっといて、でも、結局、通ってる学校のレベルに追いつけなくて、奏太に逃げ出したいとか弱音吐いて、お人好しの奏太が色々慰めてくれるのに調子のって、奏太の甘さにつけ込んで奏太道連れに家出騒動起こしたのはどこのどいつだったっけ?しかも、その気がないって言ってる奏太に強引に迫りまくって、無理矢理キスした挙げ句、逃げられたくせに追いかけ回して、俺とやりあうことになったのはどこのどいつだったっけ?ほら、ちゃんと自分の何がいけなかったのか口に出して、説明しろよ。そして心の底から反省して謝罪しろ。ってかさ、奏太に迷惑掛けないって約束で親の説得協力してやったんだよな?それで、お前私立やめて公立に転校してきたんだよな?なのに、転校早々なにやらかしてんの?どういうつもり?俺に喧嘩売ってんの?ってか、本当、奏太にきちんと謝れ。そして、もう、奏太に近づくな。聞いてんのか?おい。この空っぽの脳味噌は、ちゃんと何言われてるんだか解ってんのか?」
そう土下座している灯を無表情のまま見下ろしながらそう淡々と追い打ちを掛ける恆の姿が本当に怖くて。そうされて小刻みに震えている灯の姿が、とても痛々しくて。奏太は、思わず、そこまでしなくてもと声を掛けていた。
「別に、俺は大丈夫だからさ。いや、あんな風に追いかけ回されるとマジで怖いし、ああいうのは本当勘弁だけど。でも、本当、土下座とかいらないし。それに、灯ちゃんだって、悪気があった訳じゃ・・・。」
「悪気がないからって、何しても良いわけじゃないだろ。」
「それはそうだけど、でも。ほら、転校してきて知り合いも少ないのに。しかも、俺、同じクラスなのに、関わるなはムリなんじゃないかな。ってか、俺、灯ちゃんに、俺と同じとこきたら、色々案内するって約束してたし。灯ちゃんが私立やめて公立選んだこと後悔しないように、灯ちゃんが楽しく過ごせるように協力するってさ。確かに、灯ちゃんも行き過ぎちゃったかもしれないけど、もとはと言えば俺が軽い気持ちでそんなこと約束してたから、勘違いさせちゃったというか。俺にも責任があるというか。一方的に、灯ちゃんが悪いわけじゃ・・・。」
そうしどろもどろに恆の作り話に乗っかりながら擁護というか弁解というかをして、恆に呆れたように溜め息を吐かれ、奏太は苦笑した。
「奏太。こういうストーカー気質の奴にそうやって情け掛けると、本当つけあがるし、止められなくなるぞ。お人好しもいいかげんにしろよ。そんなんだとお前、そのうちマジで人生棒に振るぞ。」
そう言われ、何も返すことができなくて息が詰まる。
「いや。でも、仮にもお前の妹だし。そんな邪険にするのもさ。」
「半分しか血繋がってないし、こんな奴と同類とか本当認めたくないけどね。でも、まぁ、奏太がそう言うなら、今回だけは大目に見てやっても良いけど・・・。」
そう言いながら鋭く冷たい視線を灯に向けて、恆は、次やらかしたら解ってるだろうな?と低い声で念を押し、灯がそれにか細い震える声で、解ってますと返した。
コレで解決?そう思うが、昨日とはまた違った感じで、周りの視線が痛い。結局、俺の新学期は前途多難な気がする。そんなことを思って奏太は、心の中で大きな溜め息を吐いた。




