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魔術少女と呪われた魔獣 ~愛なんて曖昧なモノより、信頼できる魔術で王子様の呪いを解こうと思います!!~  作者: 朝霧 陽月
新情報やら幼馴染くんとの小競り合い編 《五日目の2部》

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92 カイくんの洗礼的な受難-別視点-

 くっそ、あのオッサンめ……!!

 グレイオス様との通信を終えた俺は、廊下を歩きながら先程のやりとりを思い返して舌打ちをした。




『そうそう言い忘れていたがカイアス。お前がそちらにいる期間は、有給休暇扱いにしているからよろしくな』


『は?』


『なに、心配せずともちゃんと手当ても付ける』


『いや、そもそも有給休暇と言っても休暇扱いなのがおかしい……』


『おーっと、悪いが俺はこれから予定があるので通信はここまでとする、さらばだ!!』


『ちょ、待って下さいよ陛下……!?』


『あっ、でも定時連絡と緊急時の連絡は必ずしてくるように、それではっ』


『陛下ぁぁぁ!?』




 あのクソ上司、ドサクサに紛れて俺の休暇を使い切るつもりだ。

 だからこそ、この件に関しては絶対抗議しなくてはならない……!!

 ただでさえ今でも、仕事名目でくだらない用事の呼び出しをしてくるのに……そのうえ、元々多くない休暇まで奪われてたまるかぁ!!


 しかも、さっきのグレイオス様の『アーク様が来る』というリアを追い払うための嘘のせいで、まるで俺が嘘を付いたみたいになっているし……くそっ。


 しかしなんであの父娘(おやこ)は、そういうイラっとするところばかりが似ているのだろうか。

 まったく、たちが悪いにもほどがある……!!



 …………まぁ、グレイオス様の件は後でどうにかするとして、それよりも今の問題はリアだな。


 もうアイツが部屋を飛び出した時から、そこそこ時間が経っている。

 それだけでも厄介だというのに、加えて俺がこの建物のことを全然把握していないこともあり、リアの行き先の見当が全く付きやしない。


 ちっ、面倒くさいがテキトーに見て回るしか……っっ!?


 と、その時だ。

 かなり後方だが何かの近づく気配を感じ、俺は反射的に剣に手を掛けながら振り返った。


「「「きゃー!!」」」


 すると俺が振り返ったのと、ほぼ同時に何故か女性の叫び声が聞こえてきた。

 まずおかしな、その点にツッコミを入れる間もなく。そこで目に飛び込んできた奇妙な光景に、一瞬目を(うたが)ってしまった。


 は、えっ……あれは宙に浮いた、ハサミとヒモと棒? いや、なんで通路の向こうから、ぷかぷか浮かんだハサミやらなんやらが飛んでくるんだよ?

 ぱっと見、魔術的な仕掛けもなさそうだし……。

 そうして俺が困惑している内に、ぷかぷかと目の前まで飛んできたハサミは、俺が何かするよりも早くこんなことを言った。


「あの!!貴方様は、先程リア様と一緒にいらっしゃったお方ですよね!?」


 ん? 僅かな間に撃退方法を2、3思い浮かべてしまったが、リアを知ってるということは……ああ、そうか思い出した。


 これがリアのやつが言っていた、ケモ王子と一緒に呪いを掛けられた王子の従者たちか。

 確かに、事前に聞いていた条件とも一致しているし、間違いないだろう……ただ、いきなり叫び声を上げながら近づいてきたり、やや興奮気味であるなどおかしな様子ではあるが……。

 まっ、それでも表立った敵意はなさそうに見えるし大丈夫だろう、たぶん。


 そのような判断を下した俺は、剣から手を離し、笑顔を作って彼女たち……いや、声からしてたぶん女性だと予想しただけだが、その人たちに答えた。


「はい、自分はリアと同郷の出身で彼女を手伝うため、ここに滞在することになったカイアスと申します」


 ケモ王子には、ついイラついて喧嘩を売ってしまったが、わざわざ嫌われるようなことをすることもない。

 だからまぁ、ここは普通に対応しておくか……と思ったワケだが。


「まぁ、カイアス様と仰るんですね!?」


 っと!? なんだその食いつき方は、ビックリして思わず身構(みがま)えかけちまったじゃねぇか……。


 予想外の食いつき方をされて内心驚いたものの、そんな部分を表に出しても仕方ないので「はい、どうぞよろしくお願いします」と笑顔を作って当たりさわりのない返答をして置いた。


「そして、リア様と同郷のお方……!!」


 いや、何故そんなに(りき)んで、その台詞を言うんだよ。理解出来ねぇよ。

 でもそれを言えるわけないので、返事はテキトーにしておくか……というか全部テキトーにしよう。


「そうです」


「そのうえ、とびきりの美男子(びなんし)という!!」


「ええ…………え?」


 いやいや、待て!! 全部聞き流すつもりでうっかり頷いてしまったが、それはどう考えてもおかしくないか……?


「ああ、申し訳ございません。ご存じかも知れませんが、実は私たちは長い間呪いを掛けられておりまして……」


「はい、それは存じておりますが……」


 まぁ、その辺りの話は流石にリアから聞いているからな。流石に。


「その影響で、生身の人間と触れあう機会が極端(きょくたん)に減ってしまっており……」


「それは難儀(なんぎ)なことで……」


「だから、美形に飢えているのです」


「はっ、はぁ……」


 一瞬同情しかけたが、今なんかおかしなことを言わなかったか?

 俺の気のせいであれば良いのだが……。


「そこで美男子のカイアス様が、こちらにお越しになったので……つい興奮してしまいまして」


「…………」


 うん……聞き間違えではなかったな、そして一切理解出来ない。


「確かにリア様もお美しいし素敵なのですが、やはり男性がいらっしゃってくれたことが非常に嬉しくて」


「そ、そうですか……」


「やはりカイアス様はさぞかし、女性からおモテになるのではありませんか?」


「いえ、別にそんなことは……」


「ご謙遜(けんそん)される必要はございません、私たちには分かりますので!!」


「……」


 いや、確かに容姿を褒められる経験自体は、別に少なくもなかったが……な。

 ここまで色々直球で、おかしなことを言ってくるやつは前代未聞(ぜんだいみもん)だぞ!?

 なんだ、これももしかしたら呪いの影響か?


 そもそも今のこの状況、この三人がうきうきノリノリで、下手に放っておいたら延々とこの話をしてきそうなのだが!?

 くっ、グレイオス様のだる絡みを切り抜けたばかりなのに、最悪じゃねぇか。

 ここはなんとか話を逸らさなくては……。


「実は俺……いえ、私は今リアのことを探しておりまして、居場所をご存じだったりしませんかね?」


「あっ……はい、それなら知っておりますよ」


 あっ知ってた、話をそらすだけのつもりだったが……これは運が良いかも知れないな。

 少なくとも自分の中では、そう言い聞かせておこう。


「あ、でも……」


「ん、どうかなさいましたか?」


「いえ、ただ一応お聞きしたいのですが、そのご用は急を要するものなのでしょうか?」


「ええ、もちろんです」


 他でもない、俺がここに来た意味はアイツの側に居ることだからな。

 だから当然、俺がアイツを探すのは急を要するし、一分一秒でも早く本人を確保する必要がある。


「分かりました……それではリア様の居場所をお教えいたしましょう」


 微妙に含みがある答えなのが気になったが、どうにか彼女たちからリアの居場所を教えて貰うことが出来た。


 よし、これで余計に探し回る手間が省けたな。

 それについては本当によかったが……しかしこの短い時間で、妙に気疲(きづか)れした気がするのは何故だろうか。

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