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魔術少女と呪われた魔獣 ~愛なんて曖昧なモノより、信頼できる魔術で王子様の呪いを解こうと思います!!~  作者: 朝霧 陽月
幼馴染くん登場編 《五日目》

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81 幼馴染くんとの総まとめ

「それでだ……例えお前がその時に嘘をついてたとしても、ご聖託(せいたく)(くだ)されていることは間違いのない事実だ」


「そうだね……」


 仕切り直したカイくんが真面目な顔で言うので、私も真面目に頷く。


「だから少なくとも、今後はその通りの行動をしてもらうが……それはいいか?」


「うん、それ自体はいいんだけど……」


もちろん、それ自体に異論はない。

だけど個人的に、その話でちょっと引っかかってる部分があるんだよね。


「どうした?」


「そのご聖託の内容の中に、私の行動については含まれてないんじゃないのかなって……」


「なに?」


 私の言葉を聞いて、カイくんの表情がまた険しくなってしまった。

 わぁ……もしかして、さっきのやり取りのせいでまだイライラしてる……?


「ほら、自分でいうのもなんだけど、私は勝手に外に出て勝手に行動していたわけだし……私のことは勘案(かんあん)されてないんじゃないかなぁと……」


「…………」


「いや、別に手伝いたくないわけじゃなくて、ここで私が関わっても大丈夫かどうか不安だなぁと思って……」


私は気まずくて、ちらちらとカイくんの様子を伺いつつそう言う。

だって、さっき情報の制限もされてるようなことを言ってたし……下手なことして余計に私の立場が悪くなるのは嫌なんだよね。

まぁ、既に色々とマズいけれども……!!


「……それなら、心配にはおよばない」


「え?」


「むしろお前のことはガッツリ加味されたうえで、その手伝いをしろって内容だったらしい……だからこそ、お前の言動に不自然さはあれど嘘だと思わなかったわけだ」


「えぇー!?」


 思わず叫んでしまったものの、そのあとはびっくりし過ぎて言葉が出ず、ただただ口をパクパクすることになった。

 え、それならなんでさっき聞いた時点で言ってくれなかったの? あ……私が知ってると思ってたからか!! そっかー、納得だねぇ!?


「むしろ驚いてるのは、俺の方だと思うんだけどな……」


「えーっ、いや、だって、えぇ…………逆になんでそこまで、私の嘘へ沿()ったような内容になってるの?」


 ま、まさか、私が天才過ぎていつのまにか何かしちゃってた?

 ……いや、さすがにそれはないか。


「俺が知るわけない」


「だよねぇ……」


 予想通りの返答に、私がいい加減に頷いていると、なぜかそこでカイくんが私の顔を見てニヤリと笑う。

 ん、んん……え、その笑いは何?


「まぁ、でもそこまでお前の嘘に沿っているなら、分かっててワザと乗っかってきてるんじゃないか? 何しろあのお方だからな〜」


 するとカイくんは、からかうような軽い口調と楽しげな表情で、そんなことを言い出した。


「そ、それは……さすがに怖いんだけど」


 カイくん自身は、いくらかふざけた様子で言っているが、私にしてみれば本気で恐ろしい。

 だってそれって、私の行動が全部見られてたってことになるよね……?

 そしたら私が、どれほど怒られるか…………あ、いや、思ったより大丈夫かもしれない。

 たぶん、きっと、恐らく……でも、出来れば見られてない方がいいなぁ。


「そう思うのなら、今後はいつも見られてると思って、妙な行動をつつしんでおけ」


 しばらく私の様子を楽しむように見ていたカイくんだったが、そこで大きく息を吐き出すと、今度はイタズラを叱るときのような顔を私に向けながら、そんなことを言った。


「……その言い方だと、まるで私がいつも妙なことをしてるように聞こえるんだけども……?」


「してるだろう、実際」


「ひ、酷い……傷ついた……」


 私がそう言いながら、口を抑えて俯いたところで、カイくんの「嘘つけ」という切り捨てるような言葉が私の耳に届いた。


 う、うぅ…………いや、さすがにこれは芝居がかり過ぎていたか。


 えーでも、なんか嫌だなぁ……本当に見られてるのかな……? かなぁ?

 うーん…………まっ、これはいま考えても答えが出そうにないから保留にしよう。

 そう、人生において考えすぎず保留にすることは、とても大事なことなのだ。そろそろ、色々積み過ぎている気もしないでもないけど、気にしない気にしない。



「しかしそうなるとお前が今持っている情報と、俺が知っている情報のすりあわせをしたうえで、今後の方針を決めた方が良さそうだな」


 カイくんの方も、これ以上私のわるふざけに取り合う気はないようで、勝手に話を元に戻したうえで進め始めた。

 まぁ、この対応はいつも通りのことなので、私も調子を合わせて「そうだね……」と頷きつつ彼の話に乗ることにした。


「とりあえず私としては、アルフォンス様の呪いの件を優先しつつ、同時に大精霊様のことを調べるのがいいと思うんだけど……」


 あれ、今度は一切変なことを言ってないつもりなのに、なぜかまたカイくんが険しい表情をしている。


「おい、アルフォンス様って?」


 ああ、なるほど……そこが分からないから、引っ掛かっていたんだね?

 確かに、今のは我ながら不親切だったかも知れない。


「アルフォンス様というのはね、カストリヤの王子様で諸事情で呪いをかけられてしまっていて……」


「いや、それ自体は事前に聞いていたから知っている」


 あれ、知っている感じなの?

 え、じゃあ、一体どこが引っかかったのかなぁ……。


「で、そいつの呪いをどうするつもりだって?」


 な、なんかカイくんの声が急に低くなった気が……えっ、なんか怒ってない?

 今回はさすがに何もしてないよ私!? それとも今日は機嫌が悪い日とかなのかな?


「だからね、その呪いは大精霊様の異変とも関係がありそうだから、関連性を調べつつ呪解(じゅかい)をしようと思ってるんだけど……」


「それは本当に必要なのか?」


「え……?」


 カイくんのその問いに、私は困惑した。

 だって、どういう意味で言ってるのかが、まず分からなくて上手く理解も出来なかったんだもの……。


 そうしてカイくん自身も、私が理解出来てないことをすぐに察したらしく、こう付け足してきた。


「俺は事前に、その王子があまり良くない人物らしいと聞いた……だからお前が、わざわざそいつに近づくべきではないと思っている」


 ああ、そっか……さっき話に出たお兄様と同じように、カイくんもアルフォンス様へ、あまり良い印象を抱いてないのか……。


「でも、アルフォンス様はそんなに悪い人じゃないし……少なくとも私が知る限りは、親切でいい人だったよ?」


 昔のことは知らないけれど、今の親切なアルフォンス様を知っている私からすれば、面識もないのに勝手に悪く言われることは嫌だったので、ささやかながら反論してみたのだが……。

 私がそう言った瞬間、カイくんは「ハッ」と鼻で笑った。


「どうせお前はまた少し話を聞いただけで、自分が呪いを解いてやるとか調子のいいことでも言ったんだろ?」


 ぎ、ギクッ!!


「そりゃまぁー、他に頼れるものもないような落ち目の王子なら、必死に良い顔を作って(すが)ってくるはずだろうな」


「い、いやー、別にそんなことはないと思うけど……!?」


 ま、まだそこまで詳しく話してないのに、私の行動がかなり見抜かれているっっ!!

 あと、さりげなくアルフォンス様への言い草が、色々と酷いのも気になるんだけども!?

 い、いまはとにかく、言い訳を……何か適当に……!!


「いや、お前のその手の発言は信用出来ない。その一件からは手を引け、これ以上ややこしくなるのはごめんだ」


 私の考えがまとまる前に『はい、おわり』と言わんばかりにピシャリと言い切るカイくん。

 あ、あ、あ、まずい、これはこの話を終わらせようとする流れだ!?

 このままだと、私が何も言えなくなってしまう……!!


「あ、いやー、でもさ?」


「なんだよ」


「…………私、アルフォンス様の呪いを解くって言っちゃったし」


「やっぱり言ってるじゃねぇか!?」


 ああ!? 何も思い付かなすぎて正直に言っちゃったよ!!

 ダメだ、こうなったら、もうこのまま行くしかない……!!


「まぁまぁ、言っちゃった以上仕方ないしやろうよー! ほら、カイくんも協力する感じで、ね?」


「『ね?』じゃねぇよ!! そんなノリで手を出す案件じゃねぇからな!? 今回ばかりはダメだ、諦めろ」


 ふぇーん、ダメだ……。

 いつもなら、このノリで言えば大体『しょうがねぇなぁ……』って言ってくれるのに、今回は全力で諦めさせようとしてくるよぅ。

 目付きも本気で過ぎて怖いよぅ……うぅ。


 でもでも、諦めるわけにはいかないので頑張る……。


「知ってるかも知れないけどさ……呪いが掛けられている人はアルフォンス様だけじゃなく何人もいて、みんな十年以上大変な思いをしてるらしいし、オマケに辺り一帯の森まで呪われてて大変みたいなんだよ?」


 少し考えて、根が優しいカイくんにどうにか響くように、今度の私は『え、困ってる人を放っておくの?』アピールをすることにしました。

 ほら、いいの? 正義感が強くて優しいカイくんは、そういうのを無視するのは嫌だよね? ね? しかも、たくさんいるよ?


「……そんなの俺の知ったことじゃない」


 私の言葉を聞いた瞬間、彼の表情はやや揺れたものの、すぐそれを消して無表情になり、そのままそっぽを向いてしまった。

 こ、これは!? もう話を聞くつもりはないという意思表示では……?

 それはとても困るっっ!!


「か、カイくんお願いだから聞いてよ……!!」


「嫌だ」


「一生のお願いっっ!!」


 私は、そっぽを向いてしまったカイくんの目の前に回り込み、そこで一生懸命お願いをするが……私と目が合ったカイくんは、一瞬顔をしかめた後に、今度は目まで閉じてしまった。

 そ、そんなぁ!? で、でも声だけは絶対に聞こえてるはずだから、ここで諦めるわけには……!!


「じゃ、じゃあ、これを聞いてくれたら、私も何か一つカイくんのお願いを聞くっていうのはどうかな!!」


「…………」


「ほらほら、お得だよー!?」


「…………」


 それから私は、カイくんの左右へ交互に周り込んで「ねぇねぇ」「お願いー」などとしつこく声を掛け続けた。

 続けた分だけ、カイくんの眉間に分かりやすく、シワが寄っていっていたが、それについては完全に無視した。


 そしてしばらくそんなことを続けたところで、カイくんは大きなため息とともに目を開いた。


「…………分かったよ、俺の負けだ」


「やったー、ありがとうー!!」


 私は嬉しくて嬉しくて、カイくんの周りをぴょんぴょんと飛び回った。

 そんな私を見るカイくんの目が、呆れきってるというか物凄く冷たい気もするが、この際は気にしないでおこう。


「聞け、ただし条件がある」


「……条件?」


 カイくんがあまりに真剣な声と表情でいうので、私は思わずビクッとした。

 え、なに……? ちょっと怖いんだけど……。


「俺が途中で危険だと判断したら、呪いの件からはすぐに手を引け……それが絶対条件だ」


 カイくんのあまりの真剣さに思わず身構えていた私だったが、言葉を聞いたところ、そこまで大した条件でもなかったので、私はすぐに頷いた。

 なーんだ、そんなことかー。


「分かった、それは約束するよ」


「それなら気は進まないが、とりあえずはいいだろう……本当に気が進まないがな」


 本当に嫌々という様子のカイくんは、そう言い終えると何回目か分からない大きなため息をついた。

 あー、疲れてるな……これに関しては明らかに私のせいだけど……。


「カイくん、本当にありがとうね」


「おう……」


 私が御礼を言っても、カイくんはいまだにむすっとしていて不機嫌そうだ。

 うん……そこまで嫌なのに、カイくんはわざわざお願いを聞いてくれたんだよね……。


「私さ、カイくんのそういう大好きだよ」


 一因として私が諦めそうじゃないから、あえて折れたというのもあるのだろうけど……。

 それでも、そこまでの意志を曲げて、私の気持ちを()んでくれたことは素直に嬉しかったんだ。

 だから私は改めてそう言った。


「はぁ……そういう言い方は、まったく嬉しくねぇんだよな……」


 ちらっと私の顔をみたカイくんは、またため息をついたあとに、何かブツブツと言っていたけれど、それについてはちゃんと聞き取れなかった。

 でも今の流れ的に、きっと私への愚痴だろうから、わざわざ聞き返すのは止めた方がよさそうだね……。


 だから私はそこで流れを変えるためにも「そうそう」と口にして、わざと違う話を振った。


「さっきカイくんが出した条件と、私がお願いを聞くっていうのは別ものだから、そっちはそっちで考えておいてね! 私も言った以上ちゃんとするから」


 カイくん自身は「へいへい」と聞いてるのか聞いてないのか分からない返事をしていたけど……まぁそういうのはよくあることなんで、それはそれでいいかな。

 忘れてそうなら、私の方で勝手に催促(さいそく)するし。




 そんなやりとりを終えたところで、ふと辺りの景色をみると、空がだいぶ(しら)んで来ていることに気付いた。

 あっ、もうこんな時間になってたんだ……。


「そろそろ夜も明けそうだし、古城に戻ろうかな」


「そうだな……ってお前なんて言った?」


 何気なく私が口にした言葉に、カイくんが一瞬同意しかけたと思ったらギョッとした顔で突っ込みを入れてきた。


「え、だからアルフォンス様のいる古城に戻ろうかなって言ったんだけど……私、あそこに部屋を借りてるから」


 私のその言葉を聞いた瞬間、またしてもため息をついたカイくんは頭を抱え、何やらぼそっと呟いた。


「……アーク様が来なくて本当によかったな」


「え?」


 それについて詳しく聞こうとする前に、顔を上げたカイくんが私を見ながらこう聞いてきた。


「あー、一応聞いておくが、お前は何か酷いことをされたりはしてないんだよな?」


「えっ、全然、むしろ物凄く親切にしてもらってるよ!!」


 私はそう聞かれた瞬間、アルフォンス様のもふもふを思い出して笑顔で答えると、カイくんは何とも言えない表情で「それはなによりだ」と頷いた。

 ん、これは一体どういう意図だったのかな…………うーん、分からないなぁ。


 あ、そうだ、そんなことよりももっと大事なことがあるじゃない!!


「そうだよ、カイくんも古城についたらお部屋を借りようねー!? たくさん空き部屋があったから、それを見て回るだけでも面白いと思うし、あと古城自体が古くて歴史のある建物みたいだから、それをみるのもいいし……」


「待て、その古城とやらに俺も行くことは、もう決定事項なのか……?」


 私が、カイくんを古城へ連れて行くことを想像して、ワクワクと色々なことを語っていたところ、呆れたような声のカイくんに話を(さえぎ)られてしまった。


「え、それ以外にあるの?」


「あるだろう、街で宿を取るとか……」


「えぇ……じゃあ、カイくんとは一旦お別れかぁ」


 せっかくカイくんと一緒にいられると思って、色々と楽しみになっていたところだったのに残念だな……寂しいな……。


「なんでだよ、お前が行くほうに俺も行くに決まってるだろ。ここまで来て、一人にさせられるわけないからな」


「本当!? わーい、やったー!!」


 なぁんだ、やっぱり一緒にくるんだー!?

 そうだよねーそうだよねー? カイくんだもんねー!!


「そんなに嬉しそうな顔をすんじゃねぇ、ばーか」


「えへへ」


 カイくんにそう言われても、嬉しくてニコニコ顔がやめられない私は、そのまま「それじゃあ、残りの話は歩きながらで……」と言いかけたのだけど、ふと気がつくとカイくんが私の顔を見てニヤリと笑ったのに気づいた。

 あ、これは……!?


「隙あり!!」


 するとカイくんはそう言いながら、私の髪をくしゃくしゃとするように頭を撫でてきた。


「あわわわわ!?」


「と、これでよし」


「よし、じゃないよ! いつも、それはやめてっていってるよねー!?」


「ちゃんと先に、隙ありって言っただろう?」


「そういう話じゃないもん!!」


 もう、カイくんのせいで髪がぐしゃっとしちゃったよ……。

 触るなとは言わないけど、もっと丁寧に扱って欲しいね、ぷんぷん。


 私が一生懸命、手櫛で髪を整えていると、カイくんが何故かじーっとこちらをみてきたので、慌てて頭を手でを覆って守った。

 ダメダメ、もうさせないからね?


 そんな私の様子に、カイくんは苦笑いを浮かべて手をひらひらさせた。


 え、もうやらないって……?

 い、いや、そう簡単には信じないよ!?


 私がますます警戒して守りの姿勢に入ると、今度のカイくんは口を抑えてクスクス笑い始めた。


 も、もう!? なんなのよ、わざわざ私のことをからかってバカにして……そういうこと、する方がバカなんだからね!?

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