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魔術少女と呪われた魔獣 ~愛なんて曖昧なモノより、信頼できる魔術で王子様の呪いを解こうと思います!!~  作者: 朝霧 陽月
幼馴染くん登場編 《五日目》

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78 幼馴染属性という運命づけられた不憫

「えっ、えぇー!! カイくん、どうしてここにいるの!?」


 私と目があったカイくんは、険しかった表情をゆるめ、代わりに大きなため息をついたと思ったら、つかつかとコチラに歩いてきた。


「いや、お前こそ何やってんだよ……」


「え、私?」


 そう口にするカイくんは、完全に呆れたような目でこちらを見ている。

 え……そんな反応をされるようなことなんて、別に……。


「さっきまで大声で変なことを叫んでただろ、なんなんだよアレ……」


 あ、してましたね……!!

 確かに、あれを聞かれたのならば、この反応も仕方ないね。うん。


「えーっと、あれは一応人探しのためだったんだけどね……カイくんも一緒にやる?」


「絶対にやらねぇよ……」


 ですよねー。私も他の人から誘われたら断るもの。

 まぁ、そんなことは分かりきってるので、別にどうでもいいんですけどね?


「で、話は戻るけど、カイくんはどうしてここにいるの、休暇中の旅行とか?」


「……お前は本気でそう思ってるのか? 俺が休暇を取ったうえで、異国の辛気臭(しんきくさ)い森にわざわざ一人で来るような趣味があると?」


「いやー、長年付き合いがあっても、人の趣味って分からないものだねー」


「ふ、ざ、け、る、な」


 なんだかカイくんとのこういうやり取りが久しぶりで、段々楽しくなってきた私はつい「えへへ」と笑ってしまった。

 あ……きっとそれに対しても、何かチクリと言われるだろうなぁ。


 しかしそんな予想に反して、カイくんは「はぁ」と小さくため息をつきながらも、ふっと表情をやわらげた。

 ん、あれ? いつもなら、もうちょっと色々言ってくるはずなんだけど……?


「しかし、お前がいつも通りの様子で安心したよ……」


 そうして言葉通りに安堵したような笑みを浮かべ、私を優しく見つめてくるカイくん。

 その普段とは、随分と違う様子に私は……。


「えっえ、何か悪いものでも食べたの……?」


 本気で彼のことが心配になった。


 いや、だっていつものカイくんなら心配するにしても、こんなそぶりはみせないし……どちらかというと『お前、ホントどうしようもないな』って目を向けてくる性格だし……。

 ほら、オマケに今、ガクってうなだれたよ……!! やっぱり調子が悪いんじゃ……!?


「ああ、お前はそういう奴だったな……本当に変わりがなくて心底安心したわ」


「ねぇ、体調不良に効く薬でもあげようか?」


「いらねぇよ!!」


 あ、でも反応を見るに、思ったより大丈夫そうかもしれない。

 よかったよかった……。


 でも喜ぶ私とは対照的に、カイくん自身はちょっと不機嫌そうだ。

 そんな彼は大きなため息をつきながら、私から顔をそらすとぶっきらぼうにこう言った。


「でも誰かさんのアホっぷりなら治したいので、それに効く薬があればくれ」


 ん……私を遠回しにアホだと言ってること自体は分かるんだけど、これは一体どういうつもりなんだろうか?

 まぁ、そんな薬はないし、そもそも私のどこにも治す必要性がないので、諦めてもらうしかないけどね!!


「流石にそれはないので、その人には残念だけど諦めてもらって?」


 ここのその人とははもちろん、カイくんのことね。


「……まぁ、そうだよな」


 うーん? あれ、もっともっと言い返してくると思ってたんだけど……やっぱり調子が悪いのかな?


 そんなことを思っていると、カイくんは気を取り直すように頭を振ってから、改めて私のことを見ていった。


「とりあえず、このままじゃ(らち)が明かないから話を戻すぞ」


「うん、まったく誰のせいだろうねー」


「…………それで、俺がここに来た理由だったな」


 微妙に長い間は、私の発言に対して何か言うのをグッと(こら)えたからだろう。

 この辺は、割と普段通りなので問題ない。


「俺がここに来たのはな、アーク様の代理だ」


 ん、んん……?

 あれれ、よく分からなかったぞ?


「もう一度聞きたいんだけど、なんだって?」


「お前の実の兄、アークスティード様の代わりだ」


 え、カイくんがお兄様の代わり……?


 えーっと、それじゃあお兄様からカイくんに私の情報が伝わって、彼が代わりにここに来た……。

 そこまでは、いいんだけど、それじゃあ私のついた嘘って一体どうなってるのかな?


 私の嘘がバレてたら、すぐさまお兄様本人が飛んで来て私をボコボコ……じゃなくて状況を聞こうとしそうなものだから、代わりにカイくんが来るっていうのが、そもそも変なんだよね。


 ……ダメだ、やっぱりどういう状況か、まったく分からない。

 いや、でも、カイくんが本当にお兄様の代わりだとしたら、今一番重要な情報は……。


「……じゃあ、お兄様は今どこにいるのかな?」


 そう、それはお兄様本人の居場所だ。それ以上に重要な情報などない。

 少なくとも今の私にとっては……。


「ああ、アーク様なら、俺と入れ替わりで国に残っているぞ」


 国に残っている……つまり、カストリヤ国内にはいない!?

 やったっっっ!! 少なくとも、これでしばらくは心安らかでいられる!!


「ありがとう……!! 私、カイくんのことが大好きだよっっ!!」


「それって、アーク様と顔を合わせなくて済むという、安心感から出てるだけの言葉だよな」


 喜びに(あふ)れる私は、自分の言葉に力いっぱい感謝の気持ちを込めたのだが、それに対するカイくんの返事は冷ややかだった。

 な、なんと……人がせっかく御礼を言っているというのに、その態度。


「そもそもお前の、好きだの大好きだのってちょっと安くないか? 正直、誰にでも言って回ってそうで心配なんだが……」


「えー、別に安くないし、誰にでも言ってるわけじゃないけどー?」


 完全に馬鹿にしたような口調でそう言ってくるものだから、私はきっぱりと言い返す。

 そもそも安いって言ってくること自体、かなり失礼では? これには私もちょっと怒るところだ、ぷんぷん。


「まぁ確かに、お前の素を出せる相手自体が限られてるからな……」


「あ、ごめん。今のは、ちょっと声が小さくて聞こえなかったんだけど……」


「……そう言えば、お前ってまともな友達がほぼ居ないからそうだろうなって言った」


「酷い……!!」


 さっきの言葉といい、今の台詞といい、まったく口の悪い幼馴染だ……。

 でも最初の様子のおかしさを考えると、むしろこっちがいつも通りなので、こうしてくれた方が安心できるまである。


 いやー、カイくんはやっぱりこうじゃないとね!!  けっして悪口とかキツイことを言われたいわけじゃないけど、変に優しくされると不安になってしまうので……。


 さて、カイくんへの心配や、お兄様への不安も当面なくなったし、随分と気も楽になったね!!

 やっふー!! よかったー!!


 ……でも、あれ? しかしそうすると最初にもチラッと思った『私のついた嘘ってどうなってるの?』問題が丸々残ってしまっているぞ……。

 お兄様が帰国したことで、むしろどういう事態かますます分からなくなってません? そもそも、お兄様の代理ってカイくんは、何をしに来たの?


 うーん……ダメだ、分からない……。

 でもカイくんなら全然普通に会話ができるし、どういう状況なのかそのまま聞いちゃえばいっか!!


「ねぇねぇ、カイくんはどういう風に話を聞いて、どういう経緯でここまで来たのー?」


「……さて、どういう風だと思う?」


 私がそう問いかけると、カイくんはそう口にしながら意味ありげにニヤリと笑ってみせた。


 え、なに、この返し……ちょっと不穏(ふおん)さを感じるのだけど。

 というか、質問に質問で返すのは良くないと思うよ!?


 まぁ私は優しいので許すけど!! 優しいのでね……!!

幼馴染のカイくんは、天邪鬼なツンデレ気質。

しかしたまにデレれても、肝心のリアが鈍感なので大体無駄になってしまうのだった(哀れ)

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