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魔術少女と呪われた魔獣 ~愛なんて曖昧なモノより、信頼できる魔術で王子様の呪いを解こうと思います!!~  作者: 朝霧 陽月
某人物襲来~ダンス編 《四日目の2部》

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73 帰ったところで例の身支度


 そんなこんなで、アルフォンス様が目を覚ました後は、特にトラブルもなく古城まで辿り着くことが出来たわけだけれど……。


 到着した途端、私は捕まりました。

 正確には玄関の扉をくぐり戻って来られたことにほっとしていた時、私めがけて物陰から飛び出してきた方々がいたのです。


「お待ちしておりました!! 準備がありますのでどうぞこちらへ」


 一応どうぞこちらへと言っているものの、それは半ば強制でしたね……。

 それは今朝、私の採寸をしてくれた侍女らしきお三方。コートなんかを掛けるあれと巻き(じゃく)に裁縫ばさみさん達でした。名前は聞いてないので知りません。

 敵意などがなかったので気が付くのがやや遅れてしまいましたが、まぁ死角から意思を持った人ではない物に飛びかかられる経験はそうそうできないことであるため、いい思い出ということにしておきましょう。

 ちなみに少しびっくりしちゃったのは秘密ですよ……? 特に裁縫ばさみさんは刃先がちょっと怖かったなぁなんて……。


 しかし準備というのは、今晩のダンスのことでしょうが……わざわざ待ち構えて待ちますかね?

 まさか準備がそんなに楽しみだったのでしょうか……。



「本日リア様のお支度をできることが、それはそれは楽しみで仕方なかったんですよ!!」


 私の支度をしつつ、お三方の一人がそう言った。

 あ、楽しみだったんですね……。


「もう二度とこのように、誰かのお支度を手伝うことができないと思っておりましたので……」

「それもリア様のような素晴らしい方のお手伝いができるなんて……」


 そう語る彼女たちの声は、感極まっているせいか震えているようだった。


「あの、そこまで嬉しいのですか……?」


 あとさりげなく間に挟まっていた、私の評価が妙に高いのも気になる。

 その素晴らしいという評価は一体どこからきたのだろうか……。


「はい!! リア様のようなお美しく可愛らしい方をお世話できるなんて本当に夢のようで……!!」

「実は昔から密かに、美しい姫君のお世話をすることに憧れがありまして……!!」

「心優しく可憐で美しい姫君にお仕えするのは、我々にとって一種の憧れですからね……!!」


「……それは、私で申し訳ないです」


 彼女たちはかなり楽しそうにそう語ってくれたが、どうやら憧れの対象は『心優しく可憐で美しい姫君』だったらしい……。

 残念ながら、そのお姫様像と私はほとんどかすっていない。かろうじて性別だけが共通点だと言えるだろうかレベルだ。


 せ、せめて今からでもお姫様っぽい演技をした方がいいかな……?

 もはや手遅れ感が凄いけども……!!


「いえ、そんなことはありません!!」

「むしろリア様はまさに理想通りの御方です……!!」


「え……ど、どこがですか?」


 本気で純粋にどこが理想通りか、まったく分からないのですが……。

 私が心の中で困惑しまくっていると、彼女たちはこう答えた。


「確かに正統派からはちょっと外れてる気もしますが…」

「そこはかとない雰囲気とかがまさに……」


 そこはかとない雰囲気がっ!? いや、私自身は絶対違うと思いますし……。

 仮に定義するのであれば、正統派からちょっと外れてる程度ではなくて対極の位置にあるのでは……。


 困惑を極める私を余所に、更にこんな言葉が続けられた。


「博愛精神に溢れ……」

「清く正しく美しい心……」

「そのうえで容姿も可憐で美しい……」


「「「まさに理想の姫君です!!」」」


 ぴったりと声を合わせてそう言う侍女三名。

 私はそれを聞きながら、ようやくある可能性に思い至った。


 ……分かった、集団幻覚ですね? それか呪いの副作用的なものの可能性もありますね……。


 ここまで来ると流石の私も不自然なことに気付く。なぜならどう考えてもおかしいからだ。

 思い返してみても、私は一切そんな振る舞いをした覚えはない。やったことと言えば悪い印象を持たれない程度に丁寧な接し方をしたくらいで、それだけでここまで評価が高くなっているのは異常だ。

 たぶんこの方達は、実在しない虚像的な何かを見ているのでしょう。あとは長年ここに籠もっていたせいで、残念ながら評価基準がおかしくなってしまった線も捨てきれませんが……。


 なんにしろ、彼女たちのことは早めにどうにかしてあげた方が良さそうですね。

 ああ、頑張って早く呪いを解かないと……。



 私が真面目にそんなことを考えてると、今度はこんな声が聞こえてきた。


「それにしてもリア様がドレスをお召しになるのが楽しみで仕方ありませんね」

「ええ、きっとそのお姿は妖精のように可憐でお美しいことでしょうから」

「しかも、そちらのドレスはアルフォンス殿下がお選びになったのですよ!!」


 あ、いつの間にか話題が変わってドレスの話ですか……まぁさっきの話を続けるよりはマシですし、いいと思います。

 確かにドレスはアルフォンス様が選んで下さると、仰っていた記憶がありますね。話半分に聞いていたのでうっすらと覚えている程度ですが……。

 さて、一体どのようなドレスなのでしょうか……。

 もうじき分かることではありますが、個人的にはあまりゴテゴテしておらず装飾が少なめのものであれば嬉しいですねー。


「きゃー、手ずから選んで下さったなんて素敵ですわ!!」

「殿下はそういった、センスがよろしいですからねー」

「そうそう、昔は散々…………いえ、こちらの話はやはり止めておきましょう」


 いや、何があったんですか。途中で止められると逆に気になるのですけども……?


「それよりも、ダンスですよ!!」


 不自然なくらい急に別の話題にしましたね!?

 そしてお次はダンスの話ですか……私、なんとなく嫌な予感がするのですが気のせいですかね。


「ああ、しかしこれほど美しく可憐なリア様の踊るお姿を拝見できるのかと、想像するだけでとても楽しみです……!!」

「きっと夢のような光景なのでしょうね!!」

「ええ、まるで奇跡のようなダンスが見れることでしょう!!」


 気のせいじゃなかった!? 案の定、恐ろしく期待値が高い……!!

 夢とか奇跡とか全然大したものではありませんよ……? というか、夢のような光景で奇跡のようなダンスって何事ですか……。

 そんなものは存在しないので頭を冷やして頂きたい……!! いや、もしかしたら存在自体はするかも知れないけど、少なくとも私に求めるのは違うかと!!


「あの……そんなに期待されると困ります……」


 だからやんわりと否定して、少しでも冷静になってもらおうと思ったのですが……。


「あらあら〜」

「照れていらっしゃるのですね……!!」

「お可愛らしいです……!!」


 しかしなぜか、かえって喜ばれる結果になってしまった。

 違うんです……そういうのではないんです。

 本当にやめましょう、そういう期待をするのは私も皆さんもツラくなるだけですからね……?



 しかしすっかり喜んでしまっている彼女たちには何を言っても無駄で、最終的に私が諦める結果となった……。


 き、期待が重い……。

 本当に大したものではないのに……少し前に教本をさらっと読んで、どうにか形にしたようなレベルなのに……。

 ひぇぇぇぇ……。


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