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魔術少女と呪われた魔獣 ~愛なんて曖昧なモノより、信頼できる魔術で王子様の呪いを解こうと思います!!~  作者: 朝霧 陽月
嵐の出会い編 《一日目》

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02 嵐は突然に 2

「こんばんは、素敵なお城ですね……!!」


 数秒の思考停止ののち、無理矢理出した第一声はこれだった。

 我ながら、どうしてこうなったか分からない。


「……は?」


 だから相手の反応ももっともだと思った。

 先程は驚いてしまった私だったが彼の正体にすぐ思い当たった、私の故郷にはいない存在ではあったが彼はきっと獣人という種族であろう。


「一体、なんのようだ?」


 これももっともである疑問に、今度は言葉を選びながら答えた。


「私の名はリア、旅の者です。森を抜けようとしたところ、嵐に遭って道に迷ってしまいココへ辿り着きました。不躾(ぶしつけ)とは思いますが夜道とこの天候では街まで辿り着くのは難しいため、どうか嵐が収まるまでココで雨宿りをさせて頂けないでしょうか?」


「雨宿り……つまり泊めて欲しいということか?」


「建物の中に入れて頂いて休めれば床でも結構ですので!!」


「いや若い娘が、それはどうかと思うぞ……」


「そうですかね、私は旅をしているので多少は平気ですよ」


 獣人さんは厳めしい見かけと違って優しい方のようだ。


「そもそも私の姿を見た反応が……いや、とりあえず上がって貰おうか」


 彼の言いかけた一言に、やはり失礼な反応だったかとドキドキしながらも、私は城の中へと招き入れられたのだった。




 玄関からエントランスへ招き入れられた私は辺りを見渡していった。


「それで、何処の床を使えばよろしいでしょうか?」


「そんなに床で寝たいのかキミは!?」


「別にそうじゃありませんが……」


「それなら部屋を貸すのでそこで寝てくれ」


「まぁ、なんてお優しい」


「……それくらい当然だろう。それより濡れた上着も脱いで乾かしたらどうだ、向こうの部屋に暖炉があるからそこで乾かせるはずだ」


「そうですね、お言葉に甘えてそうさせて頂きます」


 指摘された通りにそそくさとローブを脱ぎ、獣人さんに案内されて暖炉のある部屋へと通された。なるべく濡れた部分が火に当たるように気をつけながら暖炉の前にローブを置き、ついでに他の鞄の中身も問題無いか確認した。


(よしよし……)


 もともと防水機能がある鞄だったこともあり、何も問題はなさそうだった。

 一通りの作業が終わり顔を上げると、獣人の彼が私をじっと見つめているのに気が付いた。

 手持ち無沙汰にしてしまったことに気が付いてすぐ頭を下げた。


「お待たせして申し訳ありませんでした」


「いや、そんなことはない……」


 彼は気まずそうに顔を横に振ったあと、その体の大きさには似合わない小さな声でいった。


「リアと言ったか、良ければ少し話をしないか……?」


「それは別に構いませんが、どのような話をすればいいでしょうか?」


 私の返事にほっとしたような様子の彼は、私に3人掛けくらいのソファを進めて自らもその向かいに腰を下ろした。


「どんな話でも構わない」


「どんな話でも……?」


 それってむしろ難しくないだろうか? だけどコチラは今まさに雨宿りをさせていだだいている身、全力で相手の期待には応えなければなるまい。

 私が懸命に面白い話を考えていると、コチラが悩んでいることに気付いたのか慌てて付け加えた。


「そう言えば、杖を持っているようだがキミは魔術師なのか?」


「はい、そうですよ。魔術の研究が盛んな場所の出身なので基礎は幼い頃からたたき込まれました」


「そうなのか、その出身地というのは?」


「えーっと、この国からはずっと遠い場所にある形容し難い田舎です! 旅に出たのも田舎に飽きたからです」


 この質問にはやや困ったものの、どうにか堂々と言い切った。この回答に若干怪訝そうな顔をしている気がしないでもないが、そこはあえて無視をして逆に自分が質問をしてみた。


「もし差し支えなければ、アナタのお名前をお聞きしたいのですが……如何でしょうか」


「そう言えば名乗っていなかったな。私の名前はアルフォンス・サン・マーシャル・カストリヤだ」


 上流階級特有の長い名前、これだけ大きな城に住んでいる時点で貴族の可能性は予想通りだった。だが引っかかる部分があった。


「カストリヤって……確か王族の名前ですよね」


 もともと余所者の私は、この辺りの地理や事情に明るいワケでは無い。それでも旅人として最低限、国の名前くらいは把握している。


 この国はカストリヤ王国で、カストリヤは王族しか名乗れない名前のはずだ。


「……その通り、私はこれでもカストリヤ王国の第一王子だ」


 その言葉に自分の背筋が冷たくなるのを感じた。


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