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あの肉まんに手足が生えたような女であっても、夫にとっては妻であり、息子や娘にとっては母であるのですから。


警察に通報するのは当然として、自分たちでも思いつく限りありとあらゆるところに連絡、または聞き込みに回りました。


傍目にはものの哀れを誘うほどに妻を、母を捜したのです。


そういった事情ですから、当たり前のように私のところにも訪ねて来ました。


「なにか知りませんか?」と。


私は答えました。「なにも知りません」と。



そのうちおさまるだろうと思っていたこの騒動も、私が考えていたよりは長引きましたが、ようやく終息を迎えつつあります。


どこにでも転がっているような女が一人消えたからと言って、それにずっとかまかけていられるほどみんな暇ではありません。


たとえ近所の人でもそうです。


家族にしても内心はよくはわかりませんが、少なくとも表面上はおとなしくなりました。



その後も毎日のようにテレビを見て、ついでに公園のトイレも気にはかけていたのですが、しばらくの間は何事もなく過ぎてゆきました。


誰も公園のトイレに入らなかったからです。


公園の前の道を誰かが通る言うこと自体、まれなことではありますが。


ところが何々は忘れた頃にやって来るという言葉がありますが、まさにその通りのことが起こったのです。


ある日、仁科のじいさんが歩いているのが見えました。


わりと近くに住んでいる人なのですが、じいさんがこの道を通っているのを、私は初めて見ました。

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