七幕「登場・元凶」
「―――!! 元凶様―――? 元凶様なのですか―――?」
それは、クロロ・リリエスの夢の中――――。
元凶が、リリエスの近くへと忍び寄る。その気配を、リリエスは確かに感じ取ったのだ。
「クロロ・リリエス・・・久しぶりだ。
今日は君に、どうしても話したいことがあってだな」
「はっ、なんでしょう、元凶様―――」
「・・・前に話した私の想いで生まれた女神や死神―――
五人の神を知っているだろう?
あの神達が近頃目覚め始め―――狂い者を救おうとしているのだ」
「救おうと―――? なら、それを阻止しなければいけないということでしょうか―――」
「いや、そういうことではないのだ、リリエス。
・・・私は、狂い者をこうはしたくなかったのだ。こんな狂った正義はいらない――――
私はただ、悪を壊したかっただけだったのだ。
それがエスカレートし、こんなものばかりに・・・
化け者の運命をつくったのも、こんな少女も正義ができる、と伝えたかっただけで・・・」
「・・・元凶様――――そう、だったのですね・・・」
「そこで、君にお願いがあるのだ―――
その五人の中の死神タナトスと女神リシスが、確実に仲間を集め、
仲間と共に狂い者を助ける方法を考えているのだ―――
さすがに君の夢にしか私は存在できないのだから、あの者のところへ行き、
狂い者達と化け者を共に説得しに行こうと言ってくれないか―――?
そうすれば君の未来だって、きっと変わるはずだ―――――」
「――――お任せ下さい。元凶様――――!」
リリエスはそう言い、歩きはじめる。
狂い者と破壊魔の間の物語は、また一歩を踏み出す――――。