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豚姫の眷属

私が驚き戸惑っていると、またしても豚どもが騒がしくなった。

溢れんばかりの寛大さで一度は警告したのだ。

光っているのも意味が分からないし、とりあえず光っている豚を殺すために立ち上がると、その他大勢の豚どもが、次々に光り出した。いや、本当に意味が分からん。


「その1よ。 これはなんだ? 豚は光るのか?」

見苦しい豚が次々に光っていく謎の現象と、地獄絵図を乗り越えた先のシュールな光景に思わずその1を頼ると、その1は蕩けたような表情でヨダレを垂らして光に包まれていた。

前言は撤回する。やはりここは地獄だ。


無駄に神々しい地獄にしばらく唖然としていると、光りが止み明け方の薄暗さが戻ってきた。



ーーーーーーそこには、天国があった。



見苦しく汚らしかった巨大な豚どもが、1匹残らず見目麗しい美少年に変貌していた。

意味が分からないが、最高だ!


とりあえず青髪メガネの気弱そうな美少年と化した豚その1を抱きしめることにした。

「なんだ、豚その1。お前ら、美少年になるために光っていたのか。そうならそうと早く言え!」

元豚その1は突然抱きしめられたことに慌てたのか、ジタバタしながらも嬉しそうだ。

「姫様、この変化は姫様が我らを眷属に迎え入れてくれたため起こりました。眷属はある程度まで、主の影響を受けた姿に変化します。といっても、これほどまでに見た目が変わることは滅多にありません」


ほうほう、それでそれで?

私は元その1の青髪を指でくるくると弄びつつ続きを促す。元その1は見事に顔を真っ赤にしながらも必死に説明を続ける。

うへぇ、可愛い。実にグッドだ。


「え、えーとですね。つまり、姫様の力があまりに強いために姫様が望まれた姿にかなり近くまで変化したのではないかと考えられます。我らにも想定外でした」


その1がつっかえつっかえなんとか説明しきると、周囲の美少年たちが追随する。

「そうだー!」「さすがひめさま!」「ひめさますごーい!」「おれたちの きぼーだ!」


舌足らずな口調でわいわいとはしゃぐ少年たち。実に可愛らしい。嬉しそうな黄色い声が心地いいが、その1がきっと睨むと皆一斉に口を閉じて怯えたようにこちらを伺ってくる。


なんだ、さっき叱ったのを気にしているのか。

「うむ。分からなかったのなら仕方ないな。ぜんぜん怒ってないから安心していいぞ」

私は宥めるようにその1の頭を撫でくりまわして努めて優しい声を出した。

みな一様にほっとしたように表情を緩めた。ひめさま、ありがとーなどと声をかけてくるお調子者もいる。この子はその2だな。


突如現れた天国を思う存分満喫していると、その1が意を決したように声を張り上げた。

「姫様、行きましょう。姫様のおかげで希望があふれています」

「うんうん、もう夜も明けちゃったし、村に帰ろう。

そうだ!水浴びでも行く? みんな洗ってあげよう」


ああ、この子たちみんなと水浴び。これはまさしく名案だろう。

私が天国をさらなる桃源郷とすべく妄想していると、その1は誇らしげに笑った。

「元よりくたばりぞこないの我ら。滅びを待つばかりでありましたが、姫様と今の我らであれば、かの小鬼どもに一矢報いることもできましょう!」


・・・・・・ん? 小鬼?

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