神に愛された豚姫
初投稿です。のんびりやります。
最初に感じたのは、ただひたすらに眩しい、だった。
後で知ったことだが、魔物が産まれたときの光は産まれた魔物の潜在能力で決まるらしい。
つまり、村全体が雷に包まれたように光った私の場合は、紛れもなく天に選ばれた才能の持ち主だった。
周囲を見渡すと、10匹ほどのボロ切れを纏った人の形をした豚が跪いている。
産まれて5秒で巨大なの豚を跪かせている私。
まさに産まれながらの女王様である。
「おい、お前」
手頃な豚に声をかけると、周囲の豚よりわずかにマシなボロを着けた豚が顔を上げた。
「はい! 姫様!!」
豚のテンションが高くて気持ち悪い。私は神の祝福であろう強靭な精神力でもってぐっと堪えて話を続けた。まずは情報を集めなければならない。
涙を流して喜ぶ巨大な豚にもう一度声をかける。
「顔が汚い。今すぐ死んで産まれ直せ」
・・・・・・まったく堪えきれていなかった。神の祝福も大したことはないらしい。
「ああ、いや、いますぐじゃなくていい。まずは質問に答えろ」
何度か首を振って気を持ち直した豚は小さく震えながらブフゥと一鳴きして答えた。
絶望的に汚い姿にうんざりする。
「なんなりとご質問ください。私はオーガスと申します。ご覧の通り豚神官<オークビショップ>です」
「そうか、豚その1。では聞くが、私は何だ? お前らは何だ? 私はいまどこに居る?」
困ったことに私は何も知らなかった。
分かっていることといえば神に愛された私が当然美しい姿でもって生まれてきた事、自分の名前がリィンパフという私にふさわしい可愛い名前であること、ついでに目の前の豚どもをその気になれば一呼吸の間に皆殺しにできる力があることくらいだ。
オーガスと名乗った豚その1は、名前を呼ばれなかったことに気を悪くした様子もなく嬉しそうに答えた。
「神に愛されし我らが姫よ。神が我ら魔物を産み落とすとき、その者の能力となる知能は与えられますが知識は与えられません。姫が知識を求めるのは当然のことです」
勿体ぶった口調で語り始めたぶたその1を見て、私は失敗を悟った。
これは長くなりそうだ・・・・・・