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解説:幻想博物誌  作者: 邨野節枯
ミニュ編
7/11

トイレについて

 汚い話ですみませんが、トイレについてです。

 いえ、生活する上で、必ず必要になりますからね。何処の人々の生活を描くにも、食べ飲み出すは基本です。

 トイレと言うと、「和式」、「洋式」とかが思い浮かびます。最近では、中国の仕切りの無いトイレ等も有名になりましたね。

 実はトイレはそれぞれの国で、割とバリエーション豊かです。


 皆さんはヨーロッパと言えば、直ぐに洋式を思い浮かべるかも知れませんが、和式に近い形式のトイレは実は沢山あります。四角い洗濯機の下にある様な便器で、足を置くところだけ盛り上がってて、滑らないように刻み目がついてたりする形式です。また、男性用ですと、壁に向かってする形で、手前に溝がある形式もありますね。素材は、陶器やステンレス、プラスチック等です。トルコや中東のトイレにもこの形式は多いです。


 洋式はきちんと腰掛けられるわけですが、よく良く考えれば衛生的にはあまり宜しくないですよね。なので、様式で有料のトイレ等には、使用後自動ドアががっちり閉まって、中でシャワーの様に……どころか、横から洗車機のように機械が出てきて水が噴射され、壁から床から水浸しにしながらトイレを洗浄する形式のものがあったりします。


 そもそも、トイレットペーパーを使う国もそれ程多くない事は、皆様もご存知かも知れません。コップや小さなシャワーホースの様なものが設置されてるトイレもあります。私はよくアブダビの空港を経由したりしますが、そこのトイレもその形式のものが沢山あります。汲み置きの水と柄杓が置いてある国も、沢山ありますね。

 洋式でも便座が無い国もあります。中腰で跨ってする訳で、和式と洋式の中間のような感じです。


 大きな穴を掘って、そこに板を渡した形式も、海外の山間部などで見ることがあります。でも、実は私の実家には古い明治期の建物が今でも残っていて、下の階は土間(土が剥き出しの床です。見たことある人は少ないかも?)なのですが、トイレは大きな穴です。勿論、片側に板張りの床と壁を備えた個室が張り出していて、そこに入れば和式トイレとして機能します。子供の頃は、床が抜けたらどうしようかと不安でしょうが無かったものです。なぜそんな形かというと、大きな穴がトイレで覆われていない開いている側から、柄杓で肥汲みが出来るようになっている訳です。ただ、実際には祖母でも私でも誰でも、そちら側から用便を行ったりもしていました。バランスを崩したら落ちますよね。今考えると物凄く怖い話ですが、落ちたという話は聞いたことがありません。


 有名なのはヨーロッパでは、トイレはかつておまるだったというものです。都市などではトイレは建物の中に設置できませんので、便壺を使うことになるわけです。そもそも、中世の頃などは、貴族の宴会などとてつもなく汚かったそうで、下手をすれば食堂の隅で便壺を使用したり、その辺に用を足したとか。昔は石の床に、まぐさわらを撒き散らしていたりしていたそうですし、殆ど馬屋と変わらないのではないか等と思ったりしますが、衛生という観念はそもそも存在しなかったわけです。テーブルから落ちたものも、そのままだったりしたと言いますから、それはネズミがたくさん発生したことでしょうし、ペストも流行るはずです。服も、体にピッタリフィットしたプリンスドレスなどは、実は着る時に毎回縫い合わせていたそうですので、下手すると何日も同じものを着ていたそうですよ。

 私がもし、ヨーロッパ中世にタイムスリップしたら、出来れば食事や生活は、ユダヤ教徒の人達のところでしたいものです。向こうが受け入れてくれればですが。彼等の規定に基づけば、食中毒を起こしそうなものは極力避けますし、手を洗ったり、水を浴びたり、服を清潔に保ったり、寝台を洗ったりしてた訳ですから、当時の一般のヨーロッパ人に比べて、遥かに清潔です。


 さて、そんなヨーロッパですが、便壺を利用するのは、都市部では窓辺等に張り出した場所で、衝立で隠してという形が多かったようです。そして、それを下に向かって捨てていたとあります。


 ポンペイの遺跡などに行くと、古代の生活について解説してくれますが、当時から道に向かって、ゴミや汚物を捨てる事は普通に行われていたそうです。その為に歩道が発達していたりします。馬車や馬が通るので、それを妨げないよう、道を横切る飛び石のような横断歩道もあります。つまり、道が下水道を兼ねているとでも言えばいいでしょうか?


 大体、馬やロバが普通に使われていた時代には、それらの動物も排泄をしていた訳ですし、道というものは今の様に綺麗なものではありません。その為、ヨーロッパで足元が汚れにくい様に、ハイヒールが発達したと言われますね。

 物語の舞台は大体、千七百年代をイメージしていますが、それよりずっとあとの十八世紀後半に生きたルイ十六世も、ハイヒールを履いているので有名です。


 つまり、主人公は別にトイレが外から見えたり、垂れ流しである事にショックは受けていません。むしろ清潔と感じています。ただ、常に上から落ちて来ているのはどうなのかと、疑問に思っているんですね。


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