軟派
なかなか進まない…
男2人が沖の浮島目指して泳いでる間女性陣+1名は水分補給中であった。
「真中先生と東先生は大学が一緒なんですか?」
「その時は東先輩と呼んでたよ」
「でも其処まで関わりある訳ではなかったですからね」
「教科が違いますからねぇ」
「赴任して来たら先輩が居たんでびっくりしましたよ」
「私もですよ」
「ねぇ在学中の東先生ってどうだったの?モテモテ?」
「ちょ!?」
「学内じゃ知らぬ人は居ませんでしたよ」
「ですよね」
「お付き合いされてた方は居ないの?」
「目の前に本人いるんだからそちらに聞いてくださいよ、俺はちょっと飲み物買って来ます」
「ちょっと真中君!?」
「逃げた」
「それでどうだったんですか?」
「も、黙秘権を使います…!」
女性陣が騒いでる頃、浮島組は光秀のゴールで幕を閉じた。
「俺勝ったから守運転な」
「ちぇっ、現役で体動かしてる人にはまけるかぁ…」
「向こうは…真中が居ないな」
「そうだね、傘の所に3人しか居ないしすぐ戻る?」
「真中が見えた、何か持ってるみたいだから飲み物とか軽くつまめる物を買いに行ったんだろ」
「そういえば、ぼちぼちお昼だったね」
「戻って食うか」
「そうだね…早く戻ろうか」
「ん?あーなるほどな…」
…
……
………
「こんにちは!彼女達何やってんの?」
「またですか…」
「ガールズトークだから男は要らないわ」
「まぁまぁそんな事言わずにさ俺達も混ぜてよ」
「結構です」
「3人は大学生?地元?」
「無視しましょ」
「答える必要を感じない」
「連れが居ますので」
「お堅いなぁ〜ほぐしてあげようか?」
「「…引」」
「セクハラなんて最低ね」
「え?セクハラって感じちゃう方が過敏なんじゃないの?」
「どうあっても私達が嫌と感じたらそれまでよ、帰って頂戴」
「ははっ言うねぇ、連れなんて嘘でしょ?誰も居ないじゃん」
「戻ったらまた軟派ですか、面倒な…」
「真中君、行きましょ海の家でご飯でも食べましょ」
「なーんだ本当だったのか、お兄さんも俺達が混ざっていいでしょ?はい決定!」
「雨宮と光秀は?」
「あの2人ならこちらの様子を向こうから見てるわよ、だから先に行きましょ」
「おい!優しくしておけば調子に乗りやがって!!」
「…東先輩と西田さんは下がってて」
「あー?喧嘩すんのお姉さん、悪いけど男女差別しないよ?」
「俺ら勝ったらお持ち帰り決定ね!」
「ホテルでも予約しちゃう?」
「こう言うのなんて言うんだっけ」
「三下でしょ」
「言わせておけば…ぁあ!?」
「ねぇ?何やってるの?」
優しい問いかけとは裏腹に空気が凍りつく
水気を払わずに近づいてくる雨宮守。
表情は柔らかいが目は一切笑っておらず、静かに近寄る。こんなに怖いのか雨宮は…
「大丈夫?」
「大丈夫だから抑えて」
「お、落ち着け雨宮…実害は無い」
「じゃあされそうだったんだね」
「んだテメェ?」
「僕たちは僕たちで旅行してるから、君たちは誘えないよ」
「それは俺たちが決める事なんですけど?」
「ははっ先輩やっちゃって下さいよ」
「じゃあまず顔に一発な…!」
鍛えていると思われる体格の男がなんの遠慮もせずに腕を振るう、対して雨宮は構えもせずに睨みつける。
バチン!!んと顔に拳が当たる…バチン?
「これで正当防衛かな?忠告はしたし遠慮しないから」
それは一瞬の出来事だった。
雨宮が相手の顔にビンタをしたら態勢を崩し、膝から崩れ落ちるとそのまま肩を軽い感じで殴ると。
肩からダラリと力が入って無いようになり受けた相手が驚きで雨宮を睨みつける。
「何しやがった!?」
「肩を外したよ、大人しく帰るなら嵌めてあげるよ?」
「テメェをブン殴ってからだよ!!」
「よいしょ」
「んがっ!?」
「次は顎外すよ?」
「お前らやっちまえ!!」
「せ、先輩…」
後ろを見るとイイ笑顔で2人と肩を組んでる光秀が其処に居た。肩を組まれてる2人は顔を青くして先輩を見ている。光秀の腕は明らかに力を込めて組んでおり時折小さな悲鳴が聞こえていた。
「お…」
「ん?」
「覚えてろぉ!?」
「「せ、先輩ーー!!!」」
「あらら、最後に嵌めてあげようと思ったのに」
「自業自得ってやつだな」
「終わった?行きましょお腹空いたわ」
「あの三下は可哀想に…」
「喧嘩を売る相手を間違えてしまってる」
「そうですね…」
海の家でのんびりとご飯を食べた6人は
砂で光秀を埋めたりして海を後にした。
「出せよ!!!!」