幼馴染
ポチポチ更新
「新入生諸君、入学おめでとう御座います。私はこの学園の理事長を務めます『天野』ですよろしくね」
季節は桜が散りまだ花弁が残る4月
ここ、天野学園での入学式が始まった。
新入寮生も5日程前に入り、寮のルール説明と共に歓迎会を行った。飛び入りゲーム大会は盛り上がった、まさか一年生にあんな猛者がいるとは…
うんうんと頷き昨夜の激闘を思い出していると…
「それでは3年間この学舎で学んで下さい」
理事長の挨拶が終わりその後式は順調に終了、在校生は教室に戻り新入生は僕達のような事務員や用務員の紹介を受け教室に戻っていく。
「さーてクラスに行くか、今日は昼前には終わるからな外で飯くわねぇか?」
「そうだね、食べた後でいいから寄って欲しい所あるんだけどいい?」
「いいぞ、紗江は…教室行ったか…職員室で捕まえるから連絡待っとけ」
「オッケー」
AM11:30
「よし、何処に行こうか」
「なんだ、決めてなかったの?」
「まぁな」
「自慢にはならないわよ…」
「まぁまぁ…」
「決めてないなら、私が行ってみたかった所じゃ駄目かしら?」
「どんな所だ」
「駅前に新しく出来てね、今度先生達と行こうかと話ししてて下見ついでにと思って」
「え?俺その話聞いてない」
「残念、女子会だからね」
「尚更呼べよ」
「駅前…ランチバイキングがある所?」
「守詳しいのね…」
「生徒達からオススメされてね」
「(なんでオススメされてるとは聞くまい…)」
「とにかくそこよ!ほら運転手行くわよ」
「殴っていいか」
lx
駅前に出来たこのお店はオープン前から雑誌での紹介やネットの評判も良く連日大賑わいの今流行りの店である。
いらっしゃいませー!3名様ですか?
そこの紙にお名前を書いて少々お待ちください!
この番号が呼ばれたらお席にご案内します
「すごい、多いね」
「流石の人気だな…お、アレはウチのクラスの連中じゃねぇか」
「あら、ほんとあの子達の方が早かったのね」
先生達だ!
幼馴染だ!
私達そろそろだよね?
うん、この行列だしちょっと席を早めに立とうか
賛成、この後は?
食べたしカラオケいこ!
私の童謡を聞かせてあげるわ
「(カラオケで童謡て…)」
「丁度時間的によかったわね、次で座れそう」
「何があるのかなー」
えーっと…8番から15番のお客様お席にご案内します!
こちらの席へどうぞ!
では90分間のバイキングになります!
ドリンクも含まれますのでご自由にお取り下さい、会計時にお料理を残されたりしたら千円加算されますのでご注意して下さい。
「よし、食うかな」
「和食もあるね、僕はとりあえず和食取りに行こうかな」
「パスタも豊富ね…」
「とりあえず中華食うか」
「取り過ぎないようにしなさいよ?」
「いい大人はそんな失敗しない」
3人バラバラに取りに行き席に戻る。
和食中心に定食を作った守
小分けした複数のパスタとサラダの紗江
炒飯と餃子に海老チリを小盛りした光秀
「守、それじゃあ何時もと変わらんぞ」
「量は少なくしたから大丈夫だよ、紗江ちゃんそのパスタは何味?」
「これは海老クリームよ、一口食べる?」
「ありがと、じゃあ卵焼きあげるね」
「(こういう事を自然とやれるのにまだくっ付かないのかよ…)」
「次は僕もパスタ食べようかな」
「卵焼き取ってこようかしら」
「俺も和食屋取るかな、飲み物お替りは?」
「「お茶」」
…
……
………
「うぃー食ったわー」
「流石によく食べるわね」
「僕も久しぶりに沢山食べたよ」
「普段は?」
「朝は作るけど、昼と夜は食堂かな。お代わりはしないから学生と一緒の量かな」
「ふーん…」
「さて、ここからどうするよ」
「あ、元ちゃんの所に行ってくれない?」
「え?でもあそこって…」
「母さんが…ね…そろそろ買えって煩くて…」
「じゃ行くか」
〜カーショップ長野〜
「いらっしゃ…あれ?珍しいお客さんだな」
「お久」
「光秀か、ちゃんと整備してるようだな」
「まぁな、今日は守だ」
「守?どうした?学校の軽トラの調子が悪いか?」
「僕の車を買おうかとね」
「やっとか…ならこっち来いよ、2人はどうする?」
「俺はここに居るよ、コーヒーくれ」
「私は一緒に見るわ、興味あるし」
「そういえば紗江の車おさがりだったな」
あーコーヒーうめぇ…
持ってきて貰った店員というか事務さんにお礼を述べて俺は目の前にあった雑誌をパラパラと読んでいく。
占いコーナーがあって適当に読むと、俺は最下位だったから苛ついて本を閉じて奥の席に座って説明を聞く二人に視線を移す。カタログを真剣にみる二人は何時も以上に近い、紗江は気付いてるけど守は気にしてないな…昔はあんな距離普通だったからなぁ…はぁ早くくっ付け。
「もういいのか?」
「うん、決めた」
「相変わらず早いな、紗江は?」
「んー…候補は絞ったから母さんと相談するわ」
「おばさん元気?」
「えぇ此間もこっちまで来て一緒にご飯食べたわよ」
「ははは、元気だな」
「あんたの所は?」
「末の妹の部活に付きっ切りさ、なんか全国に行くらしい」
「妹の事なんだから喜びなさいよ…」
「勿論喜んでるさ!ただ…最近会わないからどう接すればいいか…」
「きりちゃん?元気にしてるみたいだけど?」
「なんで守が知ってんだ」
「たまにメールするよ?」
「…」
「はぁ…よし、久しぶりにあの喫茶店にでも行くか」
「いいね、マスター元気かな」
「あのマスターは生涯現役を貫いてるから元気だろ」
…
……
………
〜喫茶阿部〜
「こんにちは、マスター」
「いらっしゃいませ…おやおや、懐かしいトリオが来たね…君達の指定席は空いてるから座りなよ」
「別に指定席ってわけじゃ…」
「はっはっは、いつもそこに座ってたんじゃ説得力ないよ?」
「それもそうですね、マスターいつもの三つね」
「はいはい、あ!紗江ちゃん丁度新作出来たから食べる?」
「是非…!」
「ありがとう、新作は君に食べてもらうのが1番感想を貰えるからね」
「紗江ちゃんバイトしてた時も食べてたの?」
「た、たまたまよ!」
「一時期食い過ぎて…俺に相談したのは誰だよ」
「その口を閉じないともう学校に来れないわよ?」
蒼白くなったみっちゃんは急いで席に座り僕と紗江ちゃんはその様子をクスクス笑い席に座る、マスターがみっちゃんにはコーヒーミルク入り、僕は普通より濃いブラック、紗江ちゃんにはエスプレッソと抹茶ケーキを置いていく。
「新作は抹茶ですか?」
「えぇ、知り合いが抹茶を送ってくれてね数量限定のケーキだよ」
「んー!美味しい!」
「よかった、問題なくメニューに載せれそうですね」
のんびりと喫茶店で話していると徐々に人が来店し始めて混雑って程ではないが店を出る事に、その時に常連さん達と挨拶を交わし店を出る。
久しぶりにゲーセンに行く事になり車を走らせる。
「レースやろうぜ!」
「私桃姫」
「じゃあ僕は恐竜で」
「なら俺は緑の弟で」
「負けた人がこの店奢りね」
「(えげつない…)」
〜対戦中〜
「じゃあみっちゃんよろしく」
「普通は言い出しっぺの法則ってのがあってだな…」
「負けは負けでしょ、一位だったからって油断してたんだから」
「COMからも攻撃を受けるとは…」
「まず紗江ちゃん選びなよ」
「ならエアーホッケーしましょ!」
一通りのゲームを楽しんだ僕等は最後にクレーンゲームゾーンに入って行った。学生の子達も居たのでそろそろ帰りなさいと注意を促す為にある。紗江ちゃんが一瞬立ち止まってチラリと台を見るが取れないと判断してしたのかそのまま去って行く。
「そろそろ帰りましょ、私が学校だから光秀送ってね」
「わかってるよ…守もいいか?」
「先に車行っといて、トイレ行ってくるから」
…
……
………
「お待たせ」
「お〜ってなんだその荷物」
「ついでにクレーンをパパッとやってね、景品取れたから2人にあげるね。みっちゃんはモバイルバッテリー」
「…これ難易度高いやつだったろ」
「一発だし無問題」
「…お前学生の時は出禁喰らったもんな」
「紗江ちゃんにはこれ、見てたでしょ?」
「…ありがと」
帰ってきた守が持ってたのはクレーンゲームの商品。
こいつは学生時代にクレーンゲームの商品を取りすぎて出禁になったりした男である…今はさすがに控えめになったし、当時の店員は既に居ないので素知らぬ顔で偶に取りまくっている。店長は変わってないので話をしたり取りづらい位置を相談する時もあるのだ。
紗江に渡したのは大きなぬいぐるみである。
某キャラクターをポップにしたものであり、紗江はそのキャラのグッズを集めている。
自然に好きなものを把握してそれを狙って取ってくるんだほんとタラシだよ天然のな…頼むから紗江以外には発揮しないでくれよ…
〜後部座席 紗江〜
光秀と守が他愛もない話をうんたら続けているが私は後ろで貰ったぬいぐるみに顔を埋め緩くなる頬を隠すのに必死である。どうして彼はこんなにも私の心をピンポイントで射抜くのだろうか…
昔からそうだ立ち寄ったコンビニや出店なんかをチラリと見たりしたら欲しい物や食べたい物を買って来たりする。私に限らず光秀にもなんだけどそれはムカつく…
だから生徒達にいらぬ疑いをかけられるのよ…
優しい彼は気づかないでしょうね、アホな光秀も気づかないだろうけど。
こないだ言ってくれた答えを私は待つわ、返事は決まってるけどね。
登場人物はまとめてやりますね