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飴ちゃん先生  作者: 塩味
2/8

代理

久方ぶりに更新

「へ?家庭科の代理?」

「そうそう、今日先生が病院に行かれて調理実習なんだけど、どうしても帰って来れそうにないそうなんだよ」

「なんで僕?」

「お前料理出来るだろう」

「まぁそうだけど…」

「授業内容が肉じゃがでな、他の先生方はあまり自信ないそうだ」

「紗江ちゃんは?」

「あいつは今日の授業がテストでも出る重要な箇所らしいから抜けるのは厳しいそうだ」

「そっか、わかったよ何時間目?」

「昼前の四時間目だ、場所は東棟の調理実習室な」

「了解」


頼むなーと一声残し正門を去る。

授業に出るなら服装を作業着から着替えないと考えつつ授業前まで作業を続ける。


「はい、代理の雨宮です。家庭科の東先生が今日は病院に行かれるそうなので本日は僕が先生を務めますね」

「先生料理作れるの?」

「代理だけど僕は先生じゃないんだけどね…そうだね、基本的な物は作れるよ。では班のリーダーはこちらにレシピを取りに来て下さい」

ざわざわ生徒達が話をしつつリーダーがこちらにレシピを取りに来る、全体にレシピが回ったら生徒達に説明を初める。切り方や気を付けないと焦げ付く場面だけを教えて後は生徒達に任せる、東先生から授業の進め方とプリントは預かってたそうなのでその通りに進め困ったことがあったら呼ぶようにと指示をし僕も自分の調理を初める事にした。


ジャガイモこれくらいか?

うん、それでいいよ

米を洗うのは任せろ

洗剤を握るボケは辞めるんだ

ニンジン抜こうぜ

同意

口を開けろ突っ込んであげるわよ

痛い!指切っちゃった!

はいはい演技演技

無言の腹パン

アメちゃん先生ーこれくらいでいいの?

ん?うん、これくらいなら大丈夫だよ

アメちゃんー彼女いるのー?

関係ない質問はお答えしないよー

Booooo!!!!!!

なんで皆して息が合ってるの…


ぼちぼちと肉じゃがが完成して器に盛りつける生徒達、米も炊けた所あたりでお昼のチャイムが鳴りそのままお昼ご飯に突入する。

男子諸君は流石の食いっぷりである、女子は初めて作ったけど思ったより簡単だねと話し合いつつ少しづつ食べ進めると。


「よぉ〜失敗しなかったか?」

「みっちゃん、やっぱり来たのね」

「おぅ昼飯代浮くからね」

「そう思って作っといたよ」

「サンキュー」


予想通りの行動で、みっちゃんの分まで肉じゃがを盛り付けてご飯は大盛りで渡す。いたたぎまーすと一声ご飯と肉じゃがをもりもり掻き込むみっちゃんを見て生徒達が味見!と自分達が作った肉じゃがを渡していく、量は増えるがそれをどんどん平らげていくみっちゃんを見ると流石体育会系男子その食欲はまだ衰えない。のんびり食べ進め生徒達が片付けを初める中再び教室の扉が控えめに開くと…


「みんな上手くできた?」

「紗江ちゃん」

「なんだ紗江か、お前の分はもう無いぞ」

「うるさいクソ秀、『私』のクラスの子たちなんだから様子くらい見に来るわよ」

「少しなら残ってるけど食べる?生憎生徒達が作ったのは無くなったから僕のだけど」

「ま、守が!?い、頂こうかしら…」


ヒューヒュー!

先生良かったね!

紗江ちゃん先生のツンデレだ!

REC

う、煩い!!片付けをしなさい!!!!

紗江ちゃん先生怖い〜愛しの守君の愛情込もった肉じゃが食べれなくなるよ〜

光秀、職員室行ったら覚えとけよ

…さ、俺は午後の授業の準備するか

逃げたぞ!


騒がしい実習室は徐々に生徒達が教室へ帰って行き紗江ちゃんも肉じゃがを食べて満足したらしく片付けを手伝って帰って行った。寮で食べるご飯とはまた違った楽しさがあったなーとぼんやりと考えこれくらいならまた引き受けてもいいかなと1人片付けをしながら思う。


「お疲れ様です、実習室の鍵を返しに来ましたー」

「やー雨宮君お疲れ様、鍵預かるよ」

「あれ?南野先生、授業は?」

「俺はこの後だよ、今日はサッカーやるんだ」

「おぉサッカーですかいいですね、楽しいでしょうね」

「体育はもう授業自体はそれなりに終わったからな、どうだい?この後空いてるなら体育の授業一緒にやらないか?」

「え?いいんですか?いちお午後の予定は今から決めようかと思ってたんですけど」

「大丈夫大丈夫、体育教師主任南野がオッケーを出したんだから」

ガハハハハハハハ!と大笑いをするこの方は南野先生。自分で言った通り体育主任であり、サッカー部顧問兼監督でもある。全国大会にも出場経験のある先生はここの卒業生であり、大学進学後プロチームからお誘いもあったがそれを断り先生の道を選んだ人である。本人が言うに四年前まで代表に選ばれた複数人の選手とは今もたまに会っているらしい、かなり人脈は広い先生である。そんな僕もこの先生の教え子であるので、ジャージを借りて先生と一緒に運動場へ向かう。


今日は暇してた雨宮君も体育に加わる!

暇してたって…よろしくねみんな

アメちゃんサッカーできるの?

馬っ鹿お前アメちゃんは優勝経験者だぞ!!

はっ!?

あんなにぽやぽやしてんのに!?

アメちゃん馬鹿にしたら織田先生に殺されるぞ!?

アメちゃん女子に来てくださーい

サッカー教えてくださーい!

南野先生すぐ試合するから女子はつまらないのです

ゔっ!?

先生…相変わらずですね…


ピーッと南野先生が笛を吹き男子の試合がはじまった女子は隣のコートで自由にボールを蹴ってる、中々上手く蹴れずにもー!っと憤りの声がする、そんな女子達に僕がアドバイスを送り練習を進めていく。男子の試合はいまだに0-0らしく熱い戦いが繰り広げられている…南野先生は教え子がミスをすると大笑いして馬鹿にしていた。相変わらずだなぁあの人…


「ねぇアメちゃんは優勝したって本当なの?」

「まぁ厳密に言えば着いて行ったってのが本当なんだけどね…僕は控えだったからそんなに試合も出てないからさ」

「でも控えでも全国制覇したメンバーにいたんでしょ!スゴイね!!」

「なーにが試合に出てないだ、途中出場でも必ず点を決めてたくせに」

「あれは運がよかったとか…」

「その自分の実力を過小評価するのは変わらんなぁ…おい!ピーッ!!ファールだぞー!」


先生は相変わらずだなぁーと感じ、授業時間は過ぎてゆくこの後僕は男子から交代を要請され仕方なく出てあげることになった。

ちょっと現役の子達が生意気だったから少しだけ本気出しました。

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