欲しいものが手に入らず、厄介ごとがやってきました
「薬の調合はこれで終了。次は食材の調達だな。ふむ、今日の食材はダークド
ラゴンのステーキにしよう。」
俺はさっそく、ダークドラゴンの生息地である魔族領の魔神の森に転移し、
ダークドラゴンの捜索を開始したが、
「見つからない。どういうことだ?」
そう思った俺は、スキル『暗殺術』の効果の一つ、『気配察知』を森全体に
発動したが、
「おかしい、ダークドラゴンが一匹もいないだと…」
ダークドラゴンはいなかった。しかし、その進化個体のデスドラゴンが多数
存在しており、さらには魔神の森に存在している魔物全てが進化していた。
「ふむ、いったいどういうことだ?まぁ、俺には関係が「だ、誰か助けて!」
…このパターンは聞き飽きたぞ。」
そう言いながらも声の聞こえた方向に向かうと、
「ど、どうして魔物が進化してるの!?」
魔族の女がいた。
魔族というのは亜人の一種で、闇魔法を得意とする種族である。見た目は人間
と同じだが身体能力が魔族のほうが上、さらには肌の色が青色という時点で人
間とは別の種族だということが分かる。
うん?俺はいったい誰に向かって解説をしていたんだ?まぁいい。さて、助け
るか。
俺は魔族の女を囲んでいた魔物、デーモンベアの群れを小刀で両断していった
結果、十分程度で片付いた。
「おい、大丈夫か?」
俺がそう話しかけると、
「は、はい!た、助けていただいてありがとうございます!」
「それはどうも、それより、こいつらの死体はもらってもいいよな?」
「勿論です。」
俺はデーモンベアの死体をアイテムボックスに収納し、帰ろうとしたが、
「あ、あの!」
突然、女が声を上げたので、
「なんだ?俺はこれから帰るつもりなんだが?」
「あの、私に雇われてくれませんか?」
「どういうことだ?」
「ふふふ、実は私、この森の調査にやってきたのです。この森に今異常が起
きていると魔王様が申しており、その調査に私たち第五騎士団が抜擢された
のですが、その、何と言いますか…団長たちとはぐれてしまい、このような
ことになりました。」
「なるほど。」
「で、話しを戻しますが、私は今、無断で単独行動をしている状況になって
いるわけなので、今更みんなと合流できたとしても罵詈雑言を浴びせられ、
騎士団をやめさせられるかもしれないのです!ということで、今現在、この
森で起こっている以上の根源を特定できれば、私は騎士団をやめずに済むの
です!」
「はぁ~もういい、俺にしてほしいのはお前の護衛とこの異常事態を何とか
することだな?」
「はい!ということで、お願いします!私に雇われてください!」
「分かった。ただし、この依頼が成功したら俺の望むものを渡せ。いいな?」
「はい!よろしくお願いします!」
こうして俺は、魔神の森を調査することとなった。
裏話
「そういえば、どうして私の依頼を受けてくれたのですか?」
「依頼を受けなかった場合、お前は何としてでも俺を引き留めようとし、泣き
ながら、くっついてきそうだったから。」
「あぁ~確かに、私ならやります。」




