決闘が終了しました
「気が進まないがルール説明を始めるぞ。」
「ルールはこちらで用意してあるので問題ないぞ。」
「だったら最初に言え!ということで、俺はもう知らないぞ。今のでなけなし
のやる気が吹き飛んだからな。」
そう言って俺は、近くにあった木の下で様子を見ることにする。
俺が木の下に行ったのを見た国王はため息をつき、ルール説明に入るようだ。
「では、此度の決闘のルールを説明する。一つは絶対に相手を殺さないこと、
二つ、相手の四肢を切り落とさない。以上がこの決闘のルールだ。最後にこの
決闘にダイダスが勝った場合はペイルダ嬢をダイダスの妻として迎える。そし
て、ペイルダ嬢の父…名前を聞いてもよいか?」
「俺の名前はイグールだ。」
「では、イグール殿が勝った場合、ダイダスにはペイルダ嬢をあきらめてもら
う。それでは、決闘を開始したいと思う。両者、剣を構えてくれ。」
二人は剣を構えお互いを睨み合い、そして、
「始め!」
戦いが始まった。
お互い、同時にぶつかり合い、激しく鬩ぎ合っている。が、
「だ、ダイダス様が押されているぞ。」
イグールの方がやや優勢だ。だが、
「ふん!」
ダイダスが体をずらし、イグールが体のバランスを少し崩した瞬間、ダイダス
は、イグールの首に剣を持っていこうとしたが、
「まだまだ!」
ダイダスはイグールの蹴りを腹に食らってしまい、吹き飛んでしまった。空中
に浮いたダイダスは龍族特有の翼をはばたかせ、空中で体勢を立て直した。
「何という戦いだ。」
「あぁ、ダイダス様と戦っているあの男、いったい何者だ?」
そんなことを回りにいた騎士たちが言っているのを見てあれは改めて思ってし
まう。
時代が進むと、戦闘技術まで衰えてしまうのか。
そう思ってしまう俺であった。さて、戦いのほうはどうなっている?
気になり、目を向けると、
「両者、引き分け!」
「はぁはぁはぁ…」
「ぜぇぜぇぜぇ…」
「二人ともよく戦ったが、ペイルダ嬢との縁談はどうなるのだ?」
「縁談、結婚については認めてやるよ。」
「「本当!」」
「勿論だ。男に二言はねぇよ。それに、そいつならペイルダ、お前を守ってく
れそうだからな。」
「ありがとう!父さん!」
「ありがとうございます!イグールさん!いえ、お父さん!」
「よかったね!お姉ちゃん!」
その場は感動に包まれていたが、
「俺が目をそらした瞬間に何があったんだ?」
俺だけが理解できていなかったので、完全に観客と化していたセリアルを呼び
説明を頼んだところ、俺が目をそらした瞬間にお互い全力の一撃を放ち、両者
ともに倒れたということだった。
「なるほど。助かったぞ、セリアル。お前がいなかったら俺はこの空間で、
浮いた存在になるところだった。」
「お役に立てて何よりです。」
こうして無事、決闘という名の縁談は終了した。




