お父さんとやらに会いに行きます
バハムート王国に滞在して、思ったことがある。それは、
「師匠!」
セリアルが一日中付きまとってくる。部屋にいる時もトイレに行く時も風呂に
入るときも、ストーカー並みのしつこさで付きまとってくるので、トラップを
仕掛けることにした結果、
「師匠!トラップを仕掛けるとはどういうことですか!?」
簡単に引っかかってくれたので、安心して過ごせる………何か忘れているよう
な?………セリア達のことを忘れていた!
俺は急いで転移魔法で家に戻ると、
「あ、おはようございます。いなかったので勝手に部屋を使わせてもらってい
ます。それにしても驚きましたよ。まさかお風呂があるとは思いませんでした
よ。」
「君たち、人に図々しいと言われたこと、あるか?」
「いえ、一度も、それより、お姉ちゃんの縁談はどうなったんですか?」
「四日後に伸ばしてもらっているから、安心しろ。それに、向こうさんのほう
も、今回の縁談には乗り気だそうだ。」
「それはよかったです。」
「それより、ペイルダが物凄い勢いで俺の冷蔵庫の中の食材を食いつぶしてい
るのだが、どういうことかな?」
「この箱、冷蔵庫というのですね。食材の件については~………まぁ、置いて
おきましょう。」
「………恐ろしく腑に落ちないがまぁいい。それより、お前たちの父親に会わ
せろ。俺が今回の縁談のことを説明しておく。」
そういうと、二人が固まった。
「なぜ固まる?」
「ほ、本当に会うのですか?」
「勿論そのつもりだが、何か問題でも?」
「それが、お父さんは三日前の出来事でかなり過保護になっていまして、私た
ちがここに来るときも、引き止められそうになったんです。」
「なるほどねぇ。なら、少しだけお話をしないといけないな。」
「本当にするつもりなんですね。」
セリアはどこか諦めたような顔をすると、
「分かりました。では、エターナに転移魔法で転移してください。」
「ん?どうして俺が転移魔法をつかえることを知っているんだ?」
「カミナちゃんから聞きました。」
「あ、一つ言い忘れていたが、カミナの本名はセリアル・バハムート、バハム
ート王国の王族だ。」
「マジですか?」
「マジだ。」
「………不敬罪になりますか?」
「大丈夫だと思うから、今まで通りに接してやれ。」
「そ、そうですか。」
「じゃあ、無駄話もここでやめるとするか。」
俺は転移魔法を使い、セリア達が乗ってきた荷馬車ごとセリア達をエターナ王
国の入口に転移した。
セリアルside
「あの、誰か、助けてください!」
私は師匠に置いて行かれ、天井に逆さ釣りにされています。




