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記憶を封じた理由


 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


 コンコン


 「失礼します。」


 そう言って入ってきたのはセリアだった。


 「あの、カミナちゃんはどこに行ったのですか?」


 「カミナは実家に戻した。ついでに記憶も封じて。」


 「…そうですか。」


 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


 何かに気が付いたのか驚いたような顔をして、


 「記憶を封じたとはどういうことですか?」


 そんなことを聞いてきたので、


 「俺と過ごしたときの記憶だけを封じただけだ。それに記憶は消してはいな

 い。」


 「そうですか。それなら思い出すこともできるのですね?」


 「もちろんだ。これはあいつにとって最後の訓練だからな。」


 「最後の訓練とはいったい?」


 「耐性スキル『記憶操作無効』というスキルを獲得するための特訓だ。」


 「なるほど。」


 「このスキルを取得すれば、あいつの持っている耐性スキルが統合され、

 俺と同じ『全状態異常耐性』を獲得できる。これであいつがもし、毒殺さ

 れそうになったりしても平気だ。」


 「そうですか。で、カミナちゃんはいつ帰ってくるのですか?」


 「知るわけがないだろう。記憶が戻らなかった場合は破門にするだけだ。」


 「いつまでに記憶が戻らなければ破門だ。という期限は決めているのです

 か?」


 ………そこまで考えてなかった。ならば、


 「三年だ。三年間で記憶が戻らなければ破門だ。」


 「わかりました。ところで、薬はできていますか?」


 「勿論だ。お前たちで言う、中級ポーションもついでにやろう。」


 「では、運んでもらってもいいですか?」


 「あぁ、いいぞ。」


 俺はポーションを入れた木箱を荷馬車に積む。


 「これで俺の仕事は終わりだ。あ、忘れていたがポーション代、金貨十七枚

 まだもらってないぞ。」


 「そういえばそうでした。」


 俺は金貨をアイテムボックスにしまい。セリアとその姉を見送ろうとしたが

 

 「おい、貴様があのフェイズだということは知っているが、私は怖くはない

 ぞ。それと、もし、妹に手を出そうとしたらころしてやるから覚悟しろ。」


 そう、セリアの姉が置き土産みたいな言葉を残し去っていった。


 「…だれが、あんな奴に手を出すものか。」


 俺は今日も素材を採りに様々な場所に転移する。









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