さよならセリアル
龍族の国、それも王城内に転移した俺たちは、この国の国王に会いに向かう
が、
「侵入者だ!」
大勢の騎士が現れ囲まれてしまったので、
「『気配消失』、『存在透過』。」
この二つのスキルを自分とセリアルにも掛けて、騎士たちをすり抜けて行く。
おっと、変態を落としてしまったがまぁいい。
俺たちは国王の執務室に向かい、扉をすり抜け、スキルを解除すると、国王と
思われる男と秘書に驚かれ、
「貴様ら、一体何者だ?」
国王?が話しかけてきたので答えようとすると、
「お父様!」
セリアルが国王に飛び込んでいった。
「その声はセリアルか!?」
「はい!」
ふぅ、これで厄介ごとは終了。さて、帰るとするか。
帰ろうとすると、
「待ってください!師匠!」
「師匠?セリアル、お前はこの男のもとにいたのか?」
「はい!私は師匠に助けられ様々なことを教えてもらいました。」
「そうか。では、セリアルの師匠殿、礼をしたい。何か望みのものがある
か?」
そう聞かれたので、
「望みはない。俺は疲れたからもう帰る。」
そう言って転移魔法を使おうとしたが、
「師匠!私も行きます!」
セリアルがそう言ってきたので、殺気をぶつけ、気絶させる。
「国王、こいつを自分の部屋に連れて行け。それと、この薬を飲ませろ。」
俺は国王にある薬を渡した。
「この薬は?」
「その薬は俺と過ごした二か月間の記憶を封じる薬だ。思い出そうとすれば
頭痛が走る。」
「…何故記憶を封じる必要がある?」
「簡単なことだ。俺のことを覚えていたとしても良いことはない。」
「…何故言い切れる?」
「黙れ。望みがないといったが取り消す。望みはこの薬をセリアルに飲ませ
るということが俺の望みだ。」
「………分かった。」
俺は話が終わったので転移魔法を使い、家に戻った。
セリアルside
「う、うぅぅぅ、こ、ここは?」
「目覚めたか。」
「お父様?」
「あぁ、そうだ。一つ聞いてもいいか?」
「はい。何でしょうか?」
「攫われた時の記憶はあるか?」
「はい…でも、お父様が助けてくれたんでしょう?」
「あぁ、そうだ。」
「私はどのくらい眠っていたのですか?」
「二か月だ。」
「…そうですか…」
私は攫われた時の記憶を振り返ろうとしたが、
「痛い!なにこれ?」
思い出すことができなかった。
………あれ、私はいったい何を思い出そうとしていたんだろう?




