出店というより直売所
助手ができて、二か月がたった。俺は二か月の間にカミナに様々なことを教え
た。そして、
「師匠!凄いですよ!レベルが百を超えました!」
「おぉ、よかったな。」
カミナが来てから俺はこの世界の常識というものを知った。この世界では大人
と認められるには十六歳を迎えることと、レベルが三十以上あることが必要。
レベルについてだが、レベルは普通の生物で最大二百、モンスターなどは五百
が上限のようだ。このようなことから、俺のレベルは狂っているということが
分かった。
「あの、師匠。どうしたんですか?」
「ん?なんでもない。それより、今日は客が来ない。」
「いつも来てませんよ。」
俺の店の経営状況はかなり悪い。なぜなら、今まで客がほとんど来たことがな
いからだ。いくら、セリアがこの店の情報を広めたところで冒険者がこの森の
中心部まで来ることはほとんどない。
そんな考え事をしていると、
「師匠、提案があります。」
「…言ってみろ。」
「冒険者たちが森に入る場所で薬を売ってみてはどうでしょうか?」
「それは考えたことがなかったな。よし、では、森の入口で売るとしよう。売
り方だが、出店のような感じで売るぞ。」
「はい!」
「じゃあ、今から森の入口に店を立ててもらうために建築ギルドに行ってくる
から、俺が留守の間は頼んだぞ。」
「分かりました!」
俺は建築ギルドに向かった。
一週間後
「本当にこんな簡単な作りでいいのか?」
「大丈夫だ。ここは薬の販売所として使うだけだ。報酬はギルドに振り込んで
あるから確認しておいてくれ。」
そう言って俺は建築ギルドのおっさんたちを転移魔法で町まで送った。
「さて、今日はもう帰るとしよう。」
俺はそう言って家に向かった。すると、
「ぐはっ!」
騎士風の男が飛んできたので、
「かはっ!?」
叩き落した。
「おい、お前、ここが誰の所有地かわかっているのか?」
「黙れ!貴様だな、姫様を誘拐した犯人は!?」
「姫様?誰のことだ?俺は知らんぞ。」
「嘘をつくな!貴様の家に姫様がいたのを確認している!おとなしく姫様を開
放しろ!」
そう言って騎士風の斬りかかって来たので、
「死ぬなよ。」
顔面に一撃拳を叩き込んで気絶させた。
「ふぅ、さて、家にいる姫様というものはおそらく、カミナのことか。あいつ
女だったのか…驚きだな。」
俺はそう言いながら騎士風の男を引き摺り、家に連れて帰ることにした。




