3発目(未発射)
3人目はね、三鷹っていう頭の固いサラリーマンだったよ。そいつは真実主義者でね…
1日目 a.m.5;25
私は枕元に立って、寝ている三鷹に銃を突き付ける。気配を出来るだけ抑えているのに三鷹は起きてしまう。仕方ないので私は三鷹に声を掛ける。
「おはよう、三鷹。よく眠れたかい?」三鷹は自分の状況に気付く。
「…!?」三鷹は慌てて非常ボタンに手をかける。
「驚かせてすまない。今日は君にお知らせがあって来た。」三鷹はかすれた声で尋ねる。
「…だ、誰だ!」
「私は神だ。もう一度言うぞ。今日は君にお知らせがあって来た。」
「…銃を下ろせ。」
「ダメだ。下ろせない。」
「下ろさないと、ツウホウするぞ。」
「ツウホウ?」聞き慣れない言葉に、私は一瞬戸惑ってしまう。すると、三鷹は寝起きとは思えないほど興奮し、流ちょうに喋り出す。
「そうだ。ツウホウだ。君が銃を下ろさないと、私はこのボタンを押して管理人室にツウホウすることになる。そこからはどうなるかわかるだろ?」
「…どうなるんだ?」
「すぐに警備員が来てお前を捕らえる。そしたらお前は檻の中だ。」私は黙る。すると、三鷹は不機嫌そうな顔をして非常ボタンを押した。
「なぁ、銃を下ろせよ。警備員に見られたら面倒なことになるぜ。」三鷹は自分が優位に立った気でいる。
「ダメだ。」三鷹はいら立つ。
「何でだ!」
「これは象徴だからだ。私がお前に対して絶対的な力を持つということの。」
「…お、お前。こんなことしてタダで済むと思うなよ。」
「…大丈夫だよ。」
「なっ、何でだよ!」
「私が神だからだ。」ドアの開く音がした。私は銃を残して姿を消す。三鷹は私を見ながらブツブツと呟く。
「…真実しか信じない。真実しか信じない。真実しか信じない。」
「三鷹さん。どうしたんですか。」
「不審者が現れまして。」そこで警備員が銃に気付く。
「…その銃は。」すると、三鷹は自分が優位になるように嘘をつく。
「実はですね。護身用でもあるんですけど私は銃のコレクションをしてるんですよ。これはその一つなんです。」
「…そうですか。では後ほど管理人室にいらっしゃって下さい。書類の手続きをお願いします。」
「はい。」
「じゃあ、それでは後ほど。」警備員は部屋を去って行った。それと同時に私は失望する。