2発目
2人目は中島っていう宗教家でね、お祈りが大好きなやつだったよ。いつもアパートにこもっていてね…
30日目 p.m.23;52
「よう、中島。」
「ヘロ様!」
「私はヘロ様ではない。」
「じゃあ何だというんです。どこからともなく暗闇から現れる背の高い男、ヘロ様としか思えません。」
「私が暗闇から現れるのは、お前の部屋が電気を止められているからだ。」
「だって…」
「ん?」
「信じていれば、必ず何かいいことが起こる。そう言ったじゃないですか。」
電気を止められているのはいいことに含まれているのか?私は考える。
「…身に覚えがないな。」
「またまた。私は必ず見守っている、他人のふりをして。これもあなたのお言葉ですよ。」
「信じているのか?」
「はい。」そこで中島と私は同時に言う。
信じていれば、必ず何かいいことが起こる。
時計を見る。
長針と短針は協力して23時55分を表していた。
「あと5分だ。怖くないのか?」
「怖くないですよ。ヘロ様がいるんですから。」
「そうか。そいつもきっと嬉しいだろうな。」
「またまた。他人のふりをして。」
他人なんだよな。
私は内心そう思う。
そうしているうちに中島は呪文のようなものを唱え始めた。
ヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘ…
ヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘロヘ…
私は時計の針を見る。長針と短針が完全に重なる瞬間、私は指を鳴らす。
「中島。時計を見ろ。」
「あっ…24時2分。…なのに生きてる。」中島が私を見る。私は言う。
「信じていれば、必ず何かいいことが起こる。」