表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心温抽出機  作者: ライス伯爵とタマゴ王子
4/14

1発目

そこで俺は、見張り役をしていたんだ。1日1回被験者の前に現れて銃を見せびらかし、今度お前を殺す。そう伝えて決行する役だった。これは人間世界で遊べる。そう思っていたよ。しかし現実はそんなに甘くなかった。1人目は小竹っていう犯罪者の男だったよ。殺人、強盗、婦女暴行、ホントにやりたい放題だった。しかしあと何日だったかな、警察に捕まってしまってね…


25日目 p.m.11;00

「悪かったな、小竹。遅くなってしまった。」

「おう。助けに来てくれたのか。」

「はあ?何を言っているんだ?私はお前の行動には干渉しない。そういう約束のはずだ。」

「なぁ、お願いだよ。ここから出してくれよ。お前なら出来るだろ。」

「出来る。確かにそうだ。」

「本当か?」

「ああ、本当さ。ただ、やらないけどな。」

「何でだよ。約束を忘れたのか?」

「約束を忘れたのはお前の方ではないのか?」

「はあ?」

「確かにあの時私は、何をしてもいい、思うままに過ごせ、と言った。しかしお前に何かしてやるとは一言も言ってない。出たいなら出ればいいじゃないか。自分の力で。」

「わかったよ。自分の力で、だろ。」

「そうだ。」

「何をしてもいいんだ。」

「おう。」

「じゃあこうするしかないな。」

そう言うと小竹は私が持っている銃を奪い、突きつけた。

「そんなのでいいのか?」

「ああ、いいんだ。お前も殺されたくないだろう。だったらわかるよな。外へ連れ出してくれ。」

「ダメだ。」

「じゃあ、残念だな。」

小竹は至近距離で私に5発も発砲した。弾は全部当たったよ。痣を見るかい?まだ残っているんだ。

「どうだ。従わないからこうなるんだよ。」

「そうだな。もう気が済んだかい?」

「えっ⁉︎」

「私も痛いのはあまり好きではない。次の実験の時は従うようにするよ。」

「くっ…!」

「お前はここで5発も発砲した。ただじゃすまないだろうな。おそらく殺さなくても一生元の生活には戻れないだろう。まあ、あと1発残っている。時期が来たら撃つよ。」

「そうか。」そう言うと小竹はさらに残りの1発を発砲した。そして得意そうに「これでどうかな?」と言う。

「参ったよ。スペアの銃を使わせるなんて。」

「えっ?」

「実は、もう一つ銃を持っているんだ。現物はこれなんだけど、さっきの銃より小さいだろ?だから威力が弱い。つまり、どういうことかわかるよな。より苦しんで死ぬんだ。」

「…クソっ!」

「なんならこの銃を奪ってもいい。ただ、決行の日に苦しむ時間と頭にめり込む弾丸が増えるだけだ。」

そう言い残すと、私はその場から素早く消えた。


その日の警察署では、小竹の叫び声が響いた、らしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ