第八話 帰宅
教室に戻り、自分の席に着く。
もうすぐチャイムが鳴る筈だ。その時ふと隣を見た。
よく見ると前の時間まで知らなかった隣の女の子。それはさっき一緒に弁当を食べた坂井みのりさんだった。
坂井さんも視線に気づいたのか僕の方を見て微笑んだ。なんかこういうは嬉しい。
さっきまで知らなかった人が次の時間には知り合いになってる。説明しがたい嬉しさがある。
「坂井さん隣だったんだね。全然気づかなかった。」
「うわ、小山さんひどい。私は気づいてたのにさ。」
「ごめんごめん。」
あぁ、やっぱりこういうのっていいな〜
そうしてるうちにチャイムが鳴り、Mはげ気味な英語教師が教室に入ってきた。
今日の授業が全て終わり、教室は喧騒に包まれる。
茜と高本さんは同じテニス部で、さっさと部活に行ってしまった。
その結果僕は一人で帰ることになるが、僕が茜に迷惑を掛け続ける訳にも行かないと思い、茜に部活に行かせたんだ。
茜は僕のことを心配してくれていたが。
「小山さん、帰るの?」
「あ、坂井さん。うん。部活やってないから。」
「じゃあ一緒に帰ろ!」
「うん。いいよ。」
坂井さんが誘ってくれた。
正直一人で帰るのはちょっと怖かったからこの申し出は嬉しかった。
坂井さんと一緒に帰って、いろいろなことを話した。
茜と高本さんとは去年一緒のクラスだったそうだ。
因みに僕は去年茜とは違うクラスだった。今年2年振りに同じクラスになったんだ。
それからも僕たちはいろいろ他愛もない話をしていた。
国道まで来て坂井さんとは道が違うことがわかった。
「じゃあ坂井さん、ばいばい。」
「また明日ね。」
そう言って僕たちは別れた。
おとなしそうに見えた坂井さんが意外とテンション高いのにちょっと驚いた。
僕の家まではあと300mくらいだろう。
その距離を僕は今日のことを思い返しつつちょっと早足で家まで帰った。
部屋に入って、布団に倒れこむ。
精神的に疲れたことが多かった。でも楽しかったことも多かった。
最初はどうしようか悩み、戸惑ったが、このままでも何とかなるかもしれない。そう思った。
そしてそのまま精神的疲れからか僕は一時の眠りについた―
もしかしたら夜に第九話更新するかもしれません