第七話 女子トイレ
「小山さん、そのカツ一切れ頂戴!私のエビフライあげるから。」
「うん、いいよ。」
「あ、私も欲しい…小山さん、このハンバーグと交換して?」
さっき頑張ろうとおもっていたのは杞憂に終わったようだ。
高本さんが異様に高いテンションで話して、そのおかげで一気に高本さんとも坂井さんとも友達になることが出来た。
――トイレに行きたい…
それは昼休みが終わる10分前のこと。
早く行けよ、と言う人がいるだろう。
だが、もしあなたが女の子になったからといっていきなり女子トイレに入ることが出来るだろうか。
俺は出来るぜ、という人。あなたはもともと女子トイレに入りたいと思っているからではないだろうか。
僕はあいにくそんなことは思っていない。恥ずかしいとしか思わない。
「茜…ちょっと、トイレ行きたいんだけど…」
僕は茜に耳打ちした。
「え?…あ、そうか。そうだね。」
さすが茜だ。わかってくれた。
「ちょっと私たちトイレに行ってくるね。」
「はーい。ごゆっくりー。」
茜が高本さんに声を掛けて僕と女子トイレに行く。
「男だったやつがいきなり女子トイレに入るなんて出来ないよねー。」
「ごめん、茜。」
「なんで謝るの。ちゃんとサポートするって言ったでしょ。」
・・・また泣きそうになってしまった。どうもこの体になって涙腺は弱くなったみたいだ。
茜と一緒に女子トイレに入る。初めて入る女子トイレ。男子トイレとは違って個室のみ。
全部洋式だったからよかった。これならまだ一人で出来る。
和式だったら下手したら・・・な可能性もあったし…
用を済ませて出ると、茜が待っていてくれた。
手を洗う時に目の前の鏡に目が行った。女の子―改めてそう実感した。
「美樹ってさ、かわいいよね。」
「え?!そうなの?!」
いきなり茜が変なこと言うから驚いた。
「自分で見てそう思わないの?」
「そんなこと言われたって…」
確かに整った顔はしてるけど。だいたい僕は男だぞ?かわいいって言われてもうれしくないよ!
「声に出てるよ?まぁいいから。授業始まるから行くよ。」
声が出てた?・・・うわ、恥ずかしい…
「トイレならもう大丈夫でしょ?」
教室に戻る途中に茜が声をかけてきた。
「うん、もう大丈夫。ありがとね。」
「いいって。美樹はいちいち謝らないの。」
「はーい。」
違和感も何もなくちょっと笑ってしまう。
茜がいてくれて本当によかった。茜のおかげで日常生活はなんとか乗り切れそうだ。
どーも作者です
小説って書くの難しいですね…