第五話 信じる
「あのさ…僕の話ちょっと聞いてくれる?…」
僕は茜に全てを話す。それが最善の策だと思う。
「僕、昨日まで男だったんだ。」
それを皮切りに今まで女になりたかったこと。昨日流れ星があったときに呟いたこと。
朝起きたら女になっていたこと。みんな僕を女として認識していること。
茜に全てを話した。
「う〜ん…」
「信じて…くれる?…」
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「信じられない。けど…信じる。」
「茜?…」
「美樹、いや義樹だっけ?言ってることは信じられない。でも、信じたい。」
「・・・・・・ありがとう・・・・・・」
茜が信じたいと言ってくれた。それがうれしくて僕は思わず涙を流した。
「じゃあ学校行こうか?でもその前に…」
「え?何?」
「美樹に制服と下着のつけ方は教えないと。」
「あ、そっか…確かに僕わかんないや。」
「よし、じゃあ時間ないからさっさと教えるからね。」
それから茜にいろいろと教えてもらった。
いままで2年間通った学校。女の子の目で見るといつもとは違って見える。
隣には茜がいてくれている。
それでも教室に行くのが怖い。どんな風に入ればいいのか。
みんなは僕を女の子として認識しているのだから、みんなにとっては小山美樹という一人の女の子が遅刻したということにすぎないだろう。
それでも僕は昨日まで男だった。
みんなにとって普通でも、僕にとっては普通ではないんだ。
それでも茜がいてくれている。
僕のことを信じると言ってくれた茜。
「行ける?…」
「…うん。行こう。」
これから学校編が始まります。