第四話 茜の話
部屋に着いてとりあえず茜を座らせる。
「コーヒーでいいよね?」
「別にいいよ。そんなの。」
「いいからいいからちょっと待ってて。」
コーヒーを持ってくるといい考える時間を作る。
このままでは何から話せばいいかまったくわからない。
まず考えをまとめてみよう。
僕は昨日まで普通の高校生活を送っていた。
確かに女性になりたいとは思っていた。もしかしたら昨日の夜の流れ星か?…
でもそんな漫画みたいなこと…
「ちょっとみき!茜ちゃんと部屋行って何するの?遅刻するよ?」
お母さんも結も茜も僕が女の子で認識してたな…
「ちょっと大事な話があるんだ。すぐに終わるから…」
お母さんにはそう言っておいてコーヒーカップを両手に持って部屋まで上がっていった。
「お待たせ。はい、コーヒー。ミルクと砂糖は?」
「それはいいから!話って?!なんか重大なことなの?」
茜め…僕に猶予というものをくれてもいいだろう…
しかし、どう話せばいいのだろう。
玄関から部屋に行くまでの間とコーヒー淹れる間に考え付くほど僕の頭の回転は速くない。
こうなったら思いつくままに話してやれ。
「あのさ…僕の名前って何?」
「は?どうしたの?!記憶喪失?!僕なんて言ってるし…自分の名前もわからないの?…」
「いや、記憶は失ったりしてないと思う。ちょっと確認したいんだ。」
「ふ〜ん…まぁいいや。あなたの名前は小山みき。身長155センチ、体重46キロ。6月16日生まれのA型。私とは小1からの幼馴染。まだ何か聞きたい?」
なんで茜は人のことをここまで詳しく知ってるんだ…ストーカーしてるんじゃないだろうな…
でもそれでわかったことがある。
身長は10センチ、体重は7キロ減っている。
まさか寝てる間に減るなんてことはないだろうから、元々こうだったって言うんだな…
そして明らかに変わったところがある。
「あのさ…みきってどういう字?」
そう、僕は『よしき』だった筈がお母さんも茜も言った。『みき』と。
「え?みきの字?こうだよ?」
そういって茜はその辺にあった紙にペンで『美樹』と書いた。
『義樹』から『美樹』へ。
その変化は『義』の字の下半分が『我』から『大』に変わっただけだった。
昨日は忙しくアップ出来ませんでした。
その分今日の夜に第五話アップします。