第一話 願い
「はぁ、なんで男として生まれてきたんだろう…」
2階の自分の部屋で外を見ながら溜息をつく。
小山義樹は昔から女性というものに憧れていた。
ホモであるというわけではない。
叶うはずの無いただの憧れ。
そこに理由など無い。ただ―女性になりたい―そんな夢を持ち続けてきた。
「ホントいつも意味のないことばっかり考えてるな…はぁ…」
すでに夜の1時を回っている。明日は高3生活の4日目だ。
「そろそろ寝ないとまずいな…」
今日も義樹は自分が男であることを後悔しつつ夢の中へと落ちていった。
「おはよ」
「おはよう、義樹。」
「お兄ちゃん、おっはよー」
「結、朝からテンション高いぞ…」
「学校に行くの楽しみだからねぇ。お兄ちゃんももっと楽しまなくちゃ。」
結は同じ高校の1年生だ。僕と違って無駄にテンション高い。友達もすぐに出来たみたいだ。
「じゃ、行ってくるね」
「はい、いってらっしゃい」
家を出ると前に人がいる。幼馴染の斉藤茜。1年のときから一緒に学校に行っている。
「おはよ、茜。」
「おっはよ、義樹。」
茜は中々の美少女でクラスのやつからも人気があるらしい。
そのまま茜と一緒に他愛もない話をしつつ学校まで行く。
これをクラスのやつらから羨望の眼差しで見られるのが嫌だ。僕は茜のことを友達としか見てないのに。
放課後―
テニス部の茜を見送りつつ、帰宅部の僕は何をするでもなく帰宅する。
代わり映えの無い普通の生活だ。
夜、いつものように義樹は外を眺めていた。
「女になったらこの生活も何か変わったりするのかなぁ。女か…いいなぁ…」
その時、一閃の輝く星が―
「流れ星か…どうせなら僕の願いでも叶えてくれればいいのに…」
まったく期待せずにそう呟いた。
これが義樹の運命をかえていくことになるのだ。
初作品です。
頑張って更新していきますんでよろしくお付き合いください。