第一話 事件の始まり
学校へ着いた。
「おはよう。今日は早いね」
と話しかけられた。
俺に話しかける相手はすぐ分かった。
「ああ、おはよう。今日は寝覚が良かったらしい」
と返事をする。
「ふーん。そう」
といって自分の席へ戻った。
俺に話しかけたのはエミリー、数少ないエクソシストを目指している少女だ。
何故少ないかと言えばエクソシストは悪魔と直接戦うからだ。
悪魔を倒すのは普通は四、五人で戦う。
そのうち二人くらいはエクソシストで一人はシスターだ。
シスターというのは簡単に言えば回復役だ。
女性だけで組まれた魔術によって悪魔との戦いで傷ついたエクソシストを回復させるクラス。
それがシスターだ。
何故女性だけなのかは理由があった。
それは男性は回復魔術が使えないか使えても女性と比べたら絶対的に効果は低いからだ。
何故かはわからないがそんな訳でシスターは女性だけだった。
そんな訳で女性だったら大体はシスターになる訳ではあるが彼女は例外ではあった。
彼女も人並みの回復魔術の適性はあったからシスターにはなれたが
危険度の高いエクソシストになったのだ。
理由はわからないし訊こうとは思わなかった。
一応女性のエクソシストもいるがやはり少ない。
何故だろう。
そんなことを考えていたら授業は始まっていた。
「…………なので、この場合は……」
先生の声が聞こえる。
何故か今日はやる気が起きない。
だがそれでもがんばって聞いていたら授業が終わった。
「起立、ありがとうございました」
ほっと一息をつく。なんだかいつもより体が重くだるい。
周りを見回してみると皆疲れている様子だ。
先生もなんだか疲れているように見える。
どこかおかしい。
皆が少し疲れているくらいならわかるが凄く疲労感を感じる。
この感じはまるで生きる気力を吸い取られていくようだ。
……待てよ。確か悪魔が使う魔法で生気を吸い取るものは無かったか?
魔法は文字通り悪魔が使う力だ。
悪意を魔力に変えて使う魔法。
だがおかしい。
学園は結構大きいし先生たちはエクソシストなど悪魔狩りのプロだ。
これだけ学園を覆う程の魔法はすぐにわかるだろう。
なのに気付かないなんておかしい。
そうするとこの疲労はたまたまなのか?
だがいくらなんでも分かっているだけでこのクラスの生徒全員と先生全員が疲れているなんて
偶然はあるのか?
「ねえ、アレン。なんだか疲れない? 」
来たのはエミリーだった。
「そうだな。何故か元気が出ない。それに」
一旦切って周りを見る。
「みんなが疲れている。これをどう見る? 」
しばらく顎に手をあて考えた後考えを口に出した。
「これは偶然ではなく人為的な誰かが引き起こしたってこと? 」
「わからない。でもおかしい。先生ならば気付きそうだけどその先生も気付いてもいなさそうだ」
謎だ。
「ねえ、学園を回って原因を探してみない? 」
「……それは授業をサボルことになるということか? 」
「そうね。でも嫌な予感がするの。だから一緒に来て! 」
はあ、お人よしなのはコイツもそうだったか。
「仕方ないか。それじゃあ行くぞ」
しぶしぶサボルことを了承したが実は自分も授業がなければ行くつもりではあった。
「それじゃあ行くわよ」
「はいはい」
こうしてアレン達は原因を突き止める事になった。