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言葉くくり~とおりゃんせ~  作者: 遠野根っこ
8/8

終章 とおりゃんせ

蒸気で動く列車は汽笛をあげて駅構内に止まった。


車掌のアナウンスの声を聞き入れると、

久世健は使い古した鞄と、愛用のベレー帽をかぶり席から立つ。

降りる客のながれにしたがっておりた。

列車から降り立つ時、風の強さに帽子が飛ばされないようにしっかり押さえる。

降りて出口を探そうと右往左往している間に、列車は次の停留する駅に

走り去っていった。


列車がどいたことでそこにひとつの風景が現れる


山並みの頂に、何か朱色の社があって、その少し右側に山と山を繋げる大きな

橋がかかってた。木が組み重なってできたそれは

遠目からもどくとくな重厚が見てとれる。

健はしばらくなぜか、理由もなく、無性に、それに目を奪われた。


「お客さん、あれが珍しいですか?」

「はぁ…なんか…俺のいる盛丘にはまずないですよね…。

さすが…西国といったとこですか?」


声をかけて来た人は年季のきいた駅員の制服を着込んだの男。

顔がよく見えないが顎に無精髭が見える。


「いえいえ…あれは昔、この国にいたという者の…残照のようなもの。

 各地にあるのでしょうが、ここが一番目立ってしまっただけでしょう」

「そんなもんですか…」

「はい、観光地なんてもんはそんな具合にできてるだけですわ」


カッカッカと笑う朗らかな声があがりまし。

人の良さそうな、話しやすさを感じて健は鞄から手紙を出そうとしました。

けれども、どこをひっかきまわしてもありません。

(忘れた…) 

こうなれば破れかぶれに健は尋ねます。


「あの、実は人を訪ねて来たんです。松宵という方のお家は御存じですか?」

「あぁ松宵さんか。知ってますよ」


知っている風だったので安心し、続けて場所を訊くと駅員は

真っ直ぐに指をさしました。


「ちょうどいい、観光がてらにいってらっしゃい。たしかあのへんでした」

「あのへんって…」


山の麓をしっかりと指示しておりました。

健はがっくりと肩をおとし、そのすぐそばの観光地を見つめていました。


****


詳しい行き方を駅員に尋ねると、やはり徒歩は無謀らしい。

この炎天下に、徒歩なんてことをしてしまうことを想像した健には

唯一救われる思いだった。

近くまでならば観光地の影響ででだした蒸気車の定期便があるらしい。


停留所にはまばらに人が待っている。

町並みは、盛丘とは違い茅葺屋根の家はどこにもない。

瓦や井戸は見かけるが町並みの随所に新しいものがあった。

たとえば町にガス灯というものが立っていること。

仕組みはよくはしらないが舶来のものを、技術者が国土にあった形に

直して昨今では普及し始めている。

そんな新しいものと、古くからあるものが歪に、適度なバランスで

重なり合った町に思えた。


運よく、少しの時間を待つと蒸気車はやってくる。

乗り込んで、財布から乗り賃をだす。

当然、高い。しぶしぶだしながら、帰りの列車の運賃を考えながら

座席に座る。


ぼんやりと窓外を見た。


「逢坂」と書かれた駅の看板が、ゆっくりうしろにさがっていく。

鳥が止まっていた。あれは、なんの鳥だっただろう。

前の方をみれば発車した車の連絡事にかかる時間が表示されている。

見ると、観光地―葦比良の社―に着くには50分かかるらしい。

それまで昼寝をするか、読書をするか。一考して、鞄の中から書物を取り出す。


「隣いいですか?」

「はい?」


ページを広げようとした時、誰かが声をかけてきた。

ほっそりとした体つきに、白地に紅い蝶の飛んだ着物をきた女の子だった。

地元の子だろうか。たいそうな旅行鞄は持っていなかった。

顔は…麦わら帽子のかさが邪魔でよく見えない。


車内を見渡せばべつに席は空いている。

なぜあえて健の隣に座ろうとするのか。


(これは俺に惚れたな…)

思えばにやにやする顔を、なんとか堪えてすこしカッコイイ声と顔をつくる。


「どうぞ」

「ありがとう」


見惚れてくれるわけでも呆けてくれるわけでもなく、

間髪いれずその子は言う。行儀よく座る彼女の手に何かが、よく見えなかったけれど。


(まぁいいか…どうでも)

健は古い記し物の紐をまた、解いた。

古くから家に伝わるこれが手元に届いたのは、祖父が亡くなる時だ。

今際の際に呼ばれた健と健の母と父は、

しっかり看取った。祖父が大好きだった健は必死に泣きついて離れなかった。

その魂をその体から離さないように、覆いかぶさって。

その健の頭を優しく撫でて、祖父は言うのだ。


「………健、頼んぞ…」たったひとつの頼みごとをして。


****


車の大きな振動に、思わず記し物の世界からこっちに

戻される心地で顔をあげる。気がつけば周りはもう山々に囲まれた様子。

緑、緑―明暗のある緑と深く見える奥は黒。

木肌の茶色、沢の水が見てとれた。町並みはいつのまにか車の後に

過ぎっていったらしい。


「なにを読んでるの?」


その子は声をかけて来た。

心の中でこの時を待っていましたっ、とばかりに彼女に極上の笑みを見せる。


「そんなに俺が気になるの?」

「馬鹿じゃないの」


笑顔が止まった。心がガラス細工の健には、彼女の言葉はききすぎた。

意気消沈して健は言う。


「お爺ちゃんの形見…かな。古くから俺の家に伝わってる…本当の話もの?」

―ゆびきりげんまん―と表紙のページをめくれば

一枚目に、達筆な字で書かれている。作者は訪印僧 遼という名の人らしい。

内容は奇妙で不思議で、けれどそこに在る感情は

健の生きる今の時代とはなんにも変らない感覚を受ける。


ただ一つだけ気になることがある。

この話の続きだ。

今日はその続きを探しに、ここ「逢坂」に来た。


気がつけばそれを彼女に話している自分がいたことに、健は戸惑う。


「………爺ちゃんのお願いでさ。来たんだ、ここ。

俺の父さんも母さんもそういう奇怪な話嫌いだけど、俺は好きなんだ。

 だから……まぁ、興味もあった」


梅という名の女性はどうなったのか。

遼という名の、おそらくこの「ゆびきりげんまん」を遺した人は。

朔という子はどうなった。

燕を失って、なにかが壊された聡介という少年は何処に行ったのか。


この話は途切れ、ここで終わっている。


「……お名前はなんていうの?」

「だめだめ簡単に名前を話すのはいけないんだってさ」


意地悪のつもりで、祖父直伝の常等文句を言ってみる。


「名前を名乗るのは自分から、ってね」

「燕」

「へっ?」

「あたしは、燕というの。苗字は…わからないの」

「……………はい?」

「…名前以外あたしはなんなのかわからない」


深く麦わら帽をかぶる彼女を見つめる。

まさかの数奇な偶然に、健は不思議に思ってひとつの予感を思う。


「なぁ、その…帽子はずさないと蒸れるよ」

「……あなたこそ」


言われて健は帽子をはずす、漆黒の黒い頭は少々今朝の寝ぐせのままだった。

彼女もとる。しかしのぞいた色は栗色だった。


(まぁ…そうだよなぁ)


へんな期待を持った幼稚さを、健は笑い、それから自分が

名前を名乗っていなかったのを思い出す。

もう恰好つけるのをやめて、普通な調子で健は自己紹介をする。


「俺は健。久世 健っていう盛丘出の者だ。よろしく…」


初めて彼女と目が逢う。印象的な青い目。


「なに?変な名前っていうのは無しな。健康が一番という意味で健らしい…

 もっとカッコイイしゃれのきいた名前つけろよって言いたいけど」

「べつに変じゃないよ」


「変だよ」とか普通に言われなかったことにほっとする。

どこかあけすけもなく、正直に物を言う彼女なら言いそうに思えたから。

「えっと…地元の子じゃないの?ってかなにもわかんないってどういうこと?」


「関係ない」と一言で一蹴されそうだったけれど意外にもなにか

話してくれそうだった。

彼女は目を伏せて、たどたどしく言う。

自分が分かっていることを整理して話しているようだった。


「……あたしはここで気がついたけど、この街の子じゃない…と思う。

 でも行かなきゃって……あの杜へ」

「……森?」


見つめてくる顔は真剣そのものだった。

繊細そうだった。目も、鼻も、口も全部。かかる栗色の髪に、太陽の光がさせば

それはどこか濃い茶にかかる金色に似た色に見える。


「…それ少し見せてくれる」

「いいよ」


記し物を燕の手に渡した。


手持無沙汰になった健は、ひとまず違う物を読むことにする。

作者の部分はもうかすれた文字で読めなかった。


かろうじて拾い読めたのは、ひとがしらの部首だけだ。


****



終点は葦比良。まぁ葦比良直行便なのだからそれしかないだろう。

降りると何人かの観光客が足早に観光地の入口へと向かっていく。

健はそれとはべつの三又小路に向かっていった。


「行かないの?」

「俺はもともと訪ね人いるんだ。……行かないのか?今なら迷わずいけるとおもうよ」


と観光客を一瞥する。

しかし、燕は目もくれずすぐに健の傍に並んだ。


「あなたと一緒に行く…」

「…ようやく…俺のこの魅力に…」

「違う。気になることがあるの」


すっぱり切られ、いっそ清々しい感じを思いながら

健は訊いた。

燕は答える。


「この記し物はおかしい…」

「内容はまぁ、変だけどおれは好きだよ?」

「違うの。だって作者は一人だけなんでしょう?なのに、どうして?」


言葉をいったん、切ってから燕は言う。


「何人かで書いてないとおかしい……」

「…どういうこと?」

「おかしいと思わなかった?最初はこの聡介という人。それから少なくとも梅という人や

 朔という人…いろんな人…その人の気持ちも書かれたそれを、なんで

 全く関わってない…最後の最後にでてきた遼という人が話を締めくくってるの」

「…??」

「だから…わかるはずないじゃない……心のうちなんてわかんないじゃない。

ましてやその人しか体験しなかったことを、まるで見て体験したかのように書いてる。

おかしいじゃない?ねぇ、この遼って人はちゃんと聡介に会うの?

梅に聴くの?どうなの?第三者がこの話に加筆をしない限り…こんなのへん」


言われてみれば確かにそうだけど、これは遼という人が

他の人になりきって書いたか、それとも聴いたかしたかと思っていた。

でもだとしたら、絶対に話を聞けない人がいる。

燕だ。

彼女は、物語の中で非道な息子の前で死んでいる。

誰にもその心のうちを吐露することなどできなかっただろう。

他にも、彼女でしか知り得ないことばかり。

本人でしか知り得ない事ばかり。


「でもまぁ、作り話かもしれない…ファンタジーだよ」


これは父がいつも語る常等文句。言って少し、思い知る。

自分のうちにも、なんだかどこか半信半疑でこの話を読んでいた部分があったのだ。


「どちらにしろ、行けばわかる。

 …話の続きは松宵さんが持っているはずだし…一緒に来るか?」

「あたりまえ」

手を差し出すと、彼女はその手を軽く払った。

その代りに、健の隣に並んだ。


****


水穂の国の古くからある家はとんでもなく大きい。

もちろん健の家の久世家も古くからある由緒正しいものらしくて、

その家はでかい。もう屋敷級である。


この目の前にある家も例外ではない。


「どうやって御用をいればいいのよ」戸惑うのは燕も同じらしい。

健は少し笑い、それを燕は見咎めるように睨む。

健はそっと大きな門の横の小さな勝手戸を、おもいっきり叩いた。


「はい」

短い返事が返ってくる。


「久世健といいます。松宵さん、えっと…手紙読んできました。

 返事書いたんですが…届いてませんか?」


戸が開いて、戸越しに現れたのは浅黄色の小袖を着た女の子だった。

髪の色は銀色。若白髪なのだろうか。

じっと髪を見つめているのがわかったのだろう。

彼女は眉間にしわを寄せ、言い訳を言う。


「これは遺伝です……。松宵鈴鹿と言います…どうぞ。

 お待ちしておりました」


中へ手招きする彼女に、一つ断りをいれる。


「もうひとり客人がいるのですが、いいですか?」

「はい」

「さらにいうなら、例の件の立会人として…」


燕が横から出てくる。

そして彼女は遠慮気に頭をさげて頼み込んだ。

松宵鈴鹿はそれほど不快を示さず、快く燕を迎え入れてくれる。


燕が中に入った後、中に入ろうとしたその時―背後に気配を感じて振り向いた。

丸坊主の小さな子供がこっちを見つめていた。


「なんだよ?!」

「…………」


物言わず見つめるので、なんだか気味悪い。

戸をくぐり、中にはいっていった。丸坊主の子どもを、健は無視した。


*****


続きは「かごめかごめ」と呼ばれる代物だった。

開けば、続きが閉じられたそれを…読み終える頃には夕刻になっていた。


どっと疲れて、その場に寝転がる。

一緒に読んでいた燕も一緒になって寝転がっていた。


「………さっぱりだ」

「…ね、変でしょう?」

「ん…肝心の最後が書かれて無い…また途切れてる」


松宵鈴鹿の家にも、その続きはどこにもないらしい。

きっと続きはその「かごめかごめ」の実行になるのだろうが、肝心のその部分は

全く書かれていない。

くくったらしい、言葉すら残っていない。

気になればとことんまで調べたく思い、健は松宵の蔵にお邪魔した。

古い道具と共にいろいろ置いてあるが、続きらしい紙物が

見当たらない。見つけたのは狸の置きものくらい。


「………鈴鹿ちゃんに言われた通り…行ってみるか…明日」

「…うん」

「お前、家の人とか大丈夫か?」

「だから、わかんないって言ってるじゃない。家の人に連絡したくても

 どこに言えばいいの?」

「なるほど…道理だ」


この言い回しも、祖父のこのんだ言い回し。

文句なしにその通り、返す言葉もありませんという意味らしい。

使うとよく、「じじくさい」と笑われたり、かっこつけといわれる。

(いいじゃん、かっこつけて悪いかぁってんだ)

健の方がもう真似が癖になっているので、変える気はない。


「ここに泊まらしてくれるって…優しいな鈴鹿ちゃん」

「…そうね。いい人ね」

「鈴鹿ちゃんからな。手紙が来たんだ…だから此処に来た」

「そう」

「……彼女もお婆ちゃんが亡くなって、身寄りのないお婆ちゃんだったらしい。

 血も繋がってないぞ。その人の形見分けに、どうしてか鈴鹿ちゃんの

 名前があったらしいんだ。……通夜にいけば穏やかな、物腰柔らかい

 どこか気品のあるお婆ちゃんだったらしい。名前は…忘れたけど」

「……そう…これも…形見なんだね」


燕はそう言って、「かごめかごめ」の書をそっと、健に渡す。

誰が記したか、最早わからないそれは、昔の時を経て今の人の手渡っている。

そんなことを考えながら、感傷に浸りながら、燕の疑問を考えていた。


(これも…複数視点で書かれている…)


突拍子もなく、いろんなことが書かれている。

思いも、空間でない空間すら書かれている。それはもう妄想として呼んでいいものだった。


「幻想は幻想でしかない」

「なぁにそれ…?」

「父さんの文句なんだ。いつもなにかといえば現実的で…」


幻想が好きな幼い子ども時分の頃そう言って叱られたら、

祖父のもとに逃げ込んでいた。

慰める手が優しく頭を撫でてくれる。

決まってそれから言うのだ。


「幻想か、絵空事か…しかしその中に真はあるだろう…」


夢見る子どもの空想を壊さないように言ってくれた言葉だと

今では思っていた。それが、どうしてか今、如実に思い出しその意味を考える。


(明日、ちゃんと杜に…行って……聴こう)

祖父の託した頼みごとも、ついでに果たせるかもしれない。


健はご飯を食べ、湯船を借りて、部屋を借りる。

就寝は燕と一緒かと期待したが、軌道から外れてしまった。


「燕さんという方は、私と一緒です」

鈴鹿は笑顔で申し渡してきたのだ。

わかっていたが寂しい気持ちで布団の中で小さくなって眠った。


********


もしかしたら…なにか夢に出るかもしれない。その予感はぴったりと的中した。


ぼんやりと霧のかかる視界の奥で、数人の白い人影がある。

その一人が、早く来るように呼んでいる。

誰に言っているものかわからなかったが、どうやらそれは健にいっているようで

戸惑いながらもその呼びかけに応じて足を一歩踏み出す。


踏み出すと何かが自分から抜け出た。


見ればそれは女性だった。

すべるように廊下を歩いていく。黒い漆塗りの廊下をすべるように歩いていく。

見たことのない白装束に似たそれの、帯は孔雀緑の帯にと紅色の紐帯と、

手になにか錦織の物を持っていた。


思わず、彼女の肩を掴む。

すりぬけるだろうと思っていたけれど、その手はしっかり直に触れた

感触を伝えた。


振り返る。その人は―


―――――――――

――


酷い頭痛にと耳鳴りに、健は身を起こした。

まだ朝が明けないながらも、目がさえてしまった。


あれがなんなのかわからないにしろ、健はもうひとつの

約束を思い出して、鞄へ手を伸ばす。

掻き回して、触れたそれを確認して、少しほっとする。



夜が明けるのをそのまま―

久世健は朝を待った。


****


「………山道…嫌いだ」


翌朝明けて、松宵鈴鹿のはからいで事前に杜の方へと連絡をいれてくれたらしい。

しかし杜の方がなかなか横暴で、お昼までには来いというのだ。

燕は先に行ってるらしい、今はこの苦行と呼ばれる

山登りを健は一人で必死に敢行している。


整備されていて登山までとはいかないが、傾斜の激しいこの道は

若者でも厳しいものがある。

昔は二つ道があって、今登っている道は昔の逢坂の町に

続いていたらしいから楽なはずなのだと地元って子の松宵鈴鹿は教えてくれた。


けれどもようやく杜の入口に着くころには汗だくだった。


「………なんか出そう」


お地蔵さんが無数に傾斜に並んでいる。

古くて緑苔がおおったり、頭がとれてるものすらある。

供えてある風車が真新しいのが気になったが、傍の表札に参拝客が

子どもの霊を慰める為の風車を供えたものだということがわかる。

「一個…50円…微妙だな…」

それよりも、ここに休憩所があればよかったと思わずにいられない。


****


石段をあがると、そこに丸坊主がいた。

丸坊主は事も無げに近寄っては「大丈夫?」と声をかけて来た。

影が傍にあるってことはほんの鼻さきにいるのだろう。


「………無理、しばらくたんま…」

『………ありがとう……』

「はぁ?なにが…」

『帰って来てくれて』

「……?!」


顔をあげれば、誰もいなかった。


「ん?どうしましたぁ?狐につままれたような顔をして」


声の方を見れば同じく丸坊主の、黒い僧服を着た好好爺が

箒を片手に立っている。


「あっ、久世健です!その…お願いがあってまいりました!」


細くつぶられた杜の管理主らしきお爺さんは

「そうかそうか」と笑って、しばらく笑いがとまらないらしく眺めていた。



こっちの疲れも落ち着いて、お爺さんの笑いも止まる。



「おかえり、本当に来るとは思わなかった…」


笑い終えた後のお爺さんは、どこか懐かしいものを触るように

健に言った。


「私は呱々理と呼ばれる者です。さぁご案内しましょう」


*****


通されたのは古い書庫らしい場所だった。

本殿と呼ばれるところは通り過ぎ、推古院といわれる場所の間にある

大きな蔵のようなところだが、中は書物の宝庫だった。


「……この中を、探せって言うんですか?」


きっと一日では終わらないだろう。


「いえ、納得してもらう為に貴方を連れて来たんですよ」

「はい?」


数万冊以上も超えるだろう冊子や紙の山から、呱々理はひとつを

探さずに、迷わず抜き去る。

それは白木の箱にいれられ、蓋にはなにかが彫られていた。

星形に見える。


「これが唯一貴方の知りたいことを記した断片でしょう」


蓋が開けられ、出て来たのは古いもののはずなのに色あせが

ない真っ白な紙のものだった。

健は手にとって見てみると、そこには文字が記されている。


1300年水穂の国 逢坂


大禍刻が起きて曇天をまき、闇夜に国を荒れ狂わせる。

108災い目醒め起きる前にこれを鎮める。


「五人囃子」は「かごめかごめ」によって

修め、くくりて事をおさめ、天変をおさめ「大祓い」をとじる


紫乃

訪印僧 遼

松宵 大河

七辻 佐吉

久世 梅雨


以上の言霊使いを用いて「かごめの儀」を終えた

ことをここに示す。


「これだけです。…この儀は古くから秘儀としてあるものですから…

 言葉にしるし置くことを固く禁じられたようで、

 今は口伝しか残っておりません。ですからおそらく…あなたの求めるものの

 続きはないでしょう」

「なんか言い伝えとかないんですか?」

「それももう伝え知る人はいないでしょう。なにせもう数百年も前のことですよ」


物語はここでお終い―本当にどうなったのかは

すべては時の彼方に埋もれて、視えないものになってしまった。


がっくりと肩を落とし、その文字を見つめるだけでした。

わかったことは、ただ久世の家で縁の在るかもしれない者が、

「梅」であると思われるこの久世梅雨という人なんだろう…ことだけでした。


彼等の行方は時の中に。

はたまた訪印僧遼の語るように、耄碌した老人が書いた幻想か。


「…………ねぇ健さん」

「はい…」

「あなたがここに来たもうひとつの約束は果たさないのですか?」

「……………えぇ…そうですね。それも鈴鹿さんから?」


肯定を意味するかのように、呱々理は笑む。


「さぁ、ゆきましょう。お連れさんも待っていますよ」


今度は健の手をひいて、呱々理は誘った。


****


来たのは初めてだがそこは、駅から見えた場所だった。

木造りのその大橋は山から山にかかる大きなもので、

健はその方端に来ていた。見知った麦わら帽の女の子の後ろ姿を認めた。


「燕!」

「……あっ、健」


思えば初めて名前を呼ばれたように思う。

「ねぇ」とか「君」ばかりだったように思えたから、なかなか新鮮だった。

けれど振り向いた彼女の顔を見て、軽口は口から飛び出さなかった。


「なんかあった…」

「わからないの。でも苦しい…」


胸を抑え、青い眼には涙が止めどなく出ている。

駆け寄ってなにか怪我でもしたのかと思うがどこも異常がない。


「此処に来たら、わからないけど泣いちゃった……止まらないの。

 ねぇ、涙ってどうやってとめればいいの?」


聴かれても、困り果てて健は昔自分がされたことをやってみる。

手を頭に置いて、撫でてみた。

しかし、彼女は泣きやまず、さらにその健の手をはたした。


「触らないで…」

「ごめん…」


涙は人のあったかさで泊まるんだよ、と教えてくれたのは母だ。

それを実行してみたが燕は心底嫌そうに睨む。


「泣くなって」

「無理なんだもん」


言葉をかけても無理。

だったらどうすればいいのだろう。

言葉も、触れあいも、何の慰めにならないのであれば

なにを持って慰めればいいのか。


「………わかった…じゃあ…もうこれでも聴いて機嫌治してくれ」


言って健は持ちだした錦の織物から、笛を出す。

吹き方は祖父、久世優雨から教わった。


龍笛に指をやり、一呼吸した後―その音を笛から解き放つ。

昔よく祖父が吹いた曲は

耳にも脳にも、この指にも、息すらもよく覚えている。


―健、これはお前にしか伝えないよ。…もし上手に吹けるようになったら

 吹きにいってほしいところがあるんだ。

 根の国にも、現にも人が出会い別れる街の杜という

逢坂のそばの葦比良という場所に―


上手く吹けているだろうか。

横にすべらす指を、丁寧に吹き、出にくい音を必死に出して

その音を、山に響かせる。

天と地の間を縦横無尽にめぐる音を、健は無心になって吹いていた。


**************



あたりが急に真っ暗になった。

昼なのに、夜のように暗い。肌が寒い。

なにか音がする。


光が射し込んでくるかのような、その音は何重になった音を響かせていく。


ひとつ聞こえたかと思うと今度は龍笛に合わせた音が聞こえてくる。

不安定なその音色は危なっかしく、けれど必死にその調べを響かせる。

主旋律だった。


続けて鞨鼓と、和太鼓が加わってくる。


目をあければ大橋の、中央の天台には五人の人がいた。

白い服に身を纏った彼等は、

それぞれの持つ楽器を奏でていく。


篳篥の不安定ででない音を、龍笛が補い、

かの二管の呼吸があうようにタイミングを笙が知らせてくれる。

躍動を、加える為に

鞨鼓が音を弾ませ、続いて和太鼓も調べにひろがりを与えていた。



五つの旋律が重なり合ってなにか曲を奏でていた。

久遠を思わせる響きに、静かに光が生まれていく。

わずかな小さな光が五人に生じていった。


対峙するように、大きい闇のうねりがその光を蝕もうと、

はたまたおかしな表現だが抱擁しようとしている風に思えた。


それを突き放すのは五つの光が一つとなって、

真っ直ぐに直線に伸びた天空への光がその闇を射抜いていた。


射抜いた後、螺旋となったそれは闇という闇を塗り替え

淡い輝きへと変えていく。


闇が晴れた。


ほっとして、思わず龍笛の音色を健は止める。

すると、すべての音が止んでしまい、ひとつだけ物音がした。


五人のうちの誰かが倒れた。

健が駆け寄ってみると、そこに倒れていたのは孔雀色の帯をしめた

女の人。


「梅さん…」呼んだ。


ゆっくりと身を起こすと、彼女は振り返る。

目が合いそうになった瞬間、誰かがその間に立っていた。


― ありがとう。音連れてくれて… ―


俯いて顔まで見えないが…少年だった。

灰青の着物を着ている。髪の長いそれを一つにくくっている。

帯には赤と青の紙が交互する風車がさしてあった。


「…………そ…」

―梅さんの足りない分、これで補えた。

 ……死なせたくなかったんだ。

でももうここまで…もうここまでで十分…。ありがとう…これで…―


健の言葉は遮られる。

彼の言葉は聞こえない。続きが何を言ったか聞こえなかった。

けれども、彼が顔をあげた瞬間―


フラッシュバックが視える…。


*******************


「梅さんっ!大丈夫ですか?!」

「……今そこに誰かいなかった?」

「いませんよ。なに言ってるんですか!」


梅は背後を見やります。

確かに、誰かいて、そこからずっと梅の音色を重なるように

もうひとつ龍笛の音色が聴こえたように思えました。

しかし、見渡しても誰もいません。


「……これでおしまいね…なんともお終いらしくないねぇ…」

紫乃は言って、ここから眺める、闇の晴れた街並みを見つめました。


「……さぁ、ちょっと休まないと」

「いいよ。大丈夫。佐吉ちゃん…お疲れ様」

心配そうな顔が、まだ晴れず、佐吉は梅を心配しました。


「……あんま過保護にするなよ。佐吉、お前は終わったんだから

 さっさと帰ってしごかれてこい」

「……はい」

「…ったく同じ名前でもここまで違うなら喜劇だなぁ」

「なんですか?いった誰と比べてるんです?」

遼はなんにも言わず、そっぽをむいてしまいます。


「………終幕ですか…」

松宵大河は銀色の髪をくしゃくしゃ、掻きながら呟いきました。


皆胸に去来する気持ちは達成感でありません。

ただ、虚しい残響がいつまでも木霊するように

在った、一番近しい気持ちでいえば悲しみでございました。


朔と呱々理が、迎え休みをねぎらう光景を

葦比良はつまらなさそうに眺めながら、再び奥の岩殿の中へと入って行きました。



翌日の早朝に、紫乃が出てゆきます。

言霊使いはみなばらばらに散ってゆき、遼は昼ごろに最後の出立となりました。

 

「遼さん…」

朔がひとつの報せを持って来ます。宛先は遼か、梅でした。

それは、あの座敷牢の息子を失った両親からの文でした。


―亡骸をひきとってほしい…今日中に―


一行だけの文字を伝えに遼は久世家にいる梅を訪ねに行きます。

「燕ちゃんやね」と目を伏せて、彼女はついてきました。


門につくと送り人と呼ばれる棺屋が待っておりました。

おそらく屋敷の者が手配したのでしょう。

先だって、二人は屋敷の使用人によって座敷牢へ案内されます。


暗く、蝋燭の光しかないその部屋に入りました。


血の汚れがなくなっております。

臭いもまったく消えうせていました。

掃除をしたのでしょうか、と問えば使用人は首を振ります。

ここは燃やすはずだった、と梅はききました。


「大祓いの…だな…。よくわからんけど、あれは穢れというものを

 ひとつ残らず雪ぎとる。ここまでするとは………梅?!」


梅は思わず、遼の胸に抱きついていました。

人目も憚らず、梅が何度も首を振りながらなにか必死にこらえていました。

遼は困惑しながらも彼女の見た光景を追います。


白い生地に蝶が飛んだ着物姿の女の子が倒れていました。

広がる金髪は長く、その顔は穏やかな眠りの中にあるような死に顔でした。


その女の子の手を握る手があります。

灰青の着物をから伸びた手。黒髪は長いので赤紐で縛っていました。

うつ伏せになった姿ですが横顔が見えました。

亡き子の方を見つめ、微笑み眠るように、口に笑みが結ばれています。


なにが起こったのか、彼になにをもたらしたのか遼にはわかりません。

ですが梅の手をひき、座敷牢の中に入って、その傍らに屈みます。


「よぉ聡………お前行きたかった場所って…ここか?」


聞けども死は返す言葉はありません。

梅は手を伸ばし、そっとその黒髪を撫でました。


これでよかったのか、なにが救われて何が救えなかったのか

梅にはなんの答えも見出せません。

けれど、せめて安らかに。

手を瞼の上に乗せ、そっと聡介の瞳を閉ざしました。


***********


声に我に返ると、目の前の視えたものはなくなって

代わりにあったのは山一望できる天台…いえ、山だった。


眼下には山が広がっており、その真っ只中へと健は落ちようとしてる。

その腰からしっかり抱きしめ、とった細い腕が

引き戻す。


尻もちをつき、我身に降りかかった様々な事に脳が一時停止。

その細腕が腰に抱きついており、背にはもたれかかる感触を感じていた。

動悸がすごくする。

己のあたたかさだけが、生きていることを伝えていた。


『…振り返らずそのまま聴いて。あたしは少しだけあなたに伝えたい』

燕は言います。その言葉に健は耳を黙って傾けていました。


『音、連れて来てくれてありがとう。

 ……あなたに話すことは幻でもなんでもない…教えてあげる』

「………」

『……たくさんの禍の中心に在って自我があっても、それが保っていれる間はわずか。

 だからね。かごめは必要だったの。

 伝えたかったって……遼さんや梅さん、佐吉さんや大河さんに紫乃さん。

 みんなが助けてくれたよ。…ありがとう…って』

「………」

『一つだけ…あたしが不思議に思ったこと…答えられる?』

「……………自信、半分しかないけど…」


健は話す。これとしかない言葉だけを、とって。


「俺は他にもたくさんの話を読んで不思議に思うことが……あった。

 それはくくり言のお話ばっかりで、爺ちゃんに訊いても答えを教えてくれなかったんだ。

 でもわかったよ。複数の視点と、その本人が体験したように語られる話の正体」


言葉くくり。或る告白。近江の鬼。虫愛ずる姫。更級者。鬼牙島。

あわぶくたった。ゆびきりげんまん。かごめかごめ。


そのすべてが語り手であり、くくった言霊使いの視点を離れていたこと。


「……生きたってことじゃないのか…」


彼等がくくったのが災いであるとするならば、それ以外はくくられていないのか。

言葉は、心を伝える想いを伝える手段。

それが絡めてくくりとるものも、伝えるものもまた、想い一つ。


其処に在った人の想い。

綴る人の想い。読む人が、その物語におくる想い。

重ね連なったから…変わったのではないのだろうか。

まるで生き物のように、ひとつの意思をもったもののように。


「……言葉が生きてた…それくらいしか俺には言う言葉が見つからない」

上等な言葉を、うまい言い回しを、探しても

健には見つからなかったし、探しだせなかった。


『ふふっ…』『………意地悪しちゃだめだよ』


二人の声が聞こえる。


『そのままで……一つだけ、僕以外知り得ないことを君に』

「………じゃあ、答えてくれ…」


なにを思って最後を燕のもとに来たのか。

遼に告げていた「生きたい」の意味を。

連なる疑問に、表す言葉を持てずに言えないでいると、声は言った。


『……本当に笑っていたかった。……父が言っていたように幸せである為に』


声の主の手が、そっと目にかぶさる。

その手の感触は冷たくなっている。


『だったら…どうしたって……彼女の傍に行ってたんだ。

 …………彼女のそばでは…笑っていられたから………』


海辺で会った時を。

助け出したその徒歩の時間を。

葦比良の杜で、僅かに過ごした日々の時間を。

喪って―なにもかも真っ黒に塗りつぶされたけれども、

遼の声が、梅の声が…父の声が取り戻してくれたのは。

そんな生きる時間の中にみた小さな刹那。


『答えとしては…下手な言い方だね。でも僕も、彼女も…気に入ったよ』


目隠しがはずされ、腰にある手も離される。

咄嗟に振り向くと、そこには二人が立っていた。


燕は、手を振る。

聡介は手を振ってくれなかった。

ただ二人は……整った笑みではない、口を開けて、目を細めて笑っていた。


楽しそうに…健には見えた。


『さようなら』『ありがとう』

重なり合った声を最後に、健は意識が暗転した。


**********


「私」が聞いた話。


彼はその後、杜の住職に拾われ本殿に手目が覚めたそうな。

事情を聴けば立ち入り禁止の大橋の真ん中で倒れているところを見かけたらしい。

起きた健は住職に、「呱々理」のことを尋ねるが

住職は「そんなものは知らん」と言いました。

狐につままれたような顔をする健に、住職は言いました。


「狸にでもつままれましたか」と。


帰る途の準備をする際、松宵鈴鹿にことのお礼を申しますと

彼女は気の毒そうに健を見て言うのです。

「二人分のお礼はいりません…。もともとあなた一人しかいませんでした」

またもや眉間に皺を寄せていると、鈴鹿も住職と同じ文句を言うのです。

それを言うならば「狐では」と言えば彼女は苦笑がちに言いました。

「ここらでは昔、化け狸がでたらしいのでその名残でしょう」


健は、騙されたような心地で今この構内にいます。


「あれまぁ…若い方」

「……駅員さん………」


威勢のいい調子で声をかけてきた「私」は、この町の感想を尋ねます。

すると健は一言。


「……俺の体験したこと…全部…本当ですよね」

奇妙な感想に「私」は首を傾げました。


********


汽笛がなります。

「私」は少年を見送りに来ました。

すこしとぼけた感じで彼に小首を傾げてやると、彼は不安そうに溜め息をつくのです。


列車に乗り込んだ彼の、その窓の元まで行きました。

そして手を振るついでに口を大きく動かして「私」は伝えます。


「最後に…最後を…読んでごらん!」

「はいっ?!」

「言葉は生きてるんだろ?少年…」

「えっ…………!」


列車は動き出し、彼の驚愕な表情を連れて前へ前へと走り出してゆきます。

「私」はそのいい表情に別れを思いっきり惜しんで手を振ります。


構内に、残った「私」は一人事を言いました。


「いつかの恩返しになったかな」


同僚が「私」を呼びます。「はいはーい」と答えて歩いてゆきます。

なにを青春してるんだ、と同僚が言うのでふざけて「私」は数千回使った常套文句を言いました。


「そんな若くないですよ。もう100歳以上は越えたんですがね」

「ばか、どこをどーみても若いだろうが」


この馴れた突っ込みに「私」は笑いました。



耳を澄ますと駅のそとから聞こえてきます。

蒸気車や列車がとおるようになってこの国には、道を渡るときに「待つ」

という文化が生まれました。


その待つために色硝子のガス灯が使われます。

目が見えない人や、そそっかしい子供は代わりにこの唄を耳にします。


音はただ曲として流れますが、子らは時折

口ずさみました。


「とーりゃんせとおりゃんせ……」


母の手をひかれ、今日もちいさな女の子が口ずさんでいました。


********************************


これにて物語は綴じます。


読み手のあなたにとってこれが、幻想とするか実際に在りえたことかは

あなたにまかせましょう。


どちらが正しいか、否かは言えるものではありません。

言葉は、その角度によってその意味と、意図を絶えず変えて見えるものですから。


あなたのいる国にももしかしたら伝わっているかもしれません。

たとえ唄しか残っておらずとも、

唄もその断片しか伝わっておらずとも…あなたのそばにのこっていれば


**にとってせめてもの幸いと安らぎです。


                     記し人(―かすれて今はもう読めない―)


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