森で林業②
そんなこんなで一悶着あったものの、ジンの無事が確認された事で、一同の間に安心が訪れた。
そうして、今度こそ全員で魔獣の巣窟である危険な森に林業の作業を挑みに行く事となる。
「良し!全員、準備はいいな!今度こそ、全員で
森に林業を挑みに行くぞ!」女王が現場を一喝する。「あの〜、今度こそって、元はと言えば、全部女王様のせいなんじゃ…。」ソフィアが後頭部に汗を掻きながら女王を見つめる。「ん?何か言ったか?」女王がソフィアにギロリと視線を送り込む。「あっ、いえ、あの、何でもありません…。」ソフィアが怖気づく。「まあでも、こんな理不尽な女王様でも、一応、女王としてはこの国の事を一生懸命考えてくれている女王何だよな。」ソウルが何やら達観した模様で、女王を見やる。そんなやり取りを得て、結局全員であの魔獣の巣食う薄暗い森の中へと向かう事となる。
―そんなに長い時間も立たない内に、一同は全員薄暗い森の中に居た。
「まあでも、今度はダックもヒート王子も居るし、これなら安全だね!」ソウルが子供らしいはにかんだ笑顔を見せた。女王が咳き込み、場をリードする。「では、お喋りして居る暇は無いぞ。早速、全員で林業開始だ。森の改築をする。」
こうして、森の林業がスタートした。
自動伐採ロボットで木々を切り倒したり、搬出ロボットで木々や資材を運搬したり、ドローンによる測量等で森の面積や体積等を測ったり、所謂
ロボットを活用したスマート林業である。日本や
海外でも行われている取り組みではあるが、ジンとヒカルと言ったロボットエンジニア達が居る為、ここ異世界の森林でも応用出来る。
ロボット達による活躍により、見る見る内に
林業作業が進んで行く。ソフィアがその光景を
見て感動して居た。「やっぱり、日本のロボットは凄いですね。ノヴァ王国に無いスマート林業によって、従来では考えられないぐらいスピーディに作業が捗っています。」ジンが口を挟む。
「よォ、どうせなら、日本に無いノヴァ王国の
魔法も組み合わせて林業したらどうだ?スマート林業+魔法で。」間髪入れる事無く、女王が返答する。「無論、そのつもりだ。」女王は自分の手を大木にかざすと、いつもと同じ様に手が青白く光り出し、空間が歪む。歪んだ時空の穴に大木等の木々が吸い込まれて行く。ヒート王子も同じ様に剣を振るい、剣から飛び出たトルネードや緑色の衝撃波によって、木々を切り倒したり、傾かせたり、薙ぎ倒したりして行く。ヒカルがあくびしながら、「まあ便利なこったなあ。異世界の魔法ってのは。」と吐き捨てる。ソウルが「そんなのお互い様だよ。便利なモノだよ。日本のロボットってのはさ。」と返す言葉を口にした。そうして
日本のロボットと異世界の魔法を組み合わせて
スマート+魔法な林業が進む。ドローンによる森林の面積や体積を測る作業に関しては、女王とシドーと言った頭脳派コンビと、ジンやヒカルと言ったロボットエンジニア同士の計4人で行う。
時折、魔獣が出現した時にはヒート王子の剣技やダックの体術によって撃退。さらに、ダックのパンチやキックによって大木や木々を倒して行き、こうした全員の尽力によって僅か半日足らずで
森の林業を終えてしまった。
「随分早くに作業が終わったな…。時間も余ってしまったし、どうする?」女王が一同に問いかける。ヒカルが反応する。「いつも、作業ばっかりで、いい加減疲れて来たぜ。偶にはもうちょっとこう、異世界の観光とか散策とかして見てーな。」その文句と欲求を聞いたソウルが「だったらさ、僕の牧場においでよ。一緒に牛と戯れ様よ!」とヒカルを誘う。ジンが「お前らって、ホントに仲が良いよな。何か、微笑ましい、いい絵だぜ。」と茶々を入れた。女王が全員に聴こえる様に、大声で「良し!分かった!これより三日間休憩を取る!一同各自離散し、好きな場所へ観光へ行くなり、手土産を買うなり、勝手にしろ!ただし、3日後には必ず全員城へ戻って来い!いいな!」と叫んだ。「良し!分かった。じゃあソウル、それからシドー、お前らと俺の3人で牧場と小屋に行こうぜ。皆で牛に戯れようぜ。」ヒカルがシドーとソウルにそう言い放つ。「うん!そうだね!有難うヒカルおじさん!」ソウルが無邪気な笑顔を作る。「いや、だから、俺はおじさんじゃねーって!何度も言わせんな!こっちは傷つくんだよ!」ヒカルが言い返した。その様な微笑ましいやり取りを見て、シドーが微笑する。「ほっほっほ。それでは、全員で早速牧場へ向かうとしましょうか。」シドーとソウルとヒカルの三人は足並みを揃えて牧場へ歩いて行った。ソフィアがジンを振り返り言った。「さて、私達はどうしましょうか。ジンさん。」ジンはしばらく考え込んで、「いや、別に、お前の好きな場所へ観光でいいぞ。」と告げる。だが、ソフィアはそれを一蹴した。「そう言うの無しです。」ジンはやれやれと頭を掻くと、「お前ら女子って生き物は、異世界だろうと日本だろうと、場所関係無く、ホント何処でもそんな調子だよな。」と溜息混じりに答える。「分かった分かった。しょうがねえな。んじゃまあ、取り敢えずショッピングにでも行くか。お前ら女子ってそう言うの好きだろ。俺ら男子はどうでも良いってか、寧ろそう言うの面倒臭えぐらいだが。けど今、俺はこの世界の通貨は無一文だから、働かねえとな。」ジンの続け様の台詞を聞いた後、ソフィアは「ジンさん。女心分かっているんですね。…いや、分かろうとして居る。と言うべきでしょうか。」と独り言の様に呟く。
しかし、その独り言はジンの耳に届く。「分かろうとしている。って、何だよ。その言い方。」ジンは変な言い方をするなと感じながら、そう発した。そのやり取りを経た後、二人は街へ繰り出した。「さーて、女王様!僕達も早速街へ出掛けるッス〜!と言っても、僕は女王となら、別に場所は何処でもいいッス〜!」明るい調子で女王に話し掛けているのは、ダックである。話しながら、女王に抱き着こうとする。「お前、私と釣り合ってないし、キモいんだよ。」冷淡な言葉を浴びせ、女王がカウンターキックをダックに直撃させる。「ぷげえっ!」鼻血を出しながらダックは地面をゴロゴロと転がる。だが、続ける様に「女王のハイキック!凄げー気持ち良いッスー!」と目をハートマークにさせながら叫ぶ。女王がいつもの如くドン引きする。そんなやり取りの後、何だかんだで二人は結局一緒に王国へ出て行った。
一部始終を見ていた、最後に一人残ったヒート王子は、「さて、僕もそろそろ、街へ向かうとしようかな。王国の様子を見て回ろう。」と一人呟くと、森を抜ける為、歩いて行った。
―場面変わり、牧場。ここには牛達が沢山居た。
そして、また同時に、シドー、ソウル、ヒカルの三人も来ていた。「牛…いっぱい居るね。」ソウルが発する。「ああ…そりゃまそうだろう。牧場何だからな。」ヒカルがそれを受け取り当然の様に答える。シドーが二人を導く。「取り敢えずワシ共の小屋においでなさいませんか?ヒカル殿。先ずはそこでゆっくりミルクでもすすりましょうぞ。」しかし、ソウルは反発する様に「え〜せっかくだから、先ずは、牧場で牛と触れ合おうよ。牛の乳からミルク絞ろうよ!」と二人に言い切る。ヒカルも、「まあ、せっかくだから皆で牛の乳からミルク絞り出そうぜ。そうやって自分達で絞り出したミルクの方が美味いだろ。」とソウルに賛成する。かくして、三人による牛の乳からミルク絞り出しがスタートするのだった。
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