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蒼き竜の継承者  作者: みなと劉


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第36話 衝突する黒竜群の群れ

 翌朝、帝都はまだ昨夜の戦いの余韻を残しながら、緊張の中で新たな一日を迎えていた。宰相府の作戦会議室には、マクシミリアン皇帝をはじめ、アルト・ウィンドブレイカーとセレス・サファイアウィング、グスタフ元帥、ゴールデンクロウ、アイテール、そしてアリシア、リカルド、騎士団長マルクスらが一堂に会していた。

「昨夜の黒竜群は、単なる先遣隊に過ぎなかったようだ」皇帝が深刻な表情で言う。「これ以上、帝都を犠牲にはできぬ。問題の根源を断つため、忘れられた峡谷へ向かおう」

 アルトは頷きながら地図を指さす。峡谷はバルバロッサ帝国最南端、氷河と灼熱の境界に位置し、古代竜の封印遺跡が複数点在するという。「『深淵の門』と呼ばれる魔力の渦が確認されています。封印が弱まっている今、ここを封じなければ第2の侵攻が起きるでしょう」

 グスタフ元帥が静かに剣の柄に手をかけた。「私も同行します。かつての過ちを償い、王国を守るために」

 セレスがアルトの隣で微笑む。「二人なら、必ず乗り越えられるわ」

 ゴールデンクロウが重厚な声で告げる。「蒼竜と金竜、天空竜の三大竜と継承者たちの力が結集すれば、どんな闇も裂けるはずだ」

──こうして、小隊は編成された。皇帝マクシミリアン、アルト、セレス、グスタフ元帥、アリシア、リカルド、騎士団長マルクス以下精鋭騎士十数名。空にはゴールデンクロウとアイテールが護衛飛行を務める。朝霧の中、隊列は帝都の大門をくぐり、南へと進路を取った。

 昼過ぎ、隊は山あいの古い街道に差し掛かる。鋭い岩峰が空を裂き、足元には溶岩流の跡が黒く固まっている。アリシアが案内の手引き灯を掲げながら進む。「この先が忘れられた峡谷の入り口です。地形が険しい上、時折魔獣の気配もあるのでご注意を」

 アルトとセレスは並んで歩み、互いの表情を確かめるように見交わした。先刻、境界霧の向こうから薄紅の光が瞬いたのを二人とも感じていた。

「ただの風景じゃない……何かが私たちを待ち構えている気がする」セレスが低く呟く。

「行こう。怖がっている暇はない」アルトが手を差し出すと、セレスはその手をそっと取った。

 そして夕刻──崖の縁に到着する。眼下には深く抉られた峡谷が刻まれ、その底を黒い霧が翻弄している。霧の中心には、淡い紫と緋色の渦が螺旋を描いて光る──間違いなく「深淵の門」だ。

 マルクスが槍を構え、騎士たちを整列させる。「ここからは迅速に行動します。まずは魔獣の見張りを排除し、封印遺跡へアクセスを確保せよ」

 リカルドが祭壇の遺跡を指し示す。「遺跡が崩れかけています。封印石板を再起動させるには、三大竜の龍気と継承者の心を合わせる必要があるはずです」

 ゴールデンクロウが低く咆哮し、渦の周囲の闇を押し返すように龍気を放った。アイテールも翼を広げ、上空から冷たい風を吹き下ろす。闇の霧が一時後退し、遺跡の輪郭が浮かび上がる。

 アルトは祭壇の前に進み出た。胸の紋章が青く脈打つ。セレスは彼の隣に立ち、手を重ねる。グスタフ元帥は一直線に刃を握りしめ、死角を警戒する。

「──行くぞ!」アルトの掛け声と同時に、ゴールデンクロウ、アイテール、セレスの蒼光、そしてアルトの魂の叫びが一つに結びつく。その光が祭壇を照らし、石板の亀裂を伝って渦へと向かう。

 激しい閃光が峡谷を満たし、深淵の門は大きく揺らいだ。闇の轟音が消え、渦は次第に静まり返る。

「封印、再確立──成功だ!」リカルドが喜びを隠せず、古びた文書を振るう。

 遺跡が安定し、黒い霧は一瞬で消滅。峡谷には静寂が戻った。だが──

 背後から、不吉な気配が迫る。影が瞬き、岩壁の亀裂から小さな異形の生物が這い出してきた。それは炎と氷が混ざり合った瘴気に身を包み、異様な牙を剥いていた。

 セレスが剣を抜き、アルトの方を見る。「まだ終わっていないわ!」

「来るぞ、構えてくれ!」アルトも剣を構え、渦潮の余韻を背に二人は戦いの構えを取った。

 峡谷には再び、蒼と金の光が乱反射する。継承者たちに課せられた“真の試練”は、まだその序章に過ぎない──。次なる闇との死闘が、彼らを待ち受けていた。

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