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蒼き竜の継承者  作者: みなと劉


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第21話:影の脅威

調和の成功例が増える一方で、アルトは最近不穏な気配を感じていた。

 各地での竜族との協力は順調に進んでいるが、時折、説明のつかない妨害工作が発生するのだ。


「また破壊工作ですか?」


 エミリーが深刻な表情で報告書を読み上げる。


「ウィンドミル村の風車が何者かによって破壊されました。風竜との協力協定が結ばれる予定だった施設です」


「三件目ですね」


 アルトが眉をひそめる。

 先週は水竜との治水工事現場が荒らされ、今週は火竜との協力で始まった鍛冶場が襲撃された。

 どれも人間と竜族の協力を妨害する意図が明らかだった。


『何者かが意図的に調和を妨害している』


 セレスが不安そうに羽を震わせる。


『でも、一体誰が?』


 その時、ガーディアン・マグナスが事務局に入ってきた。


『主君、重要な報告があります』


「どうしたんですか?」


『昨夜、王都の周辺で不審な魔力の反応を感知しました。それも、人間でも竜族でもない、異質な力です』


「異質な力?」


 マーカス院長も興味を示す。


「どのような特徴があった?」


『暗黒魔法の気配です。それも、古代の禁忌魔法に近い』


 アルトは嫌な予感がした。

 忘却の霧は完全に消えたはずだが、まだ何か残っているのだろうか。


「調査してみましょう」


 その夜、アルト、セレス、ガーディアン・マグナス、そしてゼファーは王都の外れを巡回していた。


『この辺りです』


 ガーディアンが立ち止まる。


『暗黒の気配が特に強い』


 確かに、この一帯だけ空気が重く、不気味な静寂に包まれている。


『アルト、あそこを見て』


 セレスが廃墟の建物を指す。

 古い塔の周囲に、黒いローブを着た人影が数人集まっていた。


「何をしているんでしょう?」


 近づいて様子を窺うと、彼らは何らかの儀式を行っているようだった。

 中央の魔法陣からは暗い光が立ち上り、不吉な呪文が唱えられている。


『「人間と竜族の絆を断て」「調和を破綻に導け」「古き秩序を取り戻せ」』


 呪文の内容を聞いて、アルトは確信した。

 これが一連の妨害工作の黒幕だ。


「止めなければ」


 しかし、その時、儀式を率いていた人物がこちらを振り向いた。

 フードの下から現れたのは、青白い顔と赤く光る瞳を持つ不気味な男だった。


『調和者...ついに現れたな』


 男の声は冷たく、憎悪に満ちている。


『我の名はダーククロウ。古き純粋の守護者だ』


「古き純粋?」


『そうだ。人間は人間、竜は竜。それぞれが別々に存在するのが自然の摂理』


 ダーククロウが杖を掲げると、周囲の部下たちも武器を構えた。


『貴様の調和などという愚かな理想は、世界を混乱に導くだけだ』


『あなたが破壊工作を?』


 セレスが怒りを込めて問いただす。


『当然だ。人間と竜族が協力すれば、どちらの種族も堕落する』


「それは間違っています」


 アルトが一歩前に出る。


「協力することで、どちらも成長し、より良い世界を作れるんです」


『戯言を!』


 ダーククロウが暗黒魔法を放つ。

 黒い稲妻がアルトに向かって飛んでくるが、ガーディアンの盾で防がれる。


『主君、こやつらは手強いです』


『私たちも戦うわ』


 セレスとゼファーが空中で魔法を準備する。

 激しい戦闘が始まった。

 ダーククロウの部下たちは皆、暗黒魔法の使い手で、通常の魔法とは異なる不気味な力を操る。

 しかし、アルトたちの連携は完璧だった。

 竜語りと竜族、そして古代騎士の絆が生み出す力は、暗黒魔法を上回った。


『くそ...今回は退くが、これで終わりではないぞ』


 ダーククロウが煙玉を投げて姿を消す。


『調和など幻想に過ぎん。必ずや現実を思い知らせてやる』


 敵が去った後、アルトたちは魔法陣を調べた。


「古代の分離呪文ですね」


 マーカス院長が後から到着して分析する。


「人間と竜族の絆を強制的に断つ魔法です」


『危険な魔法ね』


「でも、僕たちの絆があれば大丈夫です」


 アルトがセレスを見つめる。


『もちろんよ。どんな魔法でも、私たちの絆は壊せない』


 しかし、ダーククロウの脅威は去っていない。

 むしろ、これから本格的な妨害が始まるのかもしれない。


「警備を強化しましょう」


「各地の協力現場にも警告を出します」


 新たな敵の出現により、調和の道のりはより困難になった。

 しかし、アルトの決意は揺らがない。


「必ず真の調和を実現します」


『私たちも一緒よ』


 セレス、ゼファー、ガーディアン、そして仲間たちが頷く。

 影の脅威に立ち向かいながら、調和の使者としての真の試練が始まろうとしていた。


第21話 完

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