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room  作者: ノセヨウク
1/1

room

彼女の薬指にリングを通すつもりだった。

『さようなら』彼女の細い声が耳に響く。

大きなアイスクリームディッシャーで心を抉られるような感覚があった。

何とかして、この場を取り繕わねばと思った。しかし、そんなことは無駄だということもわかっていた。

凍りついた空気と形容するに相応しい

その中で2人は向き合っていた。

彼女は勢いよく立ち上がり、

沈黙を裂いて部屋を出て行った。

事の発端は、僕のある行為によるものだ。

彼女とは10年以上の付き合いだった。

ごめん。その一言を言い出せなかった。

呼び止めるべきだった。

だが、2LDKのリビングに項垂れたまま、

僕は動けなかった。全て僕が悪い。

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