表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

異世界


 犬が前足で押すと、扉は開いた。


「今度、またゆっくり話そうね」

 少女はにこりと微笑んだ。

 その顔を見て、シームァにやはりかわいいと思った。


 その後ろに、アンドロイドが迫っていた。


「さあ、早く」

「え?」

 犬――わんわんちが、シームァのズボンの咥え引っ張っていた。


 展開が急すぎる。

 戸惑うシームァ。


 少女はアンドロイドに対峙していた。

 あんなアンドロイド相手にこの少女を一人にするのは気が引けた。

 だがシームァの思いは知ってか知らずか、わんわんちはシームァを引っ張っている。


「必ず、また会おうね」

 シームァはそんなこと言った。

 今生の別れになる、なんてことにはなりたくない。


 その声は少女に届いたかどうか。

 わんわんちに引っ張られ、シームァはゲートの向こうへと足を踏み入れた。




     *


 扉の向こうは光のない空間。だけど真っ暗というわけではない。

 足に触れるものがなく、それでいて歩いている実感はある。


 わんわんちの後についてシームァは歩いた。


 そして、扉が見えた。

 扉の向こうから自分を呼ぶ声が聞こえて来た。


 わんわんちは振り返り、シームァを見た。

「もう大丈夫。あなたはあの女の子の所に戻ってあげて」


 そう言うと、わんわんちは元来た道をダッシュで引き返して行った。


 シームァは目の前の扉を開けた。

 



     * * *


 扉を開けると、そこにジーラとシムゥンがいた。


「シームァ!」

 シムゥンが泣きそうな顔で抱き着いてきた。

「なんでぬれてるの?」


 ずぶ濡れの少女とハグしたから。

 それを思い出して、恥ずかしくなるシームァだった。

 その少女とキスまでしてしまった。



「ちょっとね……」

「シームァ、異世界に行ったのか?」


 ジーラは信じられない思いだった。

 シームァには魔力はないと思っていた。が、シムゥンの実の姉だけある。本当は強い魔力を有しているのかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ