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【第三話】島根で武器って言ったらこれでしょ・その1

 混乱した。


 いや、ここに来てからずっと混乱してるんだけどね。


 島根県が俺の力みたいになってるのがまず意味不明だし、異世界に何故か中海があるし、何故か大根島があるし、手から大量の塩水を吹き出す能力に目覚めるし、超絶美少女の口から超絶馴染み深い方言が飛び出てくるし。




「うぅぅ・・・・ひっく・・・・すん・・すん・・・・」




 ・・・・・急に泣き出しちゃうし。


 あー、あれだろうか。この服はすごくお気に入りのもので、住人を集めてファッションショーをしていたら水ぶっかけられて台無しにされて、客も逃げ出すわ服もだめになるわでもう散々!みたいな感じだろうか。


 あるいは俺の顔があまりにブサイクなのを気に病んで、世を哀れんで涙しているのだろうか。ほら、この子に限らず異世界の人って妙に目鼻立ち整ってる人多いイメージあるし。ソースはラノベ。


 他にも何通りか想像してみるけど・・・だめだな。脳内で大喜利大会が始まってるわ。


 とりあえず少女はしばらく泣き止みそうにない。先程から見るに見かねて背中を擦ったり、声をかけたり、体を冷やしてはいけないから自分が着ていた上着をかけたりしてみたけど・・・。


 あ。もしかしてそれが泣き止まない原因?俺またなんかやっちゃいましたかね?

 ・・・・案外否定できないのがつらいところだ。四捨五入したら三十路。おっさんになったなぁ俺も。



 ・・・まあしばらくそっとしておくしかないだろう。俺は丘の方、少女の後方に目を向けた。丘の上からはわからなかったが、どうやら洞があったらしい。祀られている女神像の輪郭には見覚えがある。


 この女神像のモデル、俺が異世界転移する直前まで一緒にいた女神・・・だよな?

 ゲーム脳的に考えれば、ここに転移してきたのはこの女神像が一種の受信装置的な役割を果たしているからなんだろうか。うーん。


 まあ今はとりあえず、状況整理だ。


 まず、やはりというか、ここは異世界で間違いないらしい。


 見たこともない植物や鳥。

 聞いたこともない不思議言語。

 遠くの空をよく見ると何か石の柱のようなものが浮かんでいる。何だろうねアレ。

 

 ここに至るまで大きく移動していないにもかかわらず、手に入れた情報だけでも、もうすでにここが異世界であるということは十分に理解させられた。


 理解させられたのだが・・・



「地元感も一緒に感じたせいで、ファンタジーとノスタルジーが洪水を起こしてやがる・・・複雑な心境だ」



 ちなみにノスタルジーは現在進行系で続いている。


 俺の足元に転がっている錆びた棒。

 アレだろ。俺知ってるぞ。

 

 荒神谷とかでよく出土して、俺が小学生の時にできた大社の資料館にもたくさん展示されてるアレ。




「銅剣だよな」






<<ピンポーン>>





「ほらな?」



 銅剣。大昔の遺跡跡地とかによく埋まってるやつだ。弥生だっけ?古墳だっけ?さすがに小学生の時の記憶はおぼろげだなぁ。戦いや祈祷に使われてたとかなんとか。たしかそんなんだった気がする。

 さてさて、次はどんな能力名だろうね。召喚、加護、と来たわけだから・・・






「読めたぜ!ズバリ、銅剣精製・・・とかだろ――――――」



<<石飛太一は【パルマトーラ】にて【錆びた銅剣】を見つけました。


固有適正:【島根県】の効果により【銅剣】を手に入れました。>>








「まさかの無修正!!!!!!!!」







 思わず叫んでしまった。何故だ!?

 島根ゆかりのものを認識すると能力が獲得できるシステムじゃなかったっけ!?

 何かまだ把握できていないシステムが有るのかこの力・・・。



「いや、でもさっきはボロボロだったけど、何かきれいになってるな」



 ただの錆びた棒にしか見えなかったそれは、脳内アナウンスとともに光沢を放つ銀色の剣になっていた。

 そういえば銅剣ってできたての頃は銅って感じよりも銀に近い色だった的な話を、テレビだったか、資料館の再現モデルだったかで見た気がする。

 つまり、この銅剣はボロボロな状態から新品に戻ったってわけか。


 物に能力が働くと能力は得ない代わりに新品に戻る・・・・とかかな?

 何となくしっくりこないけから、これは検証がいるやつだ。


 とりあえずせっかく手に入れた異世界初の地元系アイテム(?)だから、持っていくことにしよう。このあたり、見るからにファンタジー世界だし、護身用の武器はあるに越したことはない。一応腕に覚えはあるんですよ。スポーツ少年だったんで。剣道歴トータル9年ですから。


 ・・・そういえば。思い返してみると、少女の出雲弁を聞いたときは、アナウンスすらなかった。

 方言こそノスタルジーを感じるところだと思うけど、あれかな。普段出ないだけで出雲弁はすでに知ってるから、能力を得ることはなかった、とかだろうか。



「あ、あの・・・・」


「!おっと。もう落ち着いたかい?」


「は、はい」


「いやいやこっちも悪かったね。急に水かけられてびっくりしたでしょ」


 また泣けせてしまったら事なので、極力優しい口調で話しかける。


「あ、えっと・・・・・そ、そぎゃんことはないですけん・・・。はー、あんじてもらってめんたし」


 うっは。すげぇ!!今どき爺さん婆さんの会話以外では出てこんくらいきっつい出雲弁だ。そもそも出雲弁かどうかすら俺にもわからん、意味は分かるけどってレベルだ。

 というかこの見た目で出雲弁はギャップがすごすぎる。かわいいかわいくないの問題以前に違和感がすごい。


「ああ・・・、その落ち着いたようで何より。色々聞きたいことはあるんだけどさ、とりあえず、その出雲弁、なんとかならないかな?」


「ん・・・・あ・・・・あ!!」


 何やら一瞬声を上げた少女はおずおずと語りだした。


「あ、大丈夫になったみたいです・・・!これが【日本語】・・・・・わ、私、た、、、立て続けに・・・・魔法を・・・ひっく・・・・うぇえええ」


「え、ちょ、また泣くの!?いや、良いんだよ泣きたいだけ泣いたって!涙の数だけ強くなれるから!あと、出雲弁も日本語だからね!何だったらまだマイルドな方だから!!!」


 また泣き出してしまった少女を前にあたふたすること数分。

 ようやく落ち着いてくれたらしい。


「・・・お騒がせしてごめんなさい」


「いやいや、気にしなくていいよ。あー改めて、色々聞きたいんだけど、まずは自己紹介しようか。俺は石飛太一。出身は日本・・・ここの人にとっては異世界なのかな?そこの島根県。お嬢ちゃんは?」


「あ、アトリです。アトリ=ハーヴェント」


「じゃあアトリちゃん!改めてよろしく!」


 こうして俺は第一村人もとい、異世界の少女、アトリ=ハーヴェントに出会ったのだった。


本日はここまでです!

こんな感じで連載していければと!

面白くなりそうだなぁと思ったら感想とか評価とかいいんで、島根に遊びに来てください!!!おすすめは津和野だぞ!!!稲荷神社の鳥居は見てるだけで圧巻だ!!

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