プロローグ
石飛太一25歳。
俺は死んだ拍子に異世界に飛ばされた。
異世界転移である。
そういう系のラノベやアニメを日ごろ嗜んでいるなら分かるだろう。
だいたいそんな感じだ。
異世界転移の待機中(?)に女神は言った。
「あなたにとって最も馴染みのある事を、あなたの力として授けます」と。
馴染み………………………………
スマホかな?
PCかな?
ガキの頃やってた剣道かな?
いろいろ考えてる間に、脳内に言葉が響き、景色が流転した―――
『固有適正:【島根県】を獲得しました』
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『島根県』・・・
それは中国地方の山陰にひっそりと横たわる都道府県のひとつである。
それは観光名所に恵まれながらも、他県民から「砂丘があるとこでしょ?」と認識されている都道府県のひとつである。
それは「島根にパソコンがあるわけ無いだろ!?」という凄まじい風評被害があることでお馴染みの都道府県のひとつである。
多くの日本国民の記憶の片隅におぼろげに存在しつつも、群馬のようにネタにされることはない。
雨が多く、風が吹きすさび、雪にも夏の暑さにも定評がある。
鳥取県の左側。山口県の右隣。
――――それが島根である。
――――生まれも育ちも、三代に渡って馴染みがある、俺の地元だ。