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34話 ついに対面します


 《グラバー》からの手紙が届いてからというものの、特に変わったことはなく、バフェットも屋敷の仕事に専念しているようでした。しかし、事件というものは、突然起こるものです。その日、私とバフェットは、町に買い物に行っていました。


「さてと……これで全部ですね。バフェット何をしているんですか? おいていきますよ!」


私がそう言って、後ろを振り向くと、購入した荷物に苦しむバフェットの姿がありました。彼は、必死になっていいます。


「マリー……手伝ってよ!!」


「何言ってるんですか、これも剣術の訓練の一環ですよ。だいたい、非力すぎるんですよあなたは、そこの馬車の荷台に運ぶだけでしょう?」


普段、完璧に仕事をこなしている彼ですが、本当に力仕事はだめだめです。でも、そんな一面も人間らしくて、不快には思いませんでした。馬車にすべての荷物を積み込むと彼は言いました。


「マリー、まだ少し時間があるね。せっかくだから、ちょっとお茶しようよ。僕がおごるからさ」


「どうしたんですか? ……まぁ、おごってくれるなら付き合いますが……。」


私は、そのまま近くのカフェに連れていかれるのでした。そのカフェの外の席(テラス席というやつでしょうか)で、私たちはコーヒーを飲みながら一息つきました。私は、バフェットに質問します。


「で、どうしてコーヒーをおごってくれたんですか?」


「ほら、最近、剣術をおしえてもらってるからさ、そのお礼だよ。」


「そうですか……では、ありがたくご馳走になります」


「それにね……周りを見てごらん。コーヒーを飲んでいる人がたくさんいるでしょ?」


「そうですね。改めて見るとすごい人気です」


「でしょ。僕のしてきたことは、世界を救うとか、凶悪なモンスターを倒すとか、そんな大したことは、出来ない。でも、こうして他人の人生をちょっとだけ幸せにできるんだ。だからね、マリーにも見せたかったんだ」


「本当に……あなたという人は、こういうときには、素晴らしいことを言うんですね。」


「『こういうときに』は、余計だよ」


「そうですか?」


私は、そう言いながら、少し意地悪に笑ってみせた。すると、バフェットは言った。


「マリー……君もずいぶんといい顔をするようになったじゃないか。今の君の笑顔とっても素敵だよ。」


「なっ!! 何ですか!! 口説いてるんですか!!?」


「別にそんなんじゃないさ。なに? 顔赤いよ? 照れちゃった?」


「ひっぱたきますよ!!」


まさか、彼とこんなやり取りをするなんて思ってもいませんでした。なんだか、とても気の休まるひと時です。しかし、屋敷に戻ったとき、深刻な事態が起こっていることに気付いたのです。


 私たちは、そんなことも知らず、屋敷に着くと、納屋に荷物を運びこむ作業をしていました。すると、屋敷から同僚の使用人が慌てた様子で、私たちの元に駆け寄ってきたのです。


「マリーさん!! それからバフェット!! すぐにご主人様の所に来てくれ!!!」


「どうしたのですか?」


「それが、来客が来てるんだ!」


「お客様ですか? 別に、あなたたちでも対応できるでしょ」


「それが……いまこの屋敷に来ている客人の名前が……」



「《グラバー》なんだ!!」



 私たちは、急いで旦那様のいる応接間に向かいました。応接間に入ると旦那様と若い男がソファーに座っています。しかし、その緊張感は凄まじいものでした。旦那様は私たちを見て言いました。


「君たちも、座りたまえ」


私たちは、その若い男が座っている反対側のソファーに座りました。すると、その男は、私たちの顔をじろじろとなめ回すように眺めてから言います。


「そこの、少年くん。君がバフェットかい?」


「ええ。僕がバフェットです」


「そっか……君の噂は聞いているよ。一度クラン領で逮捕されてるんだって? 大変だね~。……一応確認だけど、本物のバフェットじゃないよね?」


「ええ、本名は別です。この名前なら、現実世界の人間が接触しやすいと思って、バフェットと名乗っているだけです。それで……あなたは、グラバーさんでよろしいのですか?」


「おっと……これは失礼しました。自己紹介がまだでしたね~。私の名前は《グラバー》といいます。以後、お見知りおきを」


そう言って、グラバーは胸ポケットから名前の書かれた紙のようなものをバフェットに渡します。バフェットはそれを受け取ると言いました。


「ご丁寧なあいさつありがとうございます。申し訳ありません。僕は、この通り奴隷として働いている身なので、名刺を持ち合わせていないんです。」


「そうですか。まぁいいんじゃない? でもな~、コーヒーを生産して商売をしているなんて、どんな人間かと楽しみにしていたのに……こんな子供だったなんてね。とんだ期待外れだよ」


「そんな、嫌味を言いに来ただけですか?」


「なんだい? そんなムキにならないでよ。せっかくいいことを教えてあげようと思ったのに」


「なんですか?」


「クラン領では、もうすぐ農村でのコーヒーの取引が禁止になるから、それを伝えようと思ってね」


すると、旦那様が身を乗り出して言いました。


「なんだと!?」


「当然でしょ! クラン領の小麦をあれだけ買い占めといて、気づかないとでも思ったの? 馬鹿だね~!」


「それで、グラバー君。そんなことを言うために、ノコノコとここまで来たのかね? 君には黒いうわさがたくさんある。今ここで君の身柄を確保してしまうこともできるのだが?」


旦那様が、そう言って彼を脅します。しかし、当の本人はヘラヘラしながら言いました。


「それは、できないんじゃないですか?」


「なに?」


「もう、気づいていると思いますけど、私はクラン領の人間です。というか、クラン様の右腕なんですよね~。今、私の身柄を確保したら、その後はどうなるのか……想像できるでしょ?」


旦那様は、握りこぶしをつくったまま、黙りました。今度は、バフェットさんが質問します。


「それじゃ、ついでに聞いてもいいですか?」


「どうぞ」


「違法ギルドを取り仕切ってるっていうのは、本当ですか?」


「ええ。もちろん」


「それで、どんな取引をしているのですか?」


「それは……そのうち分かりますよ。それじゃ、そろそろ失礼しますね。あ、紅茶ごちそうさまでした~」


「マリー君、外までご案内しなさい」


「かしこまりました」


私は、立ちあがり、グラバーを屋敷の外まで案内しました。そして、その彼の後を……こっそりつけたのでした。



 グラバーは、私が尾行していることなど、お構いなしなようで、町の裏路地にある建物へと入っていきました。その建物の入り口は、地下へと続く階段でした。どういうわけか、扉らしきものはありません。私は、その通路から侵入しようと試みましたが、中に入れません。それはまるで、見えない壁に遮断されているようでした。すると、後ろから声が聞こえます。


「なにかしらのプロテクトをかけているみたいだね。」


私が振り返ると、そこにはバフェットとミカさんの姿がありました。


「バフェットも来ていたんですか? 残念ですが……これ以上の侵入は厳しそうです。」


「じゃぁ、バフェットさん!! ここを爆破しちゃいましょうよ!!」


「それは、だめだよ。大事になっちゃうから。でも、なんとか侵入したいところだね……。実はね、試してみたいことがあるんだ。2人とも協力してくれるかな?」


バフェットは、スマートフォンを手にしながらそう言いました。今度は、何を企んでいるのでしょうか?私は、彼に質問します。


「それで、私は何をすればいいのですか?」


「うん。僕に命令をしてほしいんだ」



「は!?」



【バフェットの経済状況】


商品

  小麦粉  6000ポンド


所持金

  前話での繰り越し

  2,290,500円

  支出

  コーヒー代 600円

  

計 2,289,900円


借金 4,260,000円

最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白かった、続きを見たい、グラバーがうぜぇ」


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