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27話 どんな無茶をしたのかね?

剣士のレベル


カラーカメリアを複数体倒せる事から、レベル50前後であると思われます。人間では、即死レベルの攻撃を食らってもある程度耐えられるスペックを持っているようです。


 バフェット君の決死の自爆特攻によって、剣士は数メートル先まで吹き飛ばされる。そして、それはバフェット君とマリー君も同様だった。マリー君は、バフェット君に折り重なり吹き飛ばされた。


「バフェットさん!!!」


ミカ君は、2人のもとに急いで駆け寄った。マリー君は、少し離れていたためか、大したダメージを受けてはいなかった。マリー君は、バフェット君を抱きかかえながら言った。


「バフェット!! どうして!?」


バフェット君の両腕は、爆発の衝撃であらぬ方向に曲がっていた。おそらく骨も折れている。だが、火薬の量が少なかったのか、致命傷は避けられたようだ。


「痛ってぇえぇぇぇぇぇ!!」


バフェット君は、そう声を漏らしながら起き上がった。マリー君は、涙目になって言った。


「なんで、私なんかを助けたの!?」


「味方を助けるのは……当然だよ……。それにしても、奥の手まで使わされるなんてね。さすがに、顔面で火薬を爆発させたら無事では済まないでしょ……。うぐっ……。」


バフェット君は、ふらつき地面に倒れそうになる。マリー君は、彼が地面に倒れこまないように抱きかかえた。その時だった……。


「……え? うそでしょ……?」


ミカ君が絶望した顔で言った。マリー君は、ミカ君の視線の先に何があるのかを確認し絶望した。


「……そんな…………。」



 そこには、よろめきながらも剣を構える剣士の姿があった。あれだけのダメージを受けて、まだ倒れないとでも言うのだろうか。彼は、口にたまった血を「ぺっ」と吐き出すと、よろよろとバフェット君たちに近づきながら言った。


「……やってくれる……じゃねーか……。今のは……死んだかと…………思ったぜ…………。」


「こいつ!! まだ倒れないの!!?」


ミカ君は、剣士にとびかかった。しかし、剣士に簡単に薙ぎ払われてしまう。


「キャーー!!!」


「じゃまだ!!! …………さぁ、俺の…………勝ちだぜ…………バフェットさんよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


剣士はバフェット君に近づき、斬りかかった!



キーンッ!!



間一髪のところで、マリー君がバフェット君を庇い、剣を使って攻撃を受け止めた。剣士は、マリー君を蹴り飛ばす。


「うぐっ!!」


「お前も邪魔だ!!!」


剣士は、マリー君を斬りつけ、吹き飛ばした。


「キャッ!!!」


「もういい!! お前を連れ帰るのはやめにした!!! 串刺しにしてやるよ!!!!」


剣士は激昂し、剣を突き立てながら、マリー君に突進する。




「ダメェェェェェェェェ!!!!! マリーさんよけて!!!!!!」




 ミカ君は必死に叫んだ! しかし、それもむなしく、マリー君は、斬りつけられた傷が深く、身動きが取れなくなっていた。マリー君は、思わず目をつむってしまう。それは、ほんの一瞬の出来事だったが、彼女にとっては、長い時間に感じられたことだろう。そして、マリー君が次に目を開けると…………。


自分ではなく、バフェット君が串刺しになっていた。どうやら、再びマリー君の盾になったようだった。その光景は、マリー君のトラウマを再び蘇らせる。


「イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


マリー君は、叫び声をあげる。しかし、バフェット君はそんな状況の彼女に言った。


「ごめんね……こんなもの見せて…………。………君は、ミカと逃げるんだ…………。できる…………ね?」


バフェット君は、それだけを言い残し、その場に倒れこんだ。剣士は、その様子を見て、満足げに言った。



「へっ…………ざまぁ…………wwwwwww」



彼は、この勝負の勝ちを確信した。その時だった。彼の背後に凄まじい気配を感じる。あわてて振り向くと、そこには、邪悪なオーラをまとったミカ君の姿があった。彼女の右腕は、およそ人ではないほどに禍々(まがまが)しく変形し、どす黒い炎が全身をまとっていた。彼女は、静かに言った。


「あなたは…………絶対に許しません…………」


「どうなってる…………それは………………《ダークフレイム》じゃねーか!! なんで、低レベルのお前が使えるんだよ!!?」


ミカ君は、右腕を剣士の方に向けた。すると、黒い炎がらせん状になって一直線に伸びていった。ダメージを負ってしまっている剣士には、もはや、かわすことなど到底不可能だった。


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


剣士は、断末魔をあげて、その場に倒れこんだのだった…………。




 それから数日後…………。バフェット君は、私の屋敷のゲストルームで目を覚ました。私は、本を読みながら彼に声をかけた。


「目が醒めたかね? バフェット君、今回は、かなり無茶をしたそうじゃないか?」


「ラボアジエさん……。今回は、僕も死ぬかと思いましたよ……イテテ!」


バフェット君は、ベッドから体を起こすと、両腕にギプスが取り付けられていることに気付いた。


「まったく、黒色火薬を手に持って自爆するとは、とんでもないことを考えたものだ。バフェット君、その両腕は見事に折れているよ。そのギプスが取れるまで、あと2週間といったところだろう。それにしても、今回はツメが甘かったのではないかね?」


「はい……まともな戦闘はこれが初めてですからね。見立てが甘かったです。もっと準備をしておけば……。」


「そうだな。君が命を落とすことで、悲しむ者もいるのだ。逮捕された件もそうだが、もう少し考えたらどうかね? ほら、見たまえ」


私は、ベットに突っ伏して眠っているミカ君を指さして言った。


「彼女は君を屋敷に運んでから、ずっとつきっきりだったのだよ。どれほど、彼女に心配をかけたかは、想像にかたくないだろう?」


「そうですね……彼女やマリーにも心配をかけてしまいました。」


「まぁ、大事に至らなくて何よりだ。しばらくは、治療に専念したらいい。今回は、特別に休養中も賃金を支払うとしよう。さてと、そろそろマリー君も来る頃だ。いろいろと話を聞かせてもらおうじゃないか。」



それから数分後、マリー君もこの部屋にやってきた。



「ばふぇっとざぁぁぁぁあん!!! いぎででよがったですぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」



ミカ君は、泣きじゃくりながらバフェット君に抱き着いた。バフェット君は、ギプスのついた腕でミカ君の背中をトントンと叩いて言った。


「ミカ!!! 痛いから!!! やめて!!!! 痛いってば!!!!」


一方で、マリー君は、サバサバした態度でバフェット君に言った。


「やっと、目が醒めたんですね。大寝坊もいいところですよ!!」


「はは……そうだね……。」


「ばふぇっどさぁぁぁぁぁぁん!!!」



ミカ君は相変わらず泣きじゃくっている。私は、話を本題に戻すために私は、大きな咳払いをしてから言った。


「さて、犯人の剣士も逮捕できたことだし。今後のことを考えようではないか。」


ミカ君は、私に言った。


「うぐっ……。逮捕したって言っても……どうせ……また脱獄しちゃうんでしょ……ひっく……」


ミカ君は、さっきまで号泣していたためか、うまく話せないようだった。バフェット君は、ミカ君に言った。


「僕は、そう思わない。ご主人様、確認ですが、今回の一件、やはりクランが裏で?」


「ああ、《バティン》の名を口にしたら、分かりやすく反応していたよ。」


「そうですか。なら、あの剣士は、もう釈放されないでしょうね。」


「だろうな。」



「え!? なんでですか!?」



ミカ君は、バフェット君に質問した。


「それは、また今度にしよう。ひとまず、あいつはもう出てこないから安心していいよ。……さてと、この傷が治ったら、いよいよキラーカメリアの討伐報酬で、コーヒー事業の立ち上げだね。ペンが持てるくらいに回復したら、準備しよう。」


「はい!! わたし、今のうちにいろんなものを調達してきます!!」


ミカ君が笑顔で言った。今度はマリー君が、バフェット君に言った。


「ともかく、あなたの腕のケガがよくなるまでは、私がお世話します。その腕では、食事すらできませんからね。」


「助かるよ。」


そのときのマリー君の腕は震えていた。おそらく、平静を装ってはいるが、いろいろと思うところがあるのだろう。私は、ミカ君に提案した。


「ミカ君、紅茶は好きかね。せっかくだ、ご馳走しよう。」


「え?いいんですか!?」


私は、ミカ君を別の部屋に連れて行き、マリー君とバフェット君を2人きりにした。マリー君は、しばらく何も言わなかったが、しばらくして震えた声でバフェット君に言った。


「どうして、私を助けたのですか?」


「う~ん。あの時は、必死だったからね。体が勝手に動いたというか……」



「誤魔化さないでください!!」



マリー君の瞳から涙が零れ落ちた。



「ミカさんから聞きました。あなたのことを全部。あなたが旦那様と同じで異世界から来たこと。この町のために尽力しクランに逮捕されていたことも! それなのに、私は、あなたを冒険者だからって、悪者だって決めつけて!! どうして、そんな私を助けたのですか!!?」


「……そっか。僕のことを聞いたんだね。僕はね、この世界に来る前に、大きな病気にかかったことがあるんだ。僕の家族……特に兄さんが毎日毎日面倒を見てくれたんだ。それで、僕は結局その病気に打ち勝った。だからね、僕は、


助けてもらったこの命を使って、いろんな人たちを助けたいし守りたいし・幸せにしたいんだ。


特に、一緒に働く仲間ならなおさらだよ。僕はね、同僚や従業員のことは絶対に守る! だから、マリーには、死んでほしくなかった。こんなところかな。」


「私は……あなたを邪険じゃけんにしてたんですよ!!!」


「関係ないよ!! ご主人様から聞いたよ。君が冒険者を憎む理由。そりゃ、僕を恨んでもしょうがないさ。」


「どうして、あなたはそんなに大人なんですか!?」


「君よりずっと年上だからかな。でも、マリー……。君の方がもっとすごいんだよ。」


「君は、まだ10代なんでしょ? その頃の僕は、もっとずっと子供だった。君の方が、当時の僕よりずっと大人さ。それは、今までつらい人生を歩んできたからだよ。……大変だったんだね。」


「そんな……いまさらそんなこと言わないでください!!」


「マリー。いいんじゃないかな。たまには子供に戻ってみるのも」



その時、マリー君の中で何かが切れた。それは、もしかしたら、彼女の心を締め付けていた冷たい鎖のようなものだったのかもしれない。マリー君は、バフェット君に抱きつき、泣き始めた。彼女がこの屋敷に来てから、初めて誰かに甘えた瞬間だった。バフェット君は、この時思った。



「はぁ~……。抱きつかれるの痛いな……。」



……と。


【バフェット君の経済状況】


所持品

コーヒー豆150g 銅の鎧 木の大盾、スマートフォン、モバイル充電器、ビジネスバッグ


所持金

金貨1枚  250,000円

銀貨24枚 120,000円

銅貨35枚   3,500円

計     373,500円


借金

金貨17枚 475万円

銀貨35枚 17万5000円

計     4,925,5000円


最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白かった、続きを見たい、ボッ!」


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