表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/42

25話 仕様書とは何かね?

アロケルとは?


ソロモン72柱の悪魔の一人。天文学や教養学に長けており博識な悪魔である。ソロモンの世界では、人間に化け、賢人として生活しているようだ。


 次の日の朝、バフェット君は書庫に入りびたり、本を読みあさっていた。なぜ、キラーカメリアが大量発生したのか、その原因を探るためだ。一方で私は、バフェット君からスマートフォンを借りてあるものを読んでいた。私は、彼の邪魔になって悪いとはわかっていたのだが、興奮を抑えきれずに彼に話しかけてしまった。


「バフェット君!! このスマートフォンに書かれている内容は、本当に10代の子が学ぶものなのかね!?」


バフェット君は、魔術に関する書籍を読みながら答える。


「はい。それは、教科書と言って、その内容に沿って教師たちが生徒に科学を教えているんです。特に、その中学校の教科書の内容は、義務教育と言って、すべての国民が授業を受けているんです。」


「本当に、君のいた時代は素晴らしい! 私の研究していた内容がこうも分かりやすく書かれているとは……最も、厳密性には欠けているが。おまけに、私の肖像画も教科書に載っているではないか!! なにより、私の研究が、科学の入り口に過ぎないとは……面白い!!

 ……すまない。つい興奮してしまった。それで、そちらの調子はどうかね?」


「残念ながら、手がかりを見つけられていませんね。キラーカメリアの生態やら、モンスターを召喚する方法やらを調べているのですが……」


「そうか……難航しているようだな。……だが、探究とは地道なものだ。」


「……ええ。解析結果が届くまでもう少し粘ってみます。少なくとも、やつらの発生源は、解析され次第判明するんです。のんびりやりますよ。」


バフェット君が、そう言い終わった直後だった。突然スマートフォンの画面が切り替わり、音が鳴り始めた。バフェット君は、私からスマートフォンを受け取ると、画面をタップして机の上に置いた。まもなくして、スマートフォンから声が聞こえ始めた。


「またせたな。エラーの解析おわったぞ」


「うん。ありがとう兄さん」


私は、解析という言葉を聞き、バフェット君の後ろから身を乗り出して、スマートフォンの画面を覗き込んだ。すると、スマートフォンから、また声が聞こえる。


「そうだ、今回は試したいことがあるんだ。」


「なんだい兄さん」


「ビデオ通話って出来るか? 今後映像とかが分かれば便利だと思ってな」


「うん。やってみるよ」


バフェット君は、スマートフォンを操作した後、本に立てかけた。画面には、少年の顔が映っていた。私は、バフェット君に質問した。


「バフェット君、彼が君の兄君あにぎみなのかね?ずいぶん見た目が若いようだが……。」


バフェット君は答える。


「彼は、こう見えて40近いんですよ。とある理由で見た目が若いんです。」


彼の兄は、私の方を見て言った。


「すまない。そちらの方は? …………どこかで見たような……。」


「そう言えば、兄さんには言ってなかったね。この方は、アントワーヌ・ラボアジエさんだよ。この世界に異世界転生したんだって。」


すると、その少年は、飛び上がり、興奮した様子で言った。


「本物なのか!!?」


「いかにも。私がラボアジエだが」


「まさか、あなたのような方にお会いできるなんて! 大変光栄です!! あとで是非お話を伺いたい! ……失礼つい興奮してしまった。本題に戻ろう。解析した位置情報は、メッセージに送っておいたから後で確認してくれ。それから、会社に問い合わせたら、ソロモンの仕様書と設定書のPDFデータをもらったから、これも送っておくぞ。」


「わかったよ。ありがとう兄さん。」


私は、2人に質問した。


「すまない、その仕様書というのは、何なのかね?」


私の質問に、バフェット君の兄が答える。


「ラボアジエさんは、弟からソロモンが、私たちの世界で開発されたゲームの世界だということは、聞いていますね?」


「ああ。ゲームというものも体験済みだ。」


「仕様書というのは、そのゲームの設計図みたいなものなんです。どんな、世界なのか、プレイヤーにはどんな力があるのか、どんなモンスターがいるのか、そんな内容が事細かく記されているんです。」


「なるほど、そんな書類を作っていたのだな。では、それを見れば、キラーカメリアが大量発生する原因もわかってしまうというわけか。」


「ところが、そういうわけにもいかないんです。」


今度はバフェット君が私に言った。


「どういうことかね?」


「ゲームでは、この周辺にキラーカメリアは出現しないんです。それに、キラーカメリアを持ち込む方法も本来存在しないはずなんです。無理やりこの地に持ち込んでも、消滅するようにプログラムしてあったはずです。」


「なるほど、ゲームの世界とこちらの異世界では、多かれ少なかれ齟齬そごがあるということか。持ち込んだら、消滅するなど、化学の基本法則を完全に無視してしまっているからな。」


「なので、こちらの世界の書物を調べていたんですが……なかなか手がかりは、見つからないですね。」


「そうか……。うまくいかないものだな……。《アロケル》のような賢人が近くに居ればな……。」


「……え?……アロケル」


「知らないのかね? 私も滅多に会えないのだが、大変博識な人物なのだよ。」


私の言ったことに、バフェット君は何かに気がづいた。


「兄さん……アロケルって確か……」


「……ああ。ソロモンに実装される予定だった悪魔の名前だ」


「もしかして、この世界には、ゲームでは実装していない悪魔が居るんじゃ……。ラボアジエさん!! この世界の悪魔に関する書籍はありますか!?」


「あ……ああ。その本棚にあったと思うが……。」


バフェット君は、急いで本棚にある悪魔に関する書籍を探り始めた。そして、どうやら彼の見立ては的中したらしく……。



「……これだ。推測でしかないけど、この方法ならキラーカメリアをこの地に送り込めるかもしれない。」



曇っていたバフェット君の表情は、一気に明るくなった。私は、彼に質問する。


「それで、何とかなりそうかね?」


「はい。いずれにしろ、ニードルワームさえ確保していれば、キラーカメリアは討伐できますし、まずは、発生源の場所に行く必要がありそうですね。」


「そうか、なら私も同行しよう」


「いえ、ラボアジエさんには、やってもらうことがあります。」


「ほう……。それは何かね?」


「今回の騒動の犯人をあぶりだしてほしいんです。それから、キラーカメリアの天敵がニードルワームであることは、まだ伏せておいてください」


「分かった。では、詳しく話を聞こうか……」



 それから、数日間バフェット君とミカ君はニードルワームを捕獲し始めた。きっと、今までと同様の方法でキラーカメリアに対処するつもりなのだろう。一方で、私は数日間屋敷をけ、ある場所に向かっていた。


「アントワーヌ殿、私に何の用かね?」


私は、クランの屋敷に来ていた。今回の一件について探りを入れるためだ。私は、彼に言った。


「ここ最近、私の領地でキラーカメリアが大量発生していてな。ほとほと困っている状況なのだよ。クラン殿の領地では、出没しているのかね?」


クランは、不気味な笑みを浮かべながら言った。


「それはそれは、とんだ災難ですな。もっともこの領地では、そんな話は出ていないがね。そうだ! うちの領地の冒険者を派遣しても構わないがどうかね?」


「そうだな。これ以上増えるようなことがあれば検討しよう。」


「それで……キラーカメリアの大量発生のことを聞くためだけにわざわざ来たのかね?」


「まさか。今日はこれを渡すために来たのだよ」


私は、クランの使用人に紅茶葉を差し出し言った。


「うちの領地で作った新しい紅茶だ。気にいれば、そちらの領地でも販売したらいい。では、私はこれで失礼する。」


私は、振り向きざまに言った。


「ああ……そうだ。クラン殿は、《バティン》という者をご存じかな?」


「バティン……知らないな。」


「そうですか。あなたのような方なら知り合いでも、おかしくはないと思ったのだが……」


私が、そのように挑発すると、彼は言った。


「なんだと! 失礼ではないか!!」


私は、にやりと笑って言った。


「なぜ、失礼なのです? 本当は、バティンが何者なのかご存じだから、失礼だと思ったのでは?」


「…………………………。」


「では、私はこれで失礼する。ああ、ちなみに、その紅茶葉は、キラーカメリアの葉っぱで作ったものだ。意外と美味なので、ぜひ試してほしい。…………では。」


私は、クランの屋敷を後にした。どうやら、今回の一件もクランの仕業であることは間違いなさそうだ。それは、私がバティンという言葉を口にしたからだ。その名前は、断じて人の名前ではない。この世界に存在していると言われている《悪魔》の名前だ。それにしても、クランが分かりやすい反応をしてくれたおかげで、探りを入れる手間が省けた。さて……あとは、バフェット君がどうやって、解決するかだ……。



 

【バフェット君の経済状況】


所持品

コーヒー豆150g 銅の鎧 木の大盾、スマートフォン、モバイル充電器、ビジネスバッグ


収入

金貨 2枚 500,000円

   → キラーカメリア討伐分

所持金

銀貨7枚   35,000円

銅貨35枚   3,500円

計      38,500円


借金

金貨19枚 475万円

銀貨35枚 17万5000円

計     492万5000円







最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白かった、続きを見たい、仕様書とかやめて…トラウマだから」


と思った方は


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な感想で構いません。大変励みになります。


オレンジ色の《ブックマーク追加》を押していただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ