24話 エラーとはなにかね?
作中で行なったプログラムの解析
作中で、ゲームプログラムのエラーを解析する場面がありますが、あくまでもフィクションです。実際のプログラムでは、座標軸がエラーコードに出てくることは、無いと思います。もっとも、エラーが出ているオブジェクト自体を調べれば、設置してある座標くらいは、わかります。
私は、バフェット君の持っていたスマートフォンなるものを眺めて言った。
「これは、君の世界の道具なのかね?」
「ええ。簡単に言うと通信機器です。」
すると、ミカ君が言った。
「え? そんなの知らないですよ!?」
バフェット君は、ミカ君の発言に少し戸惑ったが、すぐに何かに気付いたようで言った。
「ミカ……もしかして、元居た時代が僕とは違うんじゃないのかな? 携帯電話は、聞いたことあるかい?」
「あ! それなら持ってました!!」
「簡単に言うとそれの機能を充実させた機械だよ」
「もしかしてそれじゃ……」
「待ちたまえ!! 私を置いてきぼりにしないでくれ」
「簡単に言うと、元の世界の人間と連絡が取れる可能性があるんです」
「なんだと!? そんなことができるのか!?」
「はい。もしかしたら出来るかもしれません」
「だが、連絡が取れたところで、どんなメリットがあるのかね?」
「まあ、見ててください」
バフェット君は、そう言うとスマートフォンを操作すると、音が鳴りはじめ、しばらくすると、男性の声がスマートフォンから聞こえてきた。
「おい! いまどこで何をしているんだ!?」
すると、バフェット君はスマートフォンに向かって言った。
「やっぱり繋がった。兄さん! 久しぶりだね。とりあえず僕は無事だよ」
どうやら、バフェット君は、自分の兄と話をしているらしい。バフェット君は、機械越しに自分の身の上を話し始めた。身の上話が終わった後、バフェット君の兄は言った。
「とりあえず、今はソロモンの世界にいるんだな? それで、何をすればいいんだ?」
「うん。まず、中学校と高校の理科の教科書をデータで送ってほしいんだ。兄さんなら手に入れられるでしょ?」
「それは、構わないが……何に使うんだ?」
「ん? プレゼントだよ、プレゼント!」
「誰にそんなものをプレゼントするんだよ」
「まぁまぁ、それから、いくつか試してほしいものがあるんだ」
「なんだ?」
「まず、会社に掛けあって、プレイヤー情報のデータベースを手に入れてほしいんだ。もしかしたら、その中に文字化けしていたり、破損しているデータがあるかもしれない。もし、それを見つけたら教えてほしいんだ。」
「その、破損しているプレイヤーというのがお前というわけか?」
「たぶんね。」
「わかった。出来る限りのことはやっておこう。それから、お前の会社は、私が誤魔化しながらなんとか運営しておく。」
「うん、助かるよ」
「とにかく、お前が無事で何よりだ」
「また、連絡するね」
バフェット君は、そう言ってスマートフォンを操作したかと思うと、今度はそのスマートフォンをじっと眺めていた。私は、バフェット君に尋ねた。
「今度は、何をしているのかね?」
「ええ……詳しくは後で説明します。今日の所は、この辺にして一度帰りませんか?」
その日の夜、バフェット君は、スマートフォンに映った画面を私に見せてきた。それは、広大な草原の絵で、その画面の中心には、人間らしきものが佇んでいた。
「バフェット君……これは……?」
「画面を触ってみてください」
私は、画面を人差し指でタッチしてみた。すると、画面の人間が、タッチした方向に動き始めた。
「馬鹿な! 絵が動いたぞ!!」
「これが現代の技術です。さて、それよりも、しばらくそれで遊んでみてください。」
私は、彼の言うがままに、いろんなことを試してみた。平原を移動したり、モンスターに攻撃して見たり……それはそれは、娯楽の道具として大変優秀なものであった。バフェット君は言った。
「これが、ゲームというものです。僕のいた世界では、娯楽の定番として多くの人たちに親しまれてきました。」
「一体、どういう仕組みなのかね!?」
「そのゲームというのは、アルゴリズムと呼ばれる命令が複雑に働きあって出来ています。その数多くの命令が、その小さな機械に保管されているわけです」
「ほう……君の世界の技術とはとんでもないものなのだな。それで、私にこれを見せたのは、単に自慢するためではないのだろう?」
「ええ、その通りです。その平原をもう少し進んでみてください」
私は、スマートフォンを操作し、バフェット君に言われたように操作をした。しばらくして、そこには、見覚えのある景色が見えてきた。私は、その光景に思わず言葉を漏らした。
「これは……クラン領ではないか!? どういうことなのかね!?」
「この世界は、僕の元の世界で配信されていたゲームの世界なんです」
「なんだと!?」
「そして、僕は、このゲームを管理を行う組織の監督をしていました。」
「なるほど、半分くらいわからないところもあるが、だいたい話が読めてきた。だから、君はこの世界でもうまくやってこれたのだな。」
「まぁ……そんなところです。さて、話を戻します。僕は、言ってしまえばこの世界の管理をしていたわけですが、こんなものを見つけたんです」
バフェット君は、私からスマートフォンを受け取ると、ある画面を私に見せてきた。そこには、つぎのような文字の羅列が表示されていた。
Error 2.1 不正なモジュールを検知しました(20211212220053.0.215.1051)
Error 2.1 不正なモジュールを検知しました(20211212220266.0.215.1051)
Error 2.1 不正なモジュールを検知しました(20211212221135.0.215.1051)
Error 2.1 不正なモジュールを検知しました(20211212222200.0.215.1051)
Error 2.1 不正なモジュールを検知しました(20211212223214.0.215.1051)
Error 2.1 不正なモジュールを検知しました(20211212228192.0.215.1051)
Error 2.1 不正なモジュールを検知しました(20211212240303.0.215.1051)
Error 2.1 不正なモジュールを検知しました(20211212250503.0.215.1051)
と書かれていた。バフェット君は、この文字の羅列を簡単に説明した。
「これは、このゲームで起こったエラーと呼ばれる現象の一覧です。」
「エラーとは、何かね?」
「簡単に言うと、こちらの意図していない動作が起こることを言います。例えば、さっきまでやっていたゲームで、プレイヤーの動きがいきなり早くなってしまったり、入手していない所持品を手に入れてしまったりとそんなところです。」
「で? それが何を意味するのかね?」
「このエラーは、本来起こらないはずの、現象が起こった時に記録されるんです。例えば……本来、このゲームでは、プレイヤーが道具を使ってゴブリンを呼び出すことが出来るのですが、ゴブリン以外のモンスターを呼び出す道具や魔法は存在していません。もし、何者かが何らかの方法で《キラーカメリア》を呼び出したのだとしたらこんな風に記録が残るんです。もっとも、この記録だけでは、その証拠はありませんが……。」
「なるほど……それでは、君は、このエラーがキラーカメリアの召喚によるものだとにらんでいるのだね? だが、問題は、どこでそれが行われているかだ」
「ええ、それに関しては問題ありません。一番最後の数字《215.1051》のところを見てください。実はこの数字、エラーが発生した座標(場所)を表しているんです。見てください。全部発生場所が同じなんです。怪しくないですか?」
「確かに……これは怪しいな……。それで、この場所は特定できるのかね!?」
「ええ。今、兄に解析をお願いしています。もし、このエラーの発生場所がこの領地内なら、おそらくそこがキラーカメリアの発生源です。」
「そうか……ではあとは、その解析を待てばよいというわけだな。」
「ええ……。ですが、待っている間にやりたいことがあります。」
「うむ……何かね?」
「魔術やモンスターの生態に関する書籍はありますか?」
「ああ……ここ数年でかなりそろえたのだよ。特に、キラーカメリアの生態については、私もかなり調べたのだがね……」
「おそらく、この世界には、元のゲームには存在しない魔法があります。しばらくは、それを、探そうと思います。それを把握しておかないと止めようがないですからね」
「確かに君の言う通りだ。いいだろう私も協力するとしよう」
その日から、私とバフェット君は魔術やモンスターに関する書籍を徹底的に洗い出し始めることになったのだった。
所持品
コーヒー豆150g 銅の鎧 木の大盾、キラーカメリアの目玉4個、スマートフォン、モバイル充電器、ビジネスバッグ
所持金
銀貨7枚 35000円
銅貨35枚 3500円
計 38500円
借金
金貨19枚 475万円
銀貨35枚 17万5000円
計 492万5000円
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった、続きを見たい、やめろー!!エラーメッセージはトラウマなんだー!!」
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