19話 価格はどうやって設定すればよいのかね?
モンスターの適正レベル
Lv1~3 スライム
Lv2~4 ニードルワーム
Lv3~5 オオコウモリ
Lv5~8 ゴブリン
Lv30~40 キラーカメリア
参考
① ミカのレベル・・・Lv3
② このゲームのレベル上限・・・Lv128
マリー君がコーヒーの毒見をして納得したところで、私もドングリコーヒーを堪能した。さすがに本物とは、味が大分異なるが、これはこれで十分に満足できるものだった。フルーティーなコーヒーと言ったところだろうか。これは、砂糖やミルクを加えれば、甘い飲み物としても売れそうだ。私は、バフェット君に言った。
「これは、イケるかもしれん。これを、販売するのかね?」
「ええ。まずは、露天での販売を計画しています。そのために、いくつか制作しなければならないものもありますが……。まずは、コーヒーを煎れる器具と食器を準備しなくてはいけませんね。」
「そうか……食器か……。マリー君、使用人用の安い食器がしまってあっただろう。貸してあげたまえ
。そうだな、コーヒーを煎れる器具も一式用意しよう。」
すると、マリー君は、私の提案に反対する。
「旦那様いいのですか? バフェットは、ただの奴隷ですよ?」
「もちろん、レンタル料をいただくがね」
「それなら、別にいいですが……」
「それで、バフェット君。そのコーヒー、一杯いくらで販売するのかね?」
「まず、ドングリの収穫で冒険者に依頼した金額が銀貨3枚分です。これは、銅貨150枚分に相当します。そして、5kgのドングリから作れたコーヒー粉は約2.5kgでした。コーヒー1杯に使用する粉の量は、おおむね10gですから250杯分のコーヒーが作れることになります。ですから、コーヒー1杯の原価は、銅貨0.6枚分(日本円だと約60円)ということになります。」
「ふむ……では、銅貨1~2枚程度で売ることが適切だろう」
「いえ、そんなに単純に決めても商売は上手く行きません」
「そうなのかね? あいにく私はこの手の話は、まだ素人なのでな。せっかくだ、価格の決め方について教えてほしい」
「分かりました。それでは、少し長くなりますがお話ししましょう。こういった食品などの原価が、はっきりしている商品を販売する場合は、ひとまずFLコストを考えます」
「FLコストとは何かね?」
「F(食品原価)L(人件費)の合計金額のことを言います。僕の給与は、1か月に銀貨30枚分です。面倒なので1日の僕の人件費は、銀貨1枚分つまり、銅貨50枚分ということになります。すると、FLコストは……
FLコスト(銅貨の枚数) = 0.6×販売数 + 50 ということになります。
ここで、1日に販売できた数を少なめに50杯と見積もりましょう。すると、FLコストの合計は銅貨80枚分ということになります。」
「自分で働くのに、自分の人件費を考慮するのかね!?」
「当然です! 僕の労働の価値は、1日に銀貨1枚分です。これより割に合わない仕事は、しないように行動することが大切だと思います。さて、話を戻しますね。FLコストが計算出来たら、次にFL比率から理想的な売上金額を算出します。まず、FL比率は次のように求められます。
FL比率 = FLコスト ÷ 売上金額
ここでFL比率が50%、つまり0.5になればきわめて理想であると言われています。ここで、売上金額をx、FLコストを先ほど求めた銅貨の枚数80枚だとすると……
0.5 = 80 ÷ x という方程式になります。」
方程式の話が出た時点で、今まで話を聞いていたマリー君は、すでに考えることを放棄していた。一方の私は、バフェット君の話に興味津々だった。彼は話をつづける。
「これを計算すれば、理想的な売上金額はx=160ということになり、1日に銅貨160枚の売り上げが必要です。ここで、想定した販売数は50杯ですから、160を50で割り算して、1杯で銅貨3.2枚になります。少数は切り上げて、1杯銅貨4枚(約400円)で売るというのが当面の価格ですね。」
私は、彼の話に感心しながら言った。
「なるほど、そうやって見積もりながら計算をしていくことが必要なのだな。ならば、こうしようじゃないか。本来適正な価格は銅貨3.2枚分、つまり0.8枚分は余分な取り分ということだ。その金額を器材・食器のレンタル代としていただこう。つまり、1日の器材・食器レンタル台は0.8×50=40、銅貨40枚だ、これでどうかね?」
「いいでしょう。十分安いです。それから、利益に対しての税率はどうなっていますか?」
「収入が少ない者からは、税金はとっていない。商人の場合は、1か月働いて金貨1枚以上(約25万円)の利益が出た場合に限り、税金を納めてもらっている。それに、ドングリを森から採取した件だが、ドングリに関しては、税金はかからない。」
「感謝します。いやぁ~本当はコーヒーに適した食品は、他にもあったんですがどれも収集に課税がかかって面倒だったんですよ。ドングリに税金が定められていなくてよかったです」
「む!? これ、遠回しに脱税していないかね?」
「グレーゾーンですよ。ドングリに課税なんてしたら、町に落ちているドングリを拾う子供からも税金を取らなくてはいけないじゃないですか」
「……むう。それもそうか。まぁいいだろう! 好きにしたまえ!」
数日後、バフェット君は早朝にドングリコーヒーに必要な調理器具をリアカーに積み込んでいた。私は、そんな彼に声をかけた。
「さっそく売りに行くのかね?」
バフェット君は、答える。
「はい、時間に合わせて場所を変えながら販売しようかなと思っています。」
「そうかね……まぁ、今日は休日なのだ。好きにしたまえ」
「では……行ってきます!」
そう言って、バフェット君は、リアカーをガラガラと引っ張りながら町へと向かって行った。私は、その様子を見守った後、背後に気配を感じ言った。
「マリー君かい?」
「はい。そうです」
後ろに居たのはマリー君だった。私は、彼女に言った。
「マリー君。一つ、仕事を頼めるかね?」
「なんでしょう?」
「バフェット君の様子を見に行き、あとでその様子を報告してはくれないかね?」
マリー君は、嫌がる様子で言った。
「旦那様! そんな必要ありますか?」
「だって、面白そうじゃないか!」
マリー君は、ため息をつきながら言った。
「分かりました! 遠くから様子を観察してきます」
彼女は、そう言い残して、中心街に向かって走り去った。さてと……私は仕事をするとしよう。
バフェット君は、まず商店街の大通りに足を運んだ。そして、準備を終えると、大通りは香ばしい香りでいっぱいになる。何人かは、物珍しさに彼の様子を眺めている。バフェット君は、その野次馬に話しかける。
「まず、お試しで飲んでみませんか? 朝に飲むコーヒーは、最高ですよ?」
バフェット君は、野次馬に来ていた人たちに、無料でコーヒーを配り始めた。すると、良くも悪くも周囲の人間たちが騒ぎ始める。そして、少しづつコーヒーは売れ始めた。しかしまだ、それぞれの商店が開き始めた時間帯だ。数杯売れた程度であった。すると、それを見かねてか、様子を見に来たミカ君がバフェット君に声をかけた。
「バフェットさんおはようございます!」
「おはようミカ」
「やっぱり、異世界の人たち相手のコーヒー販売には、苦戦しているみたいですね。何杯売れたんですか?」
「1時間やって8杯だね」
「全然売れてないじゃいですか!!!」
「初日はこんなものだよ。さてと……そろそろ※露店の人たちに売りに行こうかな。ミカもついてくるかい?」
※露店・・・道や広場などに、屋台などの形式でひらく商店のこと
「いいですよ。暇ですし」
その後、バフェット君たちは、露店商たちに「眠気が吹き飛ぶ」「スイッチが入る」「香りの良い飲料」など数々の謳い文句で、売りつけ始めた。その結果、昼頃までには20杯程度のコーヒーが売れていた。ミカ君は、バフェット君に言った。
「お昼まで、やって20杯って一体いくらの利益なんですか!?」
「そうだね、1杯銅貨4枚だから80枚分だね」
「ぜんぜん儲かってないじゃないですか!!!」
「そうだね。目標としては、1日に50杯は売りたいからね」
「あと30杯をこの状況で売れるんですか?」
ミカ君は、周囲を指さして言った。もう、商人たちにはコーヒーを売ってしまった。今日のところは、買ってくれないだろう。それに、お昼時になり人も減ってきていた。しかしバフェット君は不敵な笑みを浮かべて言った。
「売れるのはここからだよ」
「本当に売れるんですか?」
「これから、大本命のところに売り込み行くつもりだよ。さて、どこに行けば一番売れると思う?」
「え?そんな都合のいい場所があるんですか?」
「それじゃ、ついておいで」
バフェット君は、移動する準備を整え、リアカーを引っ張り移動し始めた。
【バフェット君の経済状況】
所持品
コーヒー豆2.0kg
収入
銅貨 80枚 8000円
→ コーヒーでの利益
所持金
銀貨4枚 20000円
銅貨80枚 8000円
計 28000円
借金
金貨19枚 475万円
銀貨35枚 17万5000円
計 492万5000円
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