18話 どうしてトゲだらけなのかね!?
モンスター図鑑
キラーカメリア
硬い葉っぱを持った体長2m程度の歩く樹木。人間を捕食し戦闘力もかなり高いため(剣を操るヒグマと同じ程度)、危険なモンスターとして認知されている。
その葉っぱで、樹木や動物を切り裂く事ができる。
バフェット君たちが、ドングリ採取を始めてから小一時間が経過した。すでに、持ってきたカゴには、たくさんのドングリが入っている。バフェット君がニードルワームと戦っているミカ君に向かって言った。
「こっちは、終わったよ! ミカは大丈夫かい?」
「はい! なんとか大丈夫です! これを倒したら最後にしますね!」
ミカ君が相手にしているニードルワームを撃退し終えると、二人は、モンスターのいない安全な場所に避難し、一息つくことにした。バフェット君は、ミカ君に尋ねた。
「お疲れ様、刺されなかったかい?」
ミカは、左腕を見せながら言った。
「1か所だけ刺されちゃいました。でも、大したことなさそうです」
バフェット君は、刺された箇所を確認すると、近くの草を摘み取り葉の匂いを嗅いだ。そして、その葉をちぎり、ミカ君が刺された場所にこすり始めた。ミカ君はバフェット君に質問した。
「もしかして、毒消し草ですか?」
「これ? これは、ドクダミの葉っぱだよ、少しは効くと思う」
「ドクダミって効くんですか?」
「毒の症状からすると効くと思うんだよね。…………さてと、そろそろ、いい時間だし帰ろうか。」
「そうですね。町に戻りましょう」
そうして、二人が立ち上がった時だった、木の陰から1体のモンスターが姿を現した。ミカ君はそのモンスターを見て、顔を凍り付かせながら言った。
「あれは……《キラーカメリア》………………こんな森の中にまで。」
バフェット君は、ミカ君に質問する。
「確か……人を食べるんじゃなかったっけあいつ?」
ミカ君は、モンスターに気づかれないように小さな声で言った。
「はい。硬くて大きな葉っぱで、人を切り裂いて食べます。早く逃げましょう、あれは私では倒せません」
その時だった、キラーカメリアは2人の存在に気付き、近づいてきた。バフェット君たちは、走って逃げだす。幸いにも、このまま走り続ければ追いつかれることはなさそうだ。バフェット君は、走りながらミカ君に言った。
「このまま、町に逃げればなんとかやり過ごせそうだね」
「それは、だめです!! 多分、町までついてきてしまいます! あんなのを街中に入れたら大パニックですよ!!」
「キシェェェェェェェェ!!」
キラーカメリアは、叫び声をあげながら追いかけてくる。2人は、何とか森の中でまくために、逃げ回った。後方のキラーカメリアは、木を切り倒しながら追いかけ続けている。確かに、こんな化け物を町に呼び込んだら面倒なことになるにちがいなかった。
しばらく逃げ回っていると、2人は気づかぬうちに、ニードルワームの群生地に入り込んでしまっていた。瞬く間に、無数のニードルワームに囲まれて足止めされてしまう。ミカ君は叫んだ。
「バフェットさん!! まずいですよ!! 追いつかれます!!」
「大丈夫だ!! 後ろを見てごらん! いつの間にか、いなくなってる」
ミカ君が後方に目をやると、確かにキラーカメリアの姿は見えなくなっていた。ミカ君はバフェット君に言った。
「じゃぁ、あとはニードルワームから逃げるだけですね。バフェットさん、急所を刺されないようにだけ気をつけてください! 私が出来るだけ飛んでくるトゲを払い落とします」
「わかった!!」
ミカ君は、飛んでくるトゲを出来る限り、魔法で強化した爪を使って払い落としていく。そうして、少しづつ少しづつ前へ進み、なんとか森を抜け出すことができた。森を抜け出したとき、彼らの体には、あちこちトゲが刺さっていた。バフェット君は、トゲを触りながら言った。
「人生で一番痛い……」
「私もです……死ぬかと思いました……」
2人は、割とトゲだらけのまま、私の屋敷に戻ってきたのだった。私は、トゲだらけのバフェット君から事情を聞き二人に言った。
「それは、ずいぶんな災難だ。それにしても、キラーカメリアか……このあたりでは、滅多に見かけないはずだが……。」
ミカ君が私に言った。
「最近、キラーカメリアとニードルワームが異常発生しているみたいなんです。どちらも、駆除の依頼がよく来るようになったんです。」
「そうか……特にキラーカメリアは厄介であろう。大抵の冒険者では、太刀打ちできないだろうからな。やはり……王都に駆除依頼を出すことも検討しよう。ところで、バフェット君。ドングリは集められたかね?」
「はい、5kgほど回収できました。さっそく作業に取り掛かる予定です。」
「そうか、私も試作品を楽しみにしていよう。調理場にあるいくつかの大鍋は、自由に使ってくれて構わない。好きにしたまえ」
「助かります。さぁ、ミカ! さっそく作業に取り掛かろうか」
バフェット君たちは、ドングリの入ったカゴを調理場に持っていくと、ドングリを樽の中に入れ、さらに水を加えた。バフェット君は言った。
「まずは、浮いているドングリを捨てる。虫に食べられているからね。そして、水に沈んでいるドングリを取り出して、皮をむいていくんだ」
ミカ君は、嫌な顔をしながら言った。
「え~!! ドングリたくさんあるじゃないですか!! 一個一個やるんですか!?」
「そこで、ミカのスキルが役に立つのさ。ミカ、ドングリを手のひらですくってみて」
「こうですか?」
「その状態で、《ダークネイル》を発動させてみて」
「分かりました」
カシャンという金属音とともに、ミカ君の爪は、禍々しい姿に変化する。その変化を確認した後、バフェット君は、言った。
「その状態で、ドングリを握りつぶしてみて」
「はい……」
ミカ君が力を加えると、ドングリの殻がメキメキと音を立てて割れていく。
「え! すごい、殻が割れていく!!」
「《ダークネイル》はね、爪はもちろんだけど、手もある程度、硬化するんだよ。これなら数分ですべてのドングリの殻を割ることができる。殻の中身は割れてしまっても問題ないからどんどんやって」
「分かりました」
本来であれば、数時間はかかるであろう作業を彼らは、数分で終わらせた。バフェット君は、ミカ君に言った。
「ご苦労様。これで今日の依頼は、おしまいだよ。後は、この殻をむいたドングリを1日水に漬けて、その後1日乾燥させる。最後に火にかけて、焦げ茶色になればコーヒー豆の完成だ。ミカにも、フラッペ作ってあげるね」
「フラッペですか!? そんなの飲めるの久しぶりです~」
ミカ君は、喜びながら言った。
3日後、私がいつものようにベットから起き上がると、マリー君が寝室に入ってきた。
「旦那様おはようございます」
「ああ。マリー君おはよう……ん? じんましんが出ているではないか? 何があったのかね?」
「いえ、虫に刺されただけです。大したことはありません」
(……………ニードルワームにやられたのだな。あの毒は人によっては数日後に悪化していくと聞く。全身にじんましんが回ってきたのだろう。やはり、バフェット君を見張っていたようだ。)
私は、起床した後、身支度を整え、自室で書類を整理を始めた。これは、いつもの日課なのである。書類を整理しながら今日の予定を確認するのだ。予定の確認が終わり、本格的に仕事にとりかかろうとするときに、マリー君が部屋に入ってきた。これも、いつものことで、仕事前に紅茶を煎れてくれるのだ。マリー君がいつものようにお茶を煎れる準備する。そのとき、私はあることを思い出し、彼女を止めた。
「すまない! 紅茶を煎れるのを待ってほしい」
マリー君は、少し驚いた様子で言った。
「どうしたのですか? もしかして、私のじんましんをご覧になって食欲が……申し訳ありません」
「いや、そう言うわけではないのだ。」
すると、外で頃合いを見ていたのか、バフェット君が入ってきた。マリー君と同じく、じんましんだらけになった顔で、私に言った。
「お待たせしました。ドングリコーヒーの粉が完成しました!!」
私は、身を乗り出してコーヒーの粉を凝視した。見た目では、コーヒー豆の粉とドングリの粉との見分けは全くつかない。バフェット君は、マリー君の紅茶のティーセットを使ってコーヒーを煎れた。マリー君には、それが面白くなかったのだろう。彼に言った。
「これは何!? こんなものを旦那様に飲ませる気なの?」
私は、マリー君に言った。
「私が、彼にお願いしたのだ。心配かね?」
「………………………………」
マリー君は、ジトっとした目で無言で訴えかける。私は、彼女に言った。
「ならば、仕方ない。バフェット君、まず一口君が飲みたまえ。その次にそれを、マリー君に渡してマリー君にも確認してもらう、そうしたら私も安心して飲める。それでどうかね?」
「…………わかりました」
彼女はしぶしぶ納得し、バフェット君が一口飲んだコーヒーに口を付けた。そして、ぼそっと言った。
「……苦いですが、悪くないですね」
その様子を見て、私とバフェット君がニヤニヤしていると、彼女は焦った様子で言った。
「な……………何ですかその顔は!」
これで、少しは、バフェット君に対する警戒心が解けてくれればいいのだがな……。
バフェット君の経済状況
所持品
コーヒー豆2.5kg
所持金
銀貨4枚 20000円
借金
金貨19枚 475万円
銀貨35枚 17万5000円
合計 492万5000円
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